神本を求めて

小説を読みまくって面白い本を見つけたら紹介するブログ

最強に面白いおすすめ小説|最高の神本リスト

神本を求めて

そこでSFやファンタジー、ホラー要素のあるミステリーを好む私がこれまでに読んで素晴らしいと思った作品を挙げていく。

趣味が近そうな方の参考になれば幸いである。

 

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神本を求めて本を積みまくる日々

 

1. 星を継ぐもの / J.P.ホーガン(1977年)

 

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作

 

「月で5万年前の真紅の宇宙服をまとった死体が見つかった。」

こんな魅力的な"謎"がある時点で本作が傑作であることは確定している。

しかも月の人の謎を解明していく最中、木星の衛生ガニメデで2500年前の宇宙船が発見されるというさらなるミステリー。

本作は三部作となっており、1作目『星を継ぐもの』で月の人間ことルナリアンの謎、2作目『ガニメデの優しい巨人』でガニメデの宇宙人の謎、3作目『巨人たちの星』に至っては宇宙戦争の予感すら彷彿させる。

1作目だけでも一応の完結はしているので、古い作品だからと身構えず読んでみてほしい。最高のSFとミステリーが待っている。

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 

2. クリムゾンの迷宮 / 貴志祐介(1999年)

 

藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。ここはどこなんだ? 傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。

 

 「面白い小説を教えて」と漠然と聞かれた時に紹介する本の筆頭である。

圧倒的なエンタメ性を持つ至高のデスゲーム作品であり、まったく無駄がなく最初から最後までめちゃくちゃ面白いのがポイントだ。

貴志作品に共通する高いリーダビリティと、ちょうど良いページ数により普段小説を読まない人にも自信をもっておすすめできる。

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

クリムゾンの迷宮 (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 1999/04/09
  • メディア: 文庫
 

 

3. 暗いところで待ち合わせ / 乙一(2002年)

 

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。

 

これを読んで批判する人はいないのではないかと思うくらい神がかりの傑作である。

こんな作品が書けるのは若かりし頃の乙一くらいのものだろう。天才が全盛期に発表したセンスの塊である。
殺人犯と思われる男が盲目の女の家にこっそり潜伏するという変態的なシチュエーションから大きな感動が生み出される。

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

  • 作者:乙一
  • 発売日: 2002/04/01
  • メディア: 文庫
 

 

4. 死神の制度 / 伊坂幸太郎(2005年)

 

こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で他人に触ろうとしない。1週間の調査の後、死神は対象者の死に「可」「否」の判断を下し、「可」ならば翌8日目に死は実行される。ただし、病死や自殺は除外。まれに死神を感じる人間がいる。──クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う、6つの人生。

 

 ここまでセンスの良い小説には滅多にお目にかかれないだろう。

伊坂という作家がどうして売れっ子なのかが一発で理解できる作品であり、私は売れっ子というだけで何となく伊坂作品を避けていたが、読了後はすぐに他の伊坂作品を漁っている自分がいた。

ミステリーとしてもヒューマンドラマとしても超一級品である。

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

 

 

5. 占星術殺人事件 / 島田荘司(1981年)

 

密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。彼の死後、六人の若い女性が行方不明となり肉体の一部を切り取られた姿で日本各地で発見される。事件から四十数年、未だ解かれていない猟奇殺人のトリックとは!? 名探偵・御手洗潔を生んだ衝撃のデビュー作、完全版! 二〇一一年十一月刊行の週刊文春臨時増刊「東西ミステリーベスト一〇〇」では、日本部門第三位選出。

 

 学生時代にこの本に出会っていたら人生が変わっていたと思う。

トリックは『金○○○年○○件○』の某事件で盛大にネタバレされているが、それでも半端なく楽しめたのが本書の凄まじいところ。

否、メイントリックをネタバレされたことによって新たなミスリードを生むのである。

平成以降に生まれた人であればパクった作品の存在を知らないと思われるので100%楽しむことができるだろう(羨ましい....)

最強の推理小説であるだけでなく、物語としてもとても楽しめるのも素晴らしい。

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫
 

 

6. クラインの壺 / 岡嶋二人(1989年)

 

現実も真実も崩れ去る最後で最恐の大傑作。200万円で、ゲームブックの原作を謎の企業「イプシロン・プロジェクト」に売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。岡嶋二人の最終作かつ超名作。そのIT環境の先見性だけでも、刊行年1989年という事実に驚愕するはず。

 

 最強の徹夜本であり読み始めたら最後、読了まで何も手につかなくなるだろう。

伝説の作家ユニット岡嶋二人名義の作品ではあるが、実質はコンビの一人井上夢人氏の作品と言われるSF×ミステリーの至高の傑作である。

1989年に刊行され、VRをメインテーマにしているにも関わらず今読んでもまったく古臭さをまるで感じさせないのは、著者の先見の明と圧倒的な力量だろう。

またSFなのに異常に読みやすいのも高ポイントだ。

クラインの壺 (新潮文庫)

クラインの壺 (新潮文庫)

 

 

7. コンビニ人間 / 村田沙耶香(2016年)

 

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

 

 私は失礼ながら芥川賞=偉い人たちにつまらない本であると認定された不名誉な賞だと考えていたのだが、本作を読んだことでそれは誤りだと気付かされた。

クレイジー沙耶香と称されるキチ〇イ変態作家による、変態成分が控えめでありながらもキレまくりの大傑作。これは全人類必読の書だ。

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

 

8. 秘密 / 東野圭吾(1998年)

 

運命は、愛する人を二度奪っていく。
自動車部品メーカーで働く39歳の杉田平介は妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまう。 妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。 その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密"の生活が始まった。 外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻は、やがて藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験、その後は医学部を目指して共学の高校を受験する。年頃になった彼女の周囲には男性の影がちらつき、 平介は妻であって娘でもある彼女への関係に苦しむようになる。

 

 稀代の売れっ子作家が超売れるようになるきっかけになった作品だけあって、万人が楽しむことができる作品である。

超傑作量産マシーン東野圭吾の著書は100冊を超える勢いであるだけに、「どれから読めばいいんだ?」という疑問は多いと思う。初期作品は万人向けとは言いがたい推理小説が多く、代表作の中にはシリーズ物も多い。

本作を選べばまず間違いはないと断言できる。

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

 

 

9. 六番目の小夜子 / 恩田陸(1992年)

 

 津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。

 

 恩田陸のデビュー作にしてすべてが詰まった一冊。

様々なジャンルの作品を上梓する多才な恩田陸だが、本作はホラーやファンタジー、ミステリーにとどまらず、多ジャンルにまたがった作品となっている。
作中の文化祭の演劇のシーンは特に素晴らしく、恩田女史の高い筆力に感銘を受けると同時に、完全に小説の世界に吸い込まれてしまった。
真のホラーとはこんな作品のことをいうのだろう。

六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)

  • 作者:陸, 恩田
  • 発売日: 2001/01/30
  • メディア: 文庫
 

 

10. 十角館の殺人 / 綾辻行人(1987年)

 

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける!

 

 超凄い。という残念な感想しか出ないほど犯人とトリックに感激してしまった。

小説でしか味わえない楽しみの一つに映像化が不可能という要素があるのだが、本作は映像化不可能トリックの中でも最高の完成度を誇っている。

コテコテのド本格推理小説であるため、100年読み継がれるであろう普遍的な傑作。 

〇『館シリーズ』紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: 文庫
 

 

11. 魔性の子 / 小野不由美(1991年)

 

どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が……。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。

 

 国内ファンタジーの最高峰『十二国記』の1作目ではあるが、シリーズの番外編に位置する作品となっていてこの1冊で話が完結している。

したがって十二国記には興味が無くても面白いホラー小説に興味があるような方にぜひおすすめしたい。数々の傑作ホラーを生み出している小野不由美女史の作品の中でも、エンタメ要素が高めで素晴らしい内容となっている。

魔性の子 十二国記 0 (新潮文庫)

魔性の子 十二国記 0 (新潮文庫)

 

 

12.  月の影 影の海 / 小野不由美(1992年)

 

「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。

 

 事実上の『十二国記』1作目であり、現在アニメに溢れかえっている異世界ものの頂点に君臨する完成度である。

 女子高生が妖しいイケメンに連れられて血も涙もない異世界に放り込まれて、まさに地獄のような旅を余儀なくされる様は、人によっては勇気をもらえることだろう。

 練りに練られた設定は話が進んでも破綻することがないので、『魔性の子』や本作を書く前に一体どれだけ本気で妄想したんだろう....と若き日の小野不由美女史に聞いてみたいものである。

 

 

十二国記の紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

月の影  影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

月の影 影の海 (上) 十二国記 1 (新潮文庫)

 

 

13. 今夜、すべてのバーで / 中島らも(1991年)

 

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような・・・・・・。アルコールにとりつかれた男・小島容(いるる)が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

 

酒とドラッグにおぼれた天才作家・中島らもによる、ほぼ実話に近いノンフィクション風な私小説である。

私はこの著者はただの変な人だと思っていたのだが、作品を読めば読むほど圧倒的な知性とセンスを感じて驚ろかされるのだが、本作はアルコールについて相当な研究がなされたうえで描かれており、センス×蘊蓄×実体験という要素が掛け合わされたことで素晴らしい作品になっている。

酒好きは飲みながら読もう。そしてやめよう。

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

今夜、すベてのバーで (講談社文庫)

  • 作者:中島 らも
  • 発売日: 1994/03/04
  • メディア: 文庫
 

 

14. 異邦の騎士 / 島田荘司(1988年)

 

