神本を求めて

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究極の徹夜本15選|読みやすいおすすめ一気読み小説ランキング

睡眠時間を奪う罪深き物語

 

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徹夜本は天災に匹敵する

選定のルール

 
  1. リーダビリティの高さ
    どんなに面白い物語でも読みづらければ途中で寝てしまうだろう。
  2. 最初から最後までダレずに面白い
    ダレるシーンがあれば途端に睡魔が襲ってくる。
  3. 気になる謎がある
    一気読みせずにはいられない最も重要な要素。
  4. 読みやめるタイミングがない
    キリの良いシーンがあるとそこで栞を挟んでしまうだろう。
  5. ヤバいページ数
    一晩で読了してこその徹夜本なので5時間以上かかるのが最低条件。
    長すぎてもダメ。ズバリ450~600ページが最も危険なゾーン。

では徹夜本を紹介していく。ランキングでは読みやすさおもしろさ気になる謎を10段階評価で記載する。またページ数は原則文庫版の数字である。

 

15位  屋上 / 島田荘司(2016年)

 

自殺する理由がない男女が、次々と飛び降りる屋上がある。足元には植木鉢の森、周囲には目撃者の窓、頭上には朽ち果てた電飾看板。そしてどんなトリックもない。死んだ盆栽作家と悲劇の大女優の祟りか?霊界への入口に名探偵・御手洗潔は向かう。人智を超えた謎には「読者への挑戦状」が仕掛けられている!

 

読みやすさ:★★★★★★★★★☆

おもしろさ:★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★★★

ページ数:約560ページ

 

10位だがはっきり言ってかなり強烈な徹夜本である。

島田荘司と言えばミステリの神だが、そんな神がバカミス(おバカなミステリー)に本気を出したらどうなるのだろうか...?その答えがこの本である。

自殺するはずのない人々が次々に自殺していく魔の屋上。そこにはいったいどんな仕掛けがあるのだろうか。気になり過ぎて徹夜は確定だろう。しかしこの本の本当の面白さは登場人物たちの爆笑必至の掛け合いにある。その勢いたるやまさに漫才である。

ちょっとおバカ過ぎるので10位にしたが、睡眠時間を削りまくる危険な1冊である。

 

〇個別紹介記事

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14位  ガダラの豚 / (1993年)

 

アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアルコール中毒に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★☆

おもしろさ:★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★☆☆☆☆☆☆

ページ数:約1050ページ

 

クッソ面白い小説NO.1候補の超傑作である。

亡くなられてだいぶ経つので今ではやや知名度が落ちてきている中島らも氏。多彩な方で面白すぎるエッセーも多く書かれているが、そんな孤高の天才がエンタメに全力を注ぎ、かつ高い知性を遺憾なく発揮したのが『ガダラの豚』である。

あらすじを見ただけで面白いことは分かるだろうが、本作は3つのパートに分かれている。お笑い→冒険→サスペンスホラーである。日本推理作家協会賞を受賞している割に謎自体はさほど凄くないことと、3つのパートそれぞれのキリが良いので徹夜本としては9位にしたが、万人におすすめしたい素晴らしい作品である。

 

⇩ぜひ中島らもを知ってほしい!!

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13位  魔性の子 / 小野不由美(1991年)

 

どこにも、僕のいる場所はない──教育実習のため母校に戻った広瀬は、高里という生徒が気に掛かる。周囲に馴染まぬ姿が過ぎし日の自分に重なった。彼を虐(いじ)めた者が不慮の事故に遭うため、「高里は祟(たた)る」と恐れられていたが、彼を取り巻く謎は、“神隠し”を体験したことに関わっているのか。広瀬が庇おうとするなか、更なる惨劇が……。心に潜む暗部が繙(ひもと)かれる、「十二国記」戦慄の序章。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★☆

おもしろさ:★★★★★★★★★☆

気になる謎:★★★★★★☆☆☆☆

ページ数:約500ページ

 

私が女性作家の中で最も崇拝している作家、主上こと小野不由美女史。

小野作品は基本的にじっくり堪能するタイプの作品が多いのだが、『十二国記』のエピソード0にあたる魔性の子は、ホラー/ファンタジー/ミステリーの要素をバランス良く備えていて、非常に一気読み要素が強い危険な作品になっている。

1人の青年の周りで次々を起こる祟りのような災厄はいったい何なのか。また人探しをする幽霊の正体とは一体。これを読んでハマったら十二国記へなだれ込むことは確定だ。そして『十二国記』にも徹夜級のヤバいエピソードがあるので、時間を忘れて読書に耽ることができるだろう。

まぁ私が本当に徹夜したのは『風の万里 黎明の空』と『白銀の墟 玄の月』なので、『魔性の子』を読んで『十二国記』興味を持ったのなら読み進めてみてほしい。

 

十二国記の紹介記事

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12位  粘膜兄弟 / 飴村行(2010年)

 

ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。美人で愛嬌があり、言い寄る男も多