失われた過去の記憶が浮かび上がり、男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活に忍び寄る新たな魔手。名探偵・御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリー『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。

 

 稀代の推理作家・島田荘司の事実上の処女作である。

ミステリーなどどうでもいいくらいストーリーが良く、恋愛小説や青春小説(アラサーではあるが)として素晴らしい内容である。
前作まで読み進めてきているのならラストは号泣することになるだろう。 

 シリーズもので他の作品を読んでいないと魅力が半減する作品はなるべく紹介しないようにしたいが、『異邦の騎士』は『占星術殺人事件』を読むだけでも大丈夫なので強くお勧めしたい。

 ちなみに御手洗シリーズは『異邦の騎士』以外の作品は順番を気にしなくてもあまり影響がない。

異邦の騎士 改訂完全版

異邦の騎士 改訂完全版

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1998/03/13
  • メディア: 文庫
 

 

15. 天使の囀り / 貴志祐介(1998年)

 

北島早苗は、終末期医療に携わる精神科医。恋人の高梨は、病的な死恐怖症(タナトフォビア)だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンでいったい何が起きたのか? 高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか? 前人未踏の恐怖が、あなたを襲う。

 

 貴志ホラーとして、またグロ系ホラーとして最高傑作だと思う。

ミステリー的な要素と終始漂う不穏な空気、人々の恐ろしい死に様、気持ち悪い描写の数々に完全にやられてしまった。

おぞましい作品だが、エンタメ作品として素晴らしい作品でもあるため、グロを覚悟してでも読んでおくべき作品である。

天使の囀り (角川ホラー文庫)

天使の囀り (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2000/12/08
  • メディア: 文庫
 

 

16. 魍魎の匣 / 京極夏彦(1995年)

 

箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物(つきもの)は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

 

 アホみたいに分厚い本が並ぶ京極夏彦先生の百鬼夜行シリーズの中でも、1,2位を争う尋常ではない傑作であり、SFや怪奇幻想要素を持った超絶ミステリーである。

冒頭の美しい文章は芸術的であり、文章を読んで心が震えた数少ない作品である。

これを読んで京極先生の天才っ振りに呆れてしまったものだ。

訳が分からないほど謎まみれなのに最後は見事にすべての伏線を回収。
腰を抜かすほど猟奇的なので注意。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 1999/09/08
  • メディア: 文庫
 

 

17. 失はれる物語 / 乙一(2003年)

 

目覚めると、私は闇の中にいた。交通事故により全身不随のうえ音も視覚も、五感の全てを奪われていたのだ。残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見たて、日々の想いを演奏で伝えることを思いつく。それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが……。表題作のほか、「Calling You」「傷」など傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」、書き下ろし「ウソカノ」の2作を初収録。

 

 天才・乙一によるせつなさみだれうち

せつない作風と短編を得意とする乙一だが、本作はせつない短編のベスト盤だけあって一つ一つの物語の完成度が桁外れである。

表題作含めせつなさに溢れた至高の名作を体感してほしい。

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

  • 作者:乙一
  • 発売日: 2006/06/24
  • メディア: 文庫
 

 

18. プラスティック / 井上夢人(1998年)

 

54個の文書ファイルが収められたフロッピイがある。冒頭の文書に記録されていたのは、出張中の夫の帰りを待つ間に奇妙な出来事に遭遇した主婦・向井洵子が書きこんだ日記だった。その日記こそが、アイデンティティーをきしませ崩壊させる導火線となる! 謎が謎を呼ぶ深遠な井上ワールドの傑作ミステリー。

 

 最強の一気読み小説の筆頭候補で徹夜の覚悟が必要である。ミステリー作品だが仕掛けられたトリックは分かってしまうかもしれない。

しかし本作の魅力はトリックが分かろうが分かるまいが増減するものではない。ただひたすら面白く、そしてなかなか恐ろしい作品なのだ。

最後まで読み終えた時、本作の圧倒的な完成度に驚愕することになる。

プラスティック (講談社文庫)

プラスティック (講談社文庫)

 

 

19. 殺人鬼 覚醒篇(1990年)

 

90年代のある夏、双葉山に集った〈TCメンバーズ〉の一行は、突如出現した殺人鬼により、一人、また一人と惨殺されてゆく……いつ果てるとも知れない地獄の饗宴。その奥底に仕込まれた驚愕の仕掛けとは?

 

 『館シリーズ』で有名な綾辻行人氏ではあるが、個人的には本作が最高傑作だと思っている。最も好きなスプラッタホラーでもある。

13日の金曜日』のような王道のスプラッタ全開ホラーかと思いきや、さすがは新本格ムーブメントの筆頭。ミステリーとしての仕掛けもかなり強烈な1冊。エロ注意、グロ注意。続編はさらに大変なことになっている。

殺人鬼  ‐‐覚醒篇 (角川文庫)

殺人鬼 ‐‐覚醒篇 (角川文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: 文庫
 

 

 ⇩アホみたくグロさとエグさに特化した鬼畜の続編。鬼。

殺人鬼  ‐‐逆襲篇 (角川文庫)

殺人鬼 ‐‐逆襲篇 (角川文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2012/02/25
  • メディア: 文庫
 

 

20. 八つ墓村 / 横溝正史(1950年)

 

戦国の頃、三千両の黄金を携えた八人の武者がこの村に落ちのびた。だが、欲に目の眩んだ村人たちは八人を惨殺。その後、不祥の怪異があい次ぎ、以来この村は“八つ墓村"と呼ばれるようになったという――。大正×年、落人襲撃の首謀者田治見庄左衛門の子孫、要蔵が突然発狂、三十二人の村人を虐殺し、行方不明となる。そして二十数年、謎の連続殺人事件が再びこの村を襲った……。現代ホラー小説の原点ともいうべき、シリーズ最高傑作! !

 

何度も映像化されているため誰もが名前だけは知っている作品だと思うが、意外に原作を読んでいる方は多くないのではないだろうか。

映像作品の影響でおどろおどろしい先入観を持っている方が多いと思われるが、映像化作品は原作に忠実ではないようで、実際はおどろおどろしさはほとんどない。

それどころかこれでもかというほどの萌え要素が詰め込まれているので、萌え豚は何がなんでも読もう。

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

  • 作者:横溝 正史
  • 発売日: 1971/04/26
  • メディア: 文庫
 

 

21. 99%の誘拐 / 岡嶋二人(1988年)

 

岡嶋二人の代表作!末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには8年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。そして12年後、かつての事件に端を発する新たな誘拐が行われる。その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。第10回吉川英治文学新人賞受賞作にして、2005年度「この文庫がすごい!」第1位のリバイバルヒットになり、改めてオカジマフタリの名を知らしめた作品でもある。

 

 SFに近いほどのハイテクを駆使した誘拐もので、"人攫いの岡嶋"と称されるほど誘拐モノが得意な岡嶋作品の中でも最高傑作という意見も多い作品。

刊行されたのが1988年とは到底考えられないほどのハイテク犯罪は桁が違いの完成度であり、時代がやっと岡嶋二人に追いついたといったところだろうか。

物語としても非常に面白く非の打ち所の無い1冊である。

99%の誘拐 (講談社文庫)

99%の誘拐 (講談社文庫)

  • 作者:岡嶋 二人
  • 発売日: 2004/06/15
  • メディア: 文庫
 

 

22. 暗闇坂の人喰いの木 / 島田荘司(1990年)

 

さらし首の名所・暗闇坂にそそり立つ樹齢2000年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ? 近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは何か? 信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めた。本格ミステリーの騎手が全力投球する傑作。

 

 クララが死んだ!!

正直言ってこんな凄まじいミステリーに出会えるとは夢にも思っていなかったレベルの超絶傑作である。

ミステリーであると同時に非常に恐ろしいホラー小説でもあり、さらに冒険小説としての楽しさを合わせ持っているという規格外の作品で、物語と魅力的な謎に惹かれてただひたすらページをめくってしまった。

すさまじくグロい作品でもあるので注意が必要だ。

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1994/06/06
  • メディア: 文庫
 

 

23. 白夜行 / 東野圭吾(1999年)

 

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々と浮かぶが、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と「容疑者」の娘・西本雪穂――暗い目をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別の道を歩んでいく。二人の周囲に見え隠れする、いくつもの恐るべき犯罪。だが、証拠は何もない。そして19年……。伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー。壮大なスケールで描かれた、ミステリー史に燦然と輝く大人気作家の記念碑的傑作。


恐るべき傑作であり、東野圭吾に完全に土下座することになった作品である。

長いけど読んで。としか言いようのない神傑作。

構成といい主役二人が一度も主観にならない書き方といい超絶技巧である。

これを読まずに生きていくなんて人生の損失だと言っても過言ではない。

白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2002/05/25
  • メディア: 文庫
 

 

24. アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂幸太郎(2003年)

 

大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。標的は――たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ! 四散した断片が描き出す物語の全体像とは? 注目の気鋭による清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。

 

 伊坂幸太郎のミステリー作家としての本領が発揮された作品で、広義の推理小説としてとても優れた作品であり、伊坂作品の中でも本格推理度が高いとされる1冊。

 いかにもつまらなそうなタイトル(←ごめんなさい)に読む気が失せるかもしれないが、読んでみればミステリーとしての完成度や物語の面白さに圧倒されるだろう。

 なお動物虐待描写がかなりキツいので苦手な方は要注意。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

 

 

25. 新世界より / 貴志祐介(2008年)

 

ここは病的に美しい日本(ユートピア)。
子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。
手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。社会を統べる装置として。
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

宇宙最強に面白い小説であり、我が生涯のベスト作品である。

ファンタジーでSFでミステリーでホラーでもある神作家・貴志祐介の最終兵器。

数々の傑作を上梓している貴志だが、本作は著者の全身全霊が込められた究極の完成度を誇っている。

文庫で1500ページにもおよぶ超大作でありながら、まったくと言っていいほどダレるところはなく、ひたすら睡眠時間を削られまくったのは良い思い出だ。

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

新世界より 上中下巻セット

新世界より 上中下巻セット

  • メディア: セット買い
 

 

26. 水晶のピラミッド / 島田荘司(1991年)

 

エジプト・ギザの大ピラミッドを原寸大で再現したピラミッドで起こる怪事。冥府の使者アヌビスが5000年の時空を超えて突然甦り、空中30メートルの密室で男が「溺死」を遂げる! アメリカのビッチ・ポイントに出現した現代のピラミッドの謎に挑む名探偵・御手洗潔。壮大なテーマに挑んだ本格ミステリーの大作。

 

限界突破してしまったミステリー小説。

推理小説という枠を超えて、純粋なミステリーを提供している。

本筋に関係あるのかどうかも分からない、古代エジプトタイタニックの挿話が200ページ近くあるのだが、そこがものすごく面白い。

こんな小説、島田御大にしか書けません。

水晶のピラミッド (講談社文庫)

水晶のピラミッド (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1994/12/07
  • メディア: 文庫
 

 

27. ガダラの豚 / 中島らも(1993年)

 

アフリカの呪術医研究の第一人者、大生部多一郎は、テレビの人気タレント教授。超能力ブームで彼の著者「呪術パワーで殺す!」はベストセラーになった。しかし、妻の逸美は8年前の娘・志織のアフリカでの気球事故での死以来、神経を病んでいた。そして奇跡が売り物の新興宗教にのめりこんでしまった。逸美の奪還をすべく、大生部は奇術師ミラクルと組んで動き出す。

 

 娯楽小説の最終到達点と言っても過言では無いほど徹底的に面白い作品である。

ただ面白いだけでなく、超能力や呪術といった超自然的なことについてしっかりと研究された上で書かれているため、ブッ飛んだ内容にも関わらず確かなリアリティがあり、読者自身の知識も増える。

最強に面白い小説が読みたいなら本作を読んでおけばまず間違いない。

ガダラの豚(集英社文庫) 全3冊セット
 

 

28. 絡新婦の理 / 京極夏彦(1996年)

 

当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな――2つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。
房総の富豪、織作(おりさく)家創設の女学校に拠(よ)る美貌の堕天使と、血塗られた鑿(のみ)をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らせた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?シリーズ第5弾。

 

個人的には『百鬼夜行シリーズ』の最高傑作であり、ミステリー小説の中でも最も複雑かつ緻密に描かれた美女だらけの超絶ミステリー。

とにかく複雑な事件で、そもそも作中に登場する事件が一つの事件なのかどうかすらさっぱり分からない、まさに女郎蜘蛛に絡め取られるかのような感じである。

最初と最後がこの世のものとは思えない美しい描写で、読了後は100%最初のページに戻らされてしまう。

世の中、絶対に本作の"蜘蛛"のような人間はいるはずだ。

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 2002/09/05
  • メディア: 文庫
 

 

29. 夜のピクニック / 恩田陸(2004年)

 

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

 

 私の好きな要素なんて1つもないはずなのにとにかく感動してしまった。

ただ夜歩くだけなのになんでこんなに面白いのだろうか。静かな夜に青春時代を思い出しながら酒を飲んで読みたい作品。(もちろん学生は現在進行形で楽しめるだろう)

投げっぱなしジャーマンが得意で伏線を回収せずに強制終了することの多い恩田作品において、奇跡的にしっかり締められている。

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 作者:陸, 恩田
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫
 

 

30. 屍鬼 / 小野不由美(1998年)

 

死が村を蹂躙し幾重にも悲劇をもたらすだろう―人口千三百余、三方を山に囲まれ樅を育てて生きてきた外場村。猛暑に見舞われたある夏、村人たちが謎の死をとげていく。増え続ける死者は、未知の疫病によるものなのか、それとも、ある一家が越してきたからなのか。

 

長い...退屈...暗い...そして登場人物多過ぎ。
相当読書慣れしてない人はまず読もうとは思えないだろうが、覚悟を決めて読んだら間違いなく心に残る1冊になるだろう。

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

屍鬼〈上〉

屍鬼〈上〉

 
屍鬼〈下〉

屍鬼〈下〉

 

 

31. Another / 綾辻行人(2009年)

 

夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた! この”世界”ではいったい何が起きているのか!?

 

萌え系学園ホラーミステリー

文体からしてかなりラノベ寄りの作品だが、ホラーとしてもミステリーとしても非常によくできた作品である。

私は小説でしかできないあのトリックを妻に思い知らせたくて、本作のアニメ版を無理やり見せたら無事に「えッ!?」と言わせることに成功した。

Another

Another

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2009/10/30
  • メディア: 単行本
 

 

32. GOTH / 乙一(2002年)

 

 連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う……人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一出世作

世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。

 

「僕」と「夜」のキャラが最高すぎる、ラノベ寄りの傑作連作短篇集。

私はこの二人の会話が好きで好きでたまらない。きっとみんなも好きになることだろう。本格ミステリ大賞に選ばれただけあって推理小説としての完成度は非常に高い。

乙一の最高傑作といってもいいかもしれない。

ちなみに夜の章が先だというのを忘れてはならない。私は順番を間違えて泣いた。

続編である番外編もとても素晴らしいので絶対に読もう。

GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件

  • 作者:乙一
  • メディア: 単行本
 

 

33. メドゥサ、鏡をごらん / 井上夢人(2000年)

 

作家・藤井陽造は、コンクリートを満たした木枠の中に全身を塗り固めて絶命していた。傍らには自筆で〈メドゥサを見た〉と記したメモが遺されており、娘とその婚約者は、異様な死の謎を解くため、藤井が死ぬ直前に書いていた原稿を探し始める。だが、何かがおかしい。次第に高まる恐怖。そして連鎖する怪死! 身の毛もよだつ、恐怖の連鎖が始まる

 

謎が謎を呼ぶ最強一気読み小説。

ミステリーでありホラーであり、SFっぽくもある本作だが、読んでいる最中の面白さは最強と呼ぶにふさわしい。気が付けば徹夜していることだろう。

最も井上夢人らしい作品だとも思っており、岡嶋二人時代の超名作『クラインの壺』的な感覚を彷彿とさせられる。

メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)

メドゥサ、鏡をごらん (講談社文庫)

 

 

34. 殺戮にいたる病 / 我孫子武丸(1992年)

 

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。叙述ミステリの極致!

 

 あのトリックを使ったミステリーの中でも最高峰の完成度を誇る大傑作だが、そんなことはどうでも良い。至高のエログロこそが本作の核だ。

恐るべきエロさとやたらリアリティのあるなまなましいグロさが襲い掛かってくる。

口が裂けても女性や子どもにはおすすめできない作品だが、小説の楽しさを教えるという意味でいつかは我が息子におすすめしたい1冊である。

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

 

 

35. 容疑者Xの献身 / 東野圭吾(2005年)

 

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。 

 

数々のミステリーの賞を受賞した上に直木賞まで受賞してしまった化け物級の作品だ。

ヒューマンドラマとしても推理小説としても高品質な1冊で、正直大ベストセラーだからと言って舐めてかかっていた私も、トリックが明らかになった時には思わず「何ィーー!?」と唸ることになった。

東野圭吾は悔しいが(?)、日本最高の作家だと認めざるを得ない。

容疑者Xの献身 (文春文庫)

容疑者Xの献身 (文春文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 文庫
 

 

36. ダークゾーン / 貴志祐介(2011年)

 

「戦え。戦い続けろ」プロ将棋棋士の卵・塚田は、赤い異形の戦士と化して、闇の中で目覚めた。突如、謎の廃墟で開始される青い軍団との闘い。敵として生き返る「駒」、戦果に応じた強力化など、奇妙なルールの下で続く七番勝負。頭脳戦、心理戦、そして奇襲戦。“軍艦島”で繰り広げられる地獄のバトル。圧巻の世界観で鬼才が贈る最強エンターテインメント!

 

謎に包まれた空間ダークゾーンにて訳も分からず繰り広げられる"人間将棋デスゲーム"。そこはかとなく漂うせつなさと虚無感がたまらない。

ダークゾーンとは一体何なのか?現実世界では何があったのか?戦いの先に待つものとは?謎が謎を呼びグイグイ物語に引き込まれることになるだろう。

貴志作品の中でも最もエンターテイメントに特化した作品である。

ダークゾーン

ダークゾーン

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2011/02/11
  • メディア: 単行本
 

 

37. ハサミ男 / 殊能将之(1999年)

 

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!

 

例のトリックを駆使した小説では必ず名が挙がる小説であり、実際に極めてよくできた作品である。推理小説を読んでここまで驚愕したのは正真正銘初めてだ。
混乱し過ぎて頭が変になったくらいだ。
あのトリックについては極めてフェアだが、ハサミ男の正体については結構アンフェアな作品である。

まぁハサミ男の正体に気付こうが気付くまいが本作が面白いことは変わらない。

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)

  • 作者:殊能 将之
  • 発売日: 2002/08/09
  • メディア: 文庫
 

 

38. アトポス / 島田荘司(1993年)

 

虚栄の都・ハリウッドに血でただれた顔の「怪物」が出没する。ホラー作家が首を切断され、嬰児が次々と誘拐される事件の真相は何か。女優・松崎レオナの主演映画『サロメ』の撮影が行われる死海の「塩の宮殿」でも惨劇は繰り返された。甦る吸血鬼の恐怖に御手洗潔が立ち向かう。渾身のミステリー巨編が新たな地平を開く。

 

 1000ページ近い大作にも関わらずまったくと言っていいほど長さを感じることが無い奇跡的な作品である。

作中作ではギネス級の大量殺人鬼エリザベート・バートリーの挿話が200ページ以上続くのだが、この挿話が尋常ではない面白さでありページ数的にも1冊の超傑作歴史ホラー小説として十分に成り立っている。

戦時中の魔都上海やサロメのエピソードもあり何から何まで謎まみれであり、島田式本格ミステリーが完成した作品といっても過言ではないと思う。

御手洗はまさに白馬の王子様である。嗚呼レオナよ.....。

アトポス (講談社文庫)

アトポス (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1996/10/14
  • メディア: 文庫
 

 

39. 告白 / 湊かなえ(2008年)

 

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。

 

 イヤミスというジャンルは正直あまり好きになりたくないジャンルなのだが、本作は正真正銘の傑作である。それもただの傑作ではなく稀にみる超傑作なのだ。

私は元来女という生き物には警戒心を持って接してきたが、本作を読んだことでその警戒レベルが1段階も2段階も上昇してしまった。女には気をつけたいものよ。

きっと湊かなえは最悪に性格が悪いのだと思う。

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

  • 作者:湊 かなえ
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: 文庫
 

 

40. 旅のラゴス / 筒井康隆(1986年)

 

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

 

 この世には人生を変える本というものが存在するらしいが、本作こそまさにそんな1冊なのだと思う。

人生を台無しにする可能性を秘めた諸刃の剣であり、私はこの本を読んで家族も放ったらかしにしてひたすら読書をするようになってしまった。

男であれば必読の作品である。(もちろん女性が読んでもいいと思う。)

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 

 

41. アルケミスト / パウロ・コエーリョ(1988年)

 

半飼いの少年サンチャゴは、その夜もまた同じ夢を見た。一週間前にも見た、ピラミッドに宝物が隠されているという夢――。少年は夢を信じ、飼っていた羊たちを売り、ひとりエジプトに向かって旅にでる。
アンダルシアの平原を出て、砂漠を越え、不思議な老人や錬金術師の導きと、さまざまな出会いと別れをとおし、少年は人生の知恵を学んでいく。
「前兆に従うこと」「心の声を聞くこと」「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれること」――。
長い旅のあと、ようやくたどり着いたピラミッドで、少年を待ち受けていたものとは――。人生の本当に大切なものを教えてくれる愛と勇気の物語。

 

世界的なベストセラーなのでもはや説明不要かもしれない。

私は浪人中に駿台予備校の名物英語講師に勧められて読んだのだが、ずばり人生を変える1冊となった。

さて、思い出話は置いといて本作の素晴らしいところは自己啓発書的な物語でありつつも、優れた冒険小説でありエンタメ要素が高いという点であろう。

どんなに良い本でも面白くなければ読みたくはならない。本作は素晴らしいエンターテイメント作品なのである。

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)
 

 

42. 塗仏の宴 / 京極夏彦(1998年)

 

「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り――たいです」。答えた男女は己を失い、昏(くら)き界(さかい)へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出(そうしゅつ)した東洋風の胡乱(うろん)な集団6つ。15年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。シリーズ第6弾。

「愉しかったでしょう。こんなに長い間、楽しませてあげたんですからねえ」。その男はそう言った。蓮台寺温泉裸女殺害犯の嫌疑で逮捕された関口巽と、伊豆韮山の山深く分け入らんとする宗教集団。接点は果たしてあるのか? ようやく乗り出した京極堂が、怒りと哀しみをもって開示する「宴(ゲーム)」の驚愕の真相。

 

 絡新婦の理で「こんな複雑な事件がこの世にあったとは.....」と思ったが、塗仏はさらにスケールアップしていて驚愕してしまった。

洗脳、催眠、気功等などそっち系の要素がフルコースで提供されるため、オカルトマニアは何が何でも読むべき1冊である。

 レンガ本オンリーの『百鬼夜行シリーズ』でも最長のページ数を誇っているが、シリーズの中でも最もエンタメ要素が高く、前半の支度は連作短編の形式で描かれているため、あまり長さを感じることはなく読みやすい。


文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 2003/09/12
  • メディア: 文庫
 
文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)

文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 2003/10/15
  • メディア: 文庫
 

 

43. 月の裏側 / 恩田陸(2002年)

 

九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも? 事件に興味を持った元大学教授・協一郎らは〈人間もどき〉の存在に気づく……。

 

不気味な雰囲気が溢れたSFホラー的な傑作。

私はこのような世界観が大好きなため、猛烈な勢いで一気読みしてしまった。

読んでいる最中は紛れもなく最強の傑作なのだが、そこは恩田陸
予想通りというか恩田流投げっぱなしジャーマンが本領発揮する(笑)。

月の裏側 (幻冬舎文庫)

月の裏側 (幻冬舎文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2002/08/01
  • メディア: 文庫
 

 

44. マリアビートル / 伊坂幸太郎(2010年)

 

酒浸りの元殺し屋「木村」。狡猾な中学生「王子」。腕利きの二人組「蜜柑」「檸檬」。運の悪い殺し屋「七尾」。物騒な奴らを乗せた東北新幹線は疾走する! 『グラスホッパー』に続く、殺し屋たちの狂想曲。

 

完全無欠のハイパーエンタメ小説。

およそ600ページの大作だが、まるで無駄がなく最初から最後までハイテンション! 

伊坂幸太郎という男はまさにエンタメ小説を書くために生まれてきたのではないかというレベルで面白過ぎる作品である。

レビューなどを見ると前作『グラスホッパー』を読んでなくても楽しめるといった意見を見かけるがそれは完全に嘘である。前作も『マリアビートル』ほどではないにせよ、かなり面白いので必ず順番通りに読むようにしよう。

マリアビートル (角川文庫)

マリアビートル (角川文庫)

 

 

45. アルカトラズ幻想 / 島田荘司(2012年)

 

一九三九年十一月二日、ワシントンDCのジョージタウン大学脇にあるグローバーアーチボルド・パークの森の中で、娼婦の死体が発見された。被害者は両手をブナの木の枝から吊るされ、性器の周辺がえぐられたため股間から膣と子宮が垂れ下がっていた。時をおかず第二の殺人事件も発生し、被害者には最初の殺人と同様の暴虐が加えられていた。凄惨な猟奇殺人に世間も騒然とする中、恐竜の謎について独自の理論を展開される「重力論文」を執筆したジョージタウン大学の大学院生が逮捕され、あのアル・カポネも送られたサンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。やがて、ある事件をきっかけに犯人は刑務所を脱獄し、島の地下にある奇妙な場所で暮らし始めるが……。先端科学の知見と作家の奔放な想像力で、現代ミステリーの最前線を走る著者の渾身の一作がついにベールを脱ぐ!

 

 島田御大の到達点というところだろうか。まさにゴッドオブミステリーである。

はっきり言って小説の体を成していないハチャメチャ作品なのかもしれないが、ミステリーの求道者は死んでも読むべき1冊である。

猟奇的殺人、恐竜絶滅の謎、アルカトラズ刑務所、地球空洞説、パンプキン王国???

開いた口が塞がらない伝説の作品である。

アルカトラズ幻想 上 (文春文庫)

アルカトラズ幻想 上 (文春文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 文庫
 
アルカトラズ幻想 下 (文春文庫)

アルカトラズ幻想 下 (文春文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 文庫
 

 

46. ZOO / 乙一(2003年)

 

何なんだこれは! 天才・乙一のジャンル分け不能の傑作短編集「1」、「2」を合本版で。「1」は双子の姉妹なのになぜか姉のヨーコだけが母から虐待され――(「カザリとヨーコ」)。謎の犯人に拉致監禁された姉と弟がとった脱出のための手段とは?――(「SEVEN ROOMS」)など5編をセレクト。「2」は、目が覚めたら、何者かに刺されて血まみれだった資産家の悲喜劇(「血液を探せ!」)、ハイジャックされた機内で安楽死の薬を買うべきか否か?(「落ちる飛行機の中で」)など驚天動地の粒ぞろい5編に加え、幻のショートショート「むかし夕日の公園で」を特別収録。

 

 ややクオリティにばらつきはあるが、バラエティ豊富で乙一の天才的なセンスが散りばめられた傑作短編集である。

『陽だまりの詩』『SEVEN ROOMS』は問答無用の超傑作であり、特に後者についてはあまりの臨場感に気分が悪くなってしまったほどである。

また『落ちる飛行機の中で』は『GOTH』のような変な二人の掛け合いは最高だ。

乙一寄りの作品だが、白要素もあるため初乙一の方にもおすすめできる。

ZOO(集英社文庫) 全2冊セット

ZOO(集英社文庫) 全2冊セット

  • メディア: セット買い
 

 

47. 粘膜蜥蜴 / 飴村行(2009年)

 

国民学校初等科に通う堀川真樹夫と中沢大吉は、ある時同級生の月ノ森雪麻呂から自宅に招待された。父は町で唯一の病院、月ノ森総合病院の院長であり、権勢を誇る月ノ森家に、2人は畏怖を抱いていた。〈ヘルビノ〉と呼ばれる頭部が蜥蜴の爬虫人に出迎えられた2人は、自宅に併設された病院地下の死体安置所に連れて行かれた。だがそこでは、権力を笠に着た雪麻呂の傍若無人な振る舞いと、凄惨な事件が待ち受けていた……。

 

 これは内緒なのだが、私は『粘膜シリーズ』を上梓した飴村行氏のおかげで読書沼に落とされたと言っても過言ではない。

本作は一部の変態にカルト的な人気な人気を誇る『粘膜シリーズ』の二作目であり、まさかの推理作家協会賞を受賞した作品である。

本作の特徴はとにかく面白いということだ。飴村行と言ったらデビュー作の『粘膜人間』の名前が挙がるのが普通だと思うが、はっきり言って本作はホラー小説界ではカルト的な人気を誇る『粘膜人間』よりも遥かに上をいく傑作である。

推理小説としても冒険小説としても最高な『粘膜蜥蜴』をぜひみんなに読んでいただきたい!!「怨敵、粉砕撃滅!!」

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

粘膜蜥蜴 (角川ホラー文庫)

  • 作者:飴村 行
  • 発売日: 2009/08/22
  • メディア: 文庫
 

 

48. 粘膜兄弟 / 飴村行(2010年)

 

ある地方の町外れに住む双子の兄弟。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は一人の女をめぐり凄惨な運命に身を委ねていく……『ドグラ・マグラ』『家畜人ヤプー』と比される現代の奇書、シリーズ第3弾!

 

『粘膜シリーズ』に共通する軍国主義の独特な世界観はそのままに、圧倒的にパワーアップしたセンスの良いギャグが火を噴く圧倒的なエンタメ傑作。個人的にはシリーズ最高傑作である。

さほど知名度が高い作品でないことは承知している。でもお願いします、読んで。

こんなに面白い本には滅多に出会うことはできないのだから。

 

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)

  • 作者:飴村 行
  • 発売日: 2010/05/22
  • メディア: 文庫
 

 

〇飴村行元帥のまとめ記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

49. ジェノサイド / 高野和明(2011年)

 

創薬化学を専攻する大学院生・研人のもとに死んだ父からのメールが届く。傭兵・イエーガーは難病を患う息子のために、コンゴ潜入の任務を引き受ける。2人の人生が交錯するとき、驚愕の真実が明らかに――。

 

 絶対に読むべき1冊である。はっきり言ってあまり万人受けする作品ではないと思うのだが、それでもベストセラーになったのはまだまだ日本人も捨てたもんじゃないな...などと調子に乗ったことを思ってしまった。

私の感想は本作はエンタメに振り切った作品ではなく、著者の政治的な思想が色濃く出ている社会派ミステリーであるため、エンタメに振り切らなかったという点で少々惜しいのだが、その点を差し引いても、これを読まずして何を読むのかというレベルの作品である。

小説を通じて何かを学びたいという方にはうってつけの素晴らしい内容である。

ジェノサイド

ジェノサイド

  • 作者:高野 和明
  • 発売日: 2011/03/30
  • メディア: 単行本
 

 

50. 月光ゲーム / 有栖川有栖(1989年)

 

夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼! 

 

 本格推理小説の代表作家として必ず名前が挙がる有栖川有栖のデビュー作であり、火山という極限状態でのクローズドサークルものである。

読者への挑戦状があるなど、いかにも本格推理な作品だが本作の素晴らしいところは、ミステリーだけでなく青春小説や恋愛小説としてもとても完成度が高いところだ。

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

月光ゲーム―Yの悲劇'88 (創元推理文庫)

 

 

51. 〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件 / 早坂吝(2014年)

 

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、仮面の男・黒沼が所有する孤島での、夏休み恒例のオフ会へ。赤毛の女子高生が初参加するなか、孤島に着いた翌日、メンバーの二人が失踪、続いて殺人事件が。さらには意図不明の密室が連続し……。果たして犯人は? そしてこの作品のタイトルとは? 「タイトル当て」でミステリランキングを席巻したネタバレ厳禁の第50回メフィスト賞受賞作

 

 こんなこと書いたらミステリーマニアとして村八分にされそうだが、本格推理小説としては5本の指に入るほどの傑作だと感じてしまったし、なによりキャラがとても良くて、意味のあるエロが満載なところがたまらない。

愛しすぎてネタバレ無しの個別作品記事も書いてしまったので、ぜひとも参考していただきたい!!

kodokusyo.hatenablog.com

 

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者:早坂 吝
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫
 

 

52. 神様ゲーム / 麻耶雄嵩(2005年)

 

自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?

 

 講談社ミステリーランドという児童向けのレーベルから刊行された作品にも関わらず、冗談のように邪悪で不謹慎な内容である。問題作ばかり発表し、神だの変態だのと称される麻耶雄嵩の本領発揮だ。全知全能の神が犯人を推理することもなく告げるという特殊な推理小説なので、もちろん犯人当ての要素はないのだが、だれも予想できない狂った真相が待ち受ける。

神様ゲーム (講談社文庫)

神様ゲーム (講談社文庫)

  • 作者:麻耶 雄嵩
  • 発売日: 2015/07/15
  • メディア: 文庫
 

 

53. さよなら神様 / 麻耶雄嵩(2014年)

 

1行目から真犯人の名前をズバリ公開!?
極北を行く麻耶ミステリーの最高傑作

「犯人は〇〇だよ」。
クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。

 

 変態傑作『神様ゲーム』の続編の連作短編で、前作とはまた異なるタイプの変態的な仕掛けが秘められている。推理小説は数多くの作品を読んでくると、あまり驚きを得ることができなくなっていく宿命にあるのだが、本作は初心者から玄人まで人を選ぶことなく驚愕を与えるだろう。

全知全能たる神様の設定が非常に巧みに活用されているのもすごい。

さよなら神様 (文春文庫)

さよなら神様 (文春文庫)

 

 

54. 悪意 / 東野圭吾(1996年)

 

人はなぜ人を殺すのか。
東野文学の最高峰。
人気作家が仕事場で殺された。第一発見者は、その妻と昔からの友人だった。
逮捕された犯人が決して語らない「動機」とはなんなのか。
超一級のホワイダニット

 

 世にもめずらしい 動機に焦点を置いているホワイダニット推理小説である。

完成度は尋常ではなく、『名探偵の掟』などで散々自虐していた"推理小説あるある"に全身全霊を込めて答えを提示したかのようである。

 動機が不明な事件って何だよ.....という興味が湧いた方はぜひ読んでみてほしい。

悪意 (講談社文庫)

悪意 (講談社文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2001/01/17
  • メディア: 文庫
 

 

55. 精霊の守り人 / 上橋菜穂子(1996年)

 

精霊の卵を宿す皇子チャグムを託され、命をかけて皇子を守る女用心棒バルサの活躍を描く物語。著者は2014年国際アンデルセン賞作家賞受賞。

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

 

 日本を代表するファンタジー小説守り人シリーズ』はシリーズのどの作品も圧倒的に面白いため、本当は全作品を本記事に挙げたいところだが、1作目の『精霊の守り人』のみに留めておく。(詳細は下記URLのシリーズ紹介記事をご参照ください。)

 完成された世界観、物語のスピーディな展開や臨場感のある戦闘シーン、魅力的なキャラクター、そしてハイレベルなリーダビリティ。エンタメ作品として完璧である。

 このシリーズのすごいところは、1作目が最高傑作かと思いきや先に進めば進むほどさらに面白くなっていくことにある。

 

〇シリーズ紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

 

 

56. 超・殺人事件 推理作家の苦悩 / 東野圭吾(2001年)

 

 新刊小説の書評に悩む書評家のもとに届けられた、奇妙な機械「ショヒョックス」。どんな小説に対してもたちどころに書評を作成するこの機械が、推理小説界を一変させる――。発表時、現実の出版界を震撼させた「超読書機械殺人事件」をはじめ、推理小説誕生の舞台裏をブラックに描いた危ない小説8連発。意表を衝くトリック、冴え渡るギャグ、そして怖すぎる結末。激辛クール作品集。

 

 まさに自虐テロといった感じの危険な内容である(笑)

ただのギャグ小説なのに手加減無用なところがとても好ましい。特定の作家をディスっているようにも思われる、強烈なブラックユーモアに噴き出すこと間違いなしである。出版業界がこんなになったらいやだ....

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

 

 

57. 密室殺人ゲーム 王手飛車取り / 歌野晶午(2007年)

 

“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。リアル殺人ゲームの行き着く先は!? 歌野本格の粋を心して堪能せよ。

 

 歌野晶午と言ったらまずは『葉桜の季節に君を想うということ』がまずは頭に浮かぶだろうが、私は葉桜は好きになれなかった。

 そして本作も葉桜とは違った意味で好きにはなれなかったのだが、面白さだけは認めない訳にはいかない。なんと言っても500ページ越えの小説にも関わらず一晩で読んでしまったという強力な徹夜本だからである。

 連作短編集と言っていい作品だが、最後には”これぞ歌野晶午”と言わんばかりの驚きが仕掛けられていて、「おッ!」となること間違いなしである。 

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

密室殺人ゲーム王手飛車取り (講談社文庫)

  • 作者:歌野 晶午
  • 発売日: 2010/01/15
  • メディア: 文庫
 

 

58. ネジ式ザゼツキー / 島田荘司(2003年)

 

記憶に障害を持つ男エゴン・マッカートが書いた物語。そこには、蜜柑の樹の上の国、ネジ式の関節を持つ妖精、人工筋肉で羽ばたく飛行機などが描かれていた。御手洗潔がそのファンタジーを読んだ時、エゴンの過去と物語に隠された驚愕の真実が浮かびあがる!圧倒的スケールと複合的な謎の傑作長編ミステリー。

 

 島田荘司という男の頭の中は一体どうなっているのだろうか.....。

途方もない奇想から、数々の不可解極まりない幻想的なミステリーを提示された島田御大だが、『ネジ式ザゼツキー 』はトップクラスの怪作である。

ネタは明かせないが島田御大の愛する”アレ”が幻想世界のベースになっているだけに、かなりの力を注がれた力作だと分かる。

ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)

ネジ式ザゼツキー (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2006/10/14
  • メディア: 文庫
 

 

59. 黒い家 / 貴志祐介(1997年)

 

若槻慎二は、生命保険会社の京都支社で保険金の支払い査定に忙殺されていた。ある日、顧客の家に呼び出され、期せずして子供の首吊り死体の第一発見者になってしまう。ほどなく死亡保険金が請求されるが、顧客の不審な態度から他殺を確信していた若槻は、独自調査に乗り出す。信じられない悪夢が待ち受けていることも知らずに……。恐怖の連続、桁外れのサスペンス。読者を未だ曾てない戦慄の境地へと導く衝撃のノンストップ長編。第4回日本ホラー小説大賞受賞作。

 

 最恐レベルのホラーサスペンスであり、サイコパスを書かせたら貴志祐介に並ぶ者はいないのではないかと思われるほど、狂った人の描写にリアリティがある。

 一番怖い小説に『黒い家』を挙げる人が多いのも納得であり、”人間が怖い系”の作品の中でも飛び抜けた完成度である。

 なお著者自身のサラリーマン時代の経験が主人公に活かされており、とにかく臨場感が半端ではないのも『黒い家』の恐ろしいところである。

黒い家 (角川ホラー文庫)

黒い家 (角川ホラー文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 文庫
 

 

60. リカ / 五十嵐貴久(2002年)

 

妻子を愛する42歳の平凡な会社員、本間は、出来心で始めた「出会い系」で「リカ」と名乗る女性と知り合う。しかし彼女は、恐るべき“怪物”だった。長い黒髪を振り乱し、常軌を逸した手段でストーキングをするリカ。その狂気に追いつめられた本間は、意を決し怪物と対決する。単行本未発表の衝撃のエピローグがついた完全版。第2回ホラーサスペンス大賞受賞。

 

 おっさんが出会い系に手を出したらとんでもない化け物にストーカーされちゃった!という、THEホラーサスペンスな作品である。

貴志祐介の傑作ホラー『黒い家』にノリが近いのだが、『リカ』はリアリティよりも純粋なホラーとしての要素が強く、リカが人間離れし過ぎているのがポイント。

 お世辞にも面白いとは言えない続編が何作も出ているが、著者のデビュー作でありシリーズ1作目となる『リカ』は文句なしに面白い。
 

リカ (幻冬舎文庫)

リカ (幻冬舎文庫)

 

 

61. 陽だまりの彼女 / 越谷オサム(2008年)

 

 幼馴染みと十年ぶりに再会した俺。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、俺には計り知れない過去を抱えているようで―その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる!誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説。


 ありがちな恋愛小説っぽくて話自体も王道恋愛小説といった具合に進行するのだが、彼女の正体というミステリー要素が読者をグイグイ引っ込み一気読み確定な作品となっている。

話が進むとファンタジー要素も入ってきてますます読む手は加速していき、ラストは読者によってだいぶ感想が異なってくると思う。

 特に男女でハッピーエンドと見るかバッドエンドと見るか変わってくると思う。
ちなみに私はバッドだと思う(泣)

 

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

 

 

62. 火車 / 宮部みゆき(1992年)

 

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して――なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか? いったい彼女は何者なのか? 謎を解く鍵は、カード社会の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

 
 東西ミステリベスト100の国内部門で5位という本気ですごい作品であり、このランキングのトップ5は存命中の作家だと島田荘司だけである。

言うまでもなく尋常ではない完成度の社会派ミステリであると同時に、エンターテイメント作品としてもとても優れており、大ボリュームな作品なのに一気読みさせられることになるだろう。
 クレジットカードや自己破産がテーマになっているためミステリ云々ではなく、読み物として万人におすすめしたい。

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

 

 

63. ダイナー / 平山夢明(2009年)

 

ひょんなことから、プロの殺し屋が集う会員制ダイナーでウェイトレスをする羽目になったオオバカナコ。
そこを訪れる客は、みな心に深いトラウマを抱えていた。一筋縄ではいかない凶悪な客ばかりを相手に、
カナコは生き延びることができるのか? 次々と現れる奇妙な殺し屋たち、命がけの恋──。

人の「狂気」「恐怖」を描いて当代随一の平山夢明が放つ、長編ノワール小説。

 

 凶悪でエグくてグロい小説ばかり書いている平山夢明作品の中では、強烈な暴力描写はあるものの、エンタメ要素がかなり強いため、比較的読みやすい部類に入る。映画化もされたのでおすすめしても問題ないだろう。

 一癖も二癖もあるヤバい殺し屋がいっぱい登場して、主役であるオオバカナコ(大バカな子)がピンチになりまくり続けるという流れ。

 ほんのちょっと映画『レオン』のような要素があるのがポイントで、とにかく面白ければ良いという人にはたまらないだろう。

ダイナー (ポプラ文庫)

ダイナー (ポプラ文庫)

  • 作者:平山 夢明
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫
 

 

64. 夜市 / 恒川光太郎(2009年)

 

妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた―。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング!魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。


  日本ホラー小説大賞受賞作した『夜市』と表題作以上に素晴らしい『風の古道』を収録した中編集である。

 どちらの作品もホラー要素はあまり強くなく、美しく儚い幻想的な世界観のダークファンタジーで、表題作はジブリの『千と千尋の神隠し』のような印象もある。
圧巻は『風の古道』であり、映像化など絶対にできない圧倒的な異世界に読者を導いてくれるだろう。

日常に疲れて現実逃避したい時にはこれ以上のものはないだろう。

 

夜市 (角川ホラー文庫)

夜市 (角川ホラー文庫)

 

 

65. イニシエーション・ラブ / 乾くるみ(2004年)

 

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

 

 普段は本を読まない人に小説の魅力を伝えるのに最適な一冊である。

数々の娯楽が溢れかえった今の世の中では、小説に魅力を見出すのが難しいのかもしれないが、そんな中でも小説でしか味わえないものというのがある。

 その一つに小説ならではの仕掛けというのがあるのだが、『イニシエーション・ラブ』は青春恋愛小説でありながらその小説の秘儀を高いレベルで成功させている。

 ミステリー慣れしていない人やこれから読書にハマりたいような人には超おすすめ。

ちなみに映像化不可能な本作はなんと映画化されている。そちらも見ものである。

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 

66. 孤島の鬼 / 江戸川乱歩(1930年)

 

私(蓑浦金之助)は会社の同僚木崎初代と熱烈な恋に陥った。彼女は捨てられた子で,先祖の系譜帳を持っていたが,先祖がどこの誰ともわからない。ある夜,初代は完全に戸締まりをした自宅で,何者かに心臓を刺されて殺された。その時,犯人は彼女の手提げ袋とチョコレートの缶とを持ち去った。恋人を奪われた私は,探偵趣味の友人,深山木幸吉に調査を依頼するが,何かをつかみかけたところで,深山木は衆人環視の中で刺し殺されてしまう……!

 

前半は密室と衆人環境での殺人という二つの殺人事件の謎を追う推理小説、中盤は江戸川乱歩の変態趣味が炸裂する怪奇幻想小説、そして後半は冒険小説と進む。

物語自体が尋常ではない面白さであるため、古い作品だからと言う理由で読まないのはもったいなすぎる。

BLの超傑作でもあるので、腐女子は死んでも読まなければならない。

孤島の鬼 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
 

 

67. ゴーストハント / 小野不由美(1930年)

 

 学校の旧校舎には取り壊そうとすると祟りがあるという怪奇な噂が絶えない。心霊現象の調査事務所である渋谷サイキックリサーチ(SPR)は、校長からの依頼で旧校舎の怪異現象の調査に来ていた。高等部に通う麻衣はひょんなことから、SPRの仕事を手伝うことに。なんとその所長は、とんでもなく偉そうな自信家の17歳になる美少年、渋谷一也(通称ナル)。調査に加わるのは個性的な霊能者たち。ミステリ&ホラーシリーズ。

 

 小野不由美と言ったらホラー×ミステリーの名手だが、結構読みずらい本が多いので、手に取る本を誤ると挫折する可能性もあるかもしれない。

代表作である『十二国記』ですらけっこう読みずらいのである。
そんな中この『ゴーストハント』はとても読みやすく、魅力的なキャラクターたちによって繰り広げられる、超高品質なホラー×ミステリーである。

 もともとはティーン向けの作品だったが、怪奇現象を例の仕業なのか人間の仕業なのか論理的に追及する流れは大人が読んでも楽しむことができる。

 

ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫)

ゴーストハント1 旧校舎怪談 (角川文庫)

 

 

68. モンスター / 百田尚樹(1999年)

 

田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた 未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった——。


 話は実にシンプルで、非常に醜い容姿だった女が整形を繰り返しまくって絶世の美女になり、かつて好きだった男に〇〇するという物語である。

『モンスター』のすごいところは、これぞエンターテイメントと言えるくらい話が面白いだけではない。
美容整形に関する蘊蓄の量が尋常ではなく、いったい著者は(ハゲなのに)どれだけ研究したんだよとツッコミを入れたくなるレベルなのだ。

 美容整形について学べる本としても万人が読んでおくべきなのかもしれない。

 

モンスター (幻冬舎文庫)

モンスター (幻冬舎文庫)

  • 作者:百田 尚樹
  • 発売日: 2012/04/12
  • メディア: 文庫
 

 

69. 倒錯のロンド / 折原一(1989年)

 

精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた。―その“原作者”と“盗作者”の、緊迫の駆け引き。巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。鬼才島田荘司氏が「驚嘆すべき傑作」と賞替する、

 

 最強に面白い本格ミステリの最有力候補である。

折原一といったら叙述トリックなので、もはや隠す必要はないだろうから書いてしまうと、『倒錯のロンド』は非常にレベルの高い叙述トリックものである。

 だがそんなことはどうでもいいほど物語が面白いのである。
猛烈に勢いのある筆致に、なんとなくブラックユーモアめいたセリフ、そしてS・キングの『シャイニング』を全力でパロっていたりととことん面白さを追求している。

 

倒錯のロンド (講談社文庫)

倒錯のロンド (講談社文庫)

  • 作者:折原 一
  • 発売日: 1992/08/03
  • メディア: 文庫
 

 

70. 青の炎 / 貴志祐介(1999年)

 

櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

 

 人によっては貴志祐介の最高傑作に挙げる人もいるであろう青春小説の大傑作である。

 犯人目線で描かれる倒叙ミステリという形のミステリであり、母と妹を外道から守ろうとする主人公の心理描写が貴志作品ならではの強い臨場感で描かれている。

 映画化もされているが、この繊細な心理は役者を通じてでは決して伝わらないであろう。

 しかもこんなシリアスな作品でもちゃっかりエロシーンを入れて、しかもそれが作品のせつなさを跳ね上げているのが貴志クオリティである。

 

青の炎 (角川文庫)

青の炎 (角川文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2002/10/23
  • メディア: 文庫
  

 

71. the TEAM / 井上夢人(2006年)

 

悩みを解決していたのは、霊視ではなく…!?
人気〈霊導師〉の能城あや子。実は、スタッフが収集する情報で、霊視しているかのように装っているのだ。彼女の正体を暴こうと、週刊誌の記者が調査に乗り出すが…。痛快連作集!


 流麗な筆致による読みやすさと計算された面白さ、ミステリーとしての完成度を兼ね備えたとてもよくできた作品である。
井上夢人先生と言ったら、機械やIT技術とオカルト系の造形がかなり深いのだが、『the TEAM』では著者の得意分野が満遍なく発揮されていて、連作短編形式で読みやすいということもあり、井上作品初読みの方にもおすすめである。
岡嶋二人ファンには一番違和感のない作品だと思う。

 

the TEAM ザ・チーム (集英社文庫)

the TEAM ザ・チーム (集英社文庫)

  • 作者:井上 夢人
  • 発売日: 2009/01/20
  • メディア: 文庫
 

 

72. そして扉が閉ざされた / 岡嶋二人(1987年)

 

富豪の若き1人娘が不審な事故で死亡して3カ月、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた!なぜ?
そもそもあの事故の真相は何だったのか?4人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。


 すらすら短い時間で読めて、本格推理小説としても物語としても良くできている傑作。

男女4人が核シェルターに閉じ込められて事件の真相を推理をさせられるというシチュエーションからしてやたら面白く、事件の謎解きや核シェルターからの脱出など強力な娯楽作品に仕上がっている。

 青春小説の側面もあり、様々な層の読者におすすめできる。

そして扉が閉ざされた (講談社文庫)

そして扉が閉ざされた (講談社文庫)

  • 作者:岡嶋 二人
  • 発売日: 1990/12/04
  • メディア: 文庫
 

 

73. こどもの一生 / 中島らも(2003年)

 

異才・中島らものB級ホラーの頂点!
瀬戸内海の小島に、サイコセラピーのために集まった5人の男女。薬の投与と催眠術を使った治療で、彼らの意識は10歳のこどもへと戻ってゆく。抱腹絶倒、やがて恐怖が襲う超B級ホラー。


 とにかく徹底的に娯楽を追求したような作品であり、中島らものお笑いのセンスが火を噴く、爆笑必至の中盤までの展開は催眠術の豊富な蘊蓄による絶妙なリアリティがある。

 そして突如様子が変わってホラー化する終盤の流れは、中島らも自身がよくできたと評されている通り、笑えるのに笑えない本気のホラーとなっている。

 小説に面白さだけを追求するなら最良の選択肢になるだろう。

 

こどもの一生 (集英社文庫)

こどもの一生 (集英社文庫)

  • 作者:中島 らも
  • 発売日: 2006/07/20
  • メディア: 文庫
 

 

74. みんな邪魔 / 真梨幸子(2010年)

 

少女漫画『青い瞳のジャンヌ』をこよなく愛する“青い六人会”。噂話と妄想を楽しむ中年女性たちだったが、あるメンバーの失踪を機に正体を露にし始める。飛び交う嘘、姑息な罠、そして起こった惨殺事件―。辛い現実から目を背け、ヒロインを夢見る彼女たち。その熱狂が加速する時、新たな犠牲者が…。殺人鬼より怖い平凡な女たちの暴走ミステリ。

 

 最強のイヤミス候補である。
イヤさ加減は”イヤミスの女王”と呼ばれる真梨幸子の著書の中にあってなお、目も当てられぬ程酷いものであり、なおかつミステリとしても高水準でしっかり驚けるという激ヤバな作品である。

 おばさんの暴走を書かせたらこの人に勝る者はいないのではなかろうか。

みんな邪魔 (幻冬舎文庫)

みんな邪魔 (幻冬舎文庫)

  • 作者:真梨 幸子
  • 発売日: 2011/12/06
  • メディア: 文庫
 

 

75. 湘南人肉医 / 大石圭(2003年)

 

湘南で整形外科医として働く小鳥田優児は、神の手と噂されるほどの名医だった。数々の難手術を成功させ、多くの女性を見違えるほどの美人に変貌させていた。しかし、彼は小さな頃から人肉に対して憧れを持っていた。そして、ある日、手術で吸引した女性の臀部の脂肪を自宅に持ち帰り、食べてしまう。それは麻酔が施されていたため、苦く、おいしいものではなかったが、人の肉を食べるという禁を破ったことに対して、優児は強いエクスタシーを感じた…。

 

 完全にOUTな物語なのだが、読み始めてしまうや一気読みさせられる変態本である。

終始起伏も緊張感もなくまったり進む展開や、語りかけるような優しい筆致に謎に癒されてしまうかもしれない。

 変態的な性癖を持つそこのあなた....必読ですぞ。

 

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

湘南人肉医 (角川ホラー文庫)

 

 

76. オフシーズン / J.ケッチャム(1980年)

 

避暑客が去り冷たい秋風が吹き始めた九月のメイン州の避暑地。ニューヨークから六人の男女が休暇をとって当地にや
って来る。最初に到着したのは書箱編集者のカーラ。すこし遅れて、彼女の現在のボーイフレンドのジム、彼女の妹の
マー ジーとそのボーイフレンドのダン、そしてカーラのかつてのボーイフレンドのニックとそのガールフレンドのロー
ラが到着した。六人全員が到着した晩に事件は勃発した。当地に住む“食人族"が六人に襲い掛かったのだ。“食人族
"対“都 会族"の凄惨な死闘が開始する。

 

 絵に描いたようなB級スプラッタホラーの超傑作。

エロもグロも突き抜けて凄まじいことになっており、怒涛の勢いで阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される様は、この手の話が好きなら恋人に嫌われようが必読である。

 世の中にはあからさまなエロやグロを追求した作品が溢れかえっていて、正直興醒めしてしまうのだが、『オフシーズン』は強烈でありながらも狙った感は皆無であり、結末の容赦の無さも実に教訓的で自然である。

 

モダンホラーの帝王S.キング曰く

全米一怖い作家は誰だ?きっとジャック・ケッチャムさ。

『オフシーズン』の無修正版を感謝祭の日に読んだら、

きっとクリスマスの日まで眠れなくなること請け合いだ。

ティーブおじさんが警告しなかったなんて言うなよ、

はっはっはっ……(by スティーブン・キング)

 

オフシーズン (海外文庫)

オフシーズン (海外文庫)

 

 

77. puzzle / 恩田陸(2000年)

 

学校の体育館で発見された餓死死体。高層アパートの屋上には、墜落したとしか思えない全身打撲死体。映画館の座席に腰掛けていた感電死体―コンクリートの堤防に囲まれた無機質な廃墟の島で見つかった、奇妙な遺体たち。しかも、死亡時刻も限りなく近い。偶然による事故なのか、殺人か?この謎に挑む二人の検事の、息詰まる攻防を描く驚愕のミステリー。

 

 恩田陸的な投げっぱなし感が強烈な中編幻想ミステリ。

広義のミステリとしてみれば素晴らしいのだが、本格推理小説としてみると途端に壁投げ本と化すというかなり好みが分かれる作品だが、幻想的な雰囲気は恩田陸ならではの美しさがある。

200ページに満たない尺でやりたい放題やらかしてるのが最高。

puzzle (祥伝社文庫)

puzzle (祥伝社文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2000/10/01
  • メディア: 文庫
 

 

78. 屋上 / 島田荘司(2016年)

 

 自殺する理由がない男女が、次々と飛び降りる屋上がある。足元には植木鉢の森、周囲には目撃者の窓、頭上には朽ち果てた電飾看板。そしてどんなトリックもない。死んだ盆栽作家と悲劇の大女優の祟りか?霊界への入口に名探偵・御手洗潔は向かう。人智を超えた謎には「読者への挑戦状」が仕掛けられている!

 

 ゴッドオブミステリーによる最強のバカミスである。

賛否両論を呼んでいるが、本格推理小説として考えずに純粋にエンタメ作品としてみれば稀に見る傑作である。

これでもかというほど自殺するはずがない人が次々と屋上から飛び降り自殺するという怪事件が、アホみたく面白おかしく描かれる。

 島田御大はたまに笑える作品を書かれるのだが、『屋上』はお笑い本としては最高傑作であり、ミステリーとしてもしっかりしているので万人におすすめ。

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

屋上 (講談社文庫)

屋上 (講談社文庫)

 

 

79. 葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午(2003年)

 

 「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。


 もう隠す必要すらない叙述トリックものの傑作である。

個人的には『葉桜』で仕掛けられた騙しの叙述トリック自体は好きになれない....というか嫌いなのだが、真相が判明した後に読む2週目がこれ以上ないほどに滑稽で笑えるのが好印象。

 好き嫌いが分かれるのは間違いないが、物語の面白さと仕掛けの巧妙さはさすがである。とりあえず読んでおくべき作品。 

 

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

  • 作者:歌野 晶午
  • 発売日: 2007/05/10
  • メディア: 文庫
 

 

80. 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない / 桜庭一樹(2004年)

 

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。あたし=中学生の山田なぎさは、子供という境遇に絶望し、一刻も早く社会に出て、お金という“実弾”を手にするべく、自衛官を志望していた。そんななぎさに、都会からの転校生、海野藻屑は何かと絡んでくる。嘘つきで残酷だが、どこか魅力的な藻屑となぎさは序々に親しくなっていく。だが、藻屑は日夜、父からの暴力に曝されており、ある日―。直木賞作家がおくる、切実な痛みに満ちた青春文学。

 

 最強に面白いという形容詞がふさわしい作品ではないが、魔力と言っても良い不思議な魅力があり、読み始めたら一心不乱に最後まで読み進めることになるだろう。

 私はただちょくちょく名前を見る作品だし、短くて読みやすそうだからという理由で読んだのだが、想定外の素晴らしい読書体験となった。

 

 

81. 羆嵐 / 吉村昭(1977年)

 

北海道天塩山麓の開拓村を突然恐怖の渦に巻込んだ一頭の羆の出現!日本獣害史上最大の惨事は大正4年12月に起った。冬眠の時期を逸した羆が、わずか2日間に6人の男女を殺害したのである。鮮血に染まる雪、羆を潜める闇、人骨を齧る不気味な音…。自然の猛威の前で、なす術のない人間たちと、ただ一人沈着に羆と対決する老練な猟師の姿を浮彫りにする、ドキュメンタリー長編。

 

 まるでその場で惨劇を見ているかのような最強のリアリティ小説である。

描写の臨場感は尋常ではなく、読んでいると羆の息遣いがすぐそこで聞こえてくるようで、相手はクマなので言うまでもなく残虐さも最恐クラスである。

 くまのプーさんが危険なファンタジーであることが分かる強烈な一冊。

羆嵐 (新潮文庫)

羆嵐 (新潮文庫)

  • 作者:昭, 吉村
  • 発売日: 1982/11/29
  • メディア: 文庫
 

 

82. オルファクトグラム / 井上夢人(2000年)

 

姉を殺害した犯人に、事件現場で襲撃された片桐稔は、その後遺症から通常の“匂い”を失い、イヌ並みの嗅覚をもつことに…。まったく違う世界に戸惑いながらも、失踪したバンド仲間を、嗅覚を頼りに捜し求めてゆく。新たな能力を駆使することで、姉の仇を討てるのか?新感覚の大長編異次元ミステリー。

 

 ジャンルにとらわれずに優れた作品を上梓する井上夢人作品の中でも、最も唯一無二な内容で、他の作家にはまず書くことができない”嗅覚”小説である。

 殺人事件の真相を特殊な嗅覚を用いて追うミステリーというよりは、嗅覚が視覚に取って代わった世界を見事に描いたファンタジーのような作品である。

膨大なページ数だが、圧倒的な読みやすさが時間を忘れさせ睡眠時間をゴリゴリ削る徹夜本である。

 

オルファクトグラム(上) (講談社文庫)

オルファクトグラム(上) (講談社文庫)

  • 作者:井上 夢人
  • 発売日: 2005/02/15
  • メディア: 文庫
 
オルファクトグラム(下) (講談社文庫)

オルファクトグラム(下) (講談社文庫)

  • 作者:井上 夢人
  • 発売日: 2005/02/15
  • メディア: 文庫
 

 

83. 悪の教典 / 貴志先生(2010年)

 

晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしていた。しかし彼は、邪魔者は躊躇なく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。学校という性善説に基づくシステムにサイコパスが紛れこんだとき──。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。

 

 貴志祐介黒いお得意のサイコパスを描いた作品であり、イケメン英語教師ハスミンが大暴れするハイパーなサイコ物語である。

前半はブラックユーモアを匂わせつつハスミンが邪魔者をひっそりと抹殺していく傑作サスペンス、下巻は自分の利益のために生徒全員を皆殺しにするという阿鼻叫喚の地獄絵図が展開される。

 貴志本人によると”一気読み”を狙った作品とのことで、大長編にも関わらずとにかく読ませまくる作品だ。

 

悪の教典 上下巻 セット

悪の教典 上下巻 セット

  • メディア: セット買い
 

 

 

84. 迷路館の殺人 / 綾辻行人(1988年)

 

奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた4人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった!
周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第3作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作!

 

 誰もが通る道である『十角館の殺人』を正統派なド直球本格推理小説だとすると、『迷路館の殺人』はこれでもかというほどトリッキーな最強の騙し小説である。

 

 絶対に騙されないつもりで慎重に慎重に読み進めてもすべてのトラップを回避することは不可能だろう。

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 文庫
 

 

85. 恋のゴンドラ / 東野圭吾(2016年)

 

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃美とスノボ旅行へ。ところがゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。ゴーグルとマスクで顔を隠し、果たして山頂までバレずに済むのか。やがて真冬のゲレンデを舞台に、幾人もの男女を巻き込み、衝撃の愛憎劇へと発展していく。文庫特別編「ニアミス」を収録。

 

 あらすじを読んで楽しそうと思った方ならクリティカルヒット確実な、東野圭吾のブラックユーモアと残念な男性心理が炸裂する悪ノリ本である。

 かなり評価が割れている本だが、読者がリア充であるか非リアであるかによって評価が決まるのだろう。ちなみにミステリーでもなくラブコメ連作短編集なのでその点もミステリー作家としての東野ファンには受け入れられないのかもしれない。

まぁとりあえず面白そうだと感じたら読もう。ラブコメとはいえ百戦錬磨の東野作品だけに、壮絶極まりないラストが待っている。

 

恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)

恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)

  • 作者:東野 圭吾
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫
 

 

86. エムブリヲ奇譚 / 山白朝子(2012年)

 

「わすれたほうがいいことも、この世には、あるのだ」無名の温泉地を求める旅本作家の和泉蝋庵。荷物持ちとして旅に同行する耳彦は、蝋庵の悪癖ともいえる迷い癖のせいで常に災厄に見舞われている。幾度も輪廻を巡る少女や、湯煙のむこうに佇む死に別れた幼馴染み。そして“エムブリヲ”と呼ばれる哀しき胎児。出会いと別れを繰り返し、辿りついた先にあるものは、極楽かこの世の地獄か。哀しくも切ない道中記、ここに開幕。

 

 もはや周知の事実だろうから書かせていただくが、山白朝子とは天才作家・乙一の別名義である。

『エムブリヲ奇譚』は黒乙一ならではの"残酷さ"に白乙一の”せつなさ”をブレンドして、それを独特の世界観を持った時代小説風に描いた連作短編集である。

短編の名手であるだけに個々の作品はかなりのインパクトがあり、サラッと読めるのにかなりヘヴィでせつない読後感が残るすごい作品である。

 乙一のホラーな要素や不思議な話が好きな方なら必読だ。

 

エムブリヲ奇譚 (角川文庫)

エムブリヲ奇譚 (角川文庫)

  • 作者:山白 朝子
  • 発売日: 2016/03/25
  • メディア: 文庫
 

 

87. 私のサイクロプス / 山白朝子(2016年)

 

書物問屋で働く輪は、旅本作家・和泉蝋庵と彼の荷物持ち・耳彦と未踏の温泉地を求める旅に出ては、蝋庵のひどい迷い癖のせいで行く先々で怪異に遭遇していた。ある日山道で2人とはぐれてしまった輪は、足をすべらせて意識をうしなう。眠りからさめると、背丈が輪の3倍以上あるおおきな男が顔をのぞきこんでいた。心優しき異形の巨人と少女の交流を描いた表題作を含む9篇を収録した、かなしくておぞましい傑作怪異譚。

 

 『エムブリヲ奇譚』の続編であり、前作で登場した”輪”という女性が再登場するため、キャラもの作品としては前作を凌駕している。

残酷さとせつなさを凝縮した作品だけに、乙一好きでグロテスクな描写が苦手な方でなければ、小説の世界に魂が持っていかれるくらい惹かれることだと思う。

 

私のサイクロプス (角川文庫)

私のサイクロプス (角川文庫)

  • 作者:山白 朝子
  • 発売日: 2019/02/23
  • メディア: 文庫
 

 

 

神本探しに終わりはない

素晴らしい本に出会ったらその都度更新していく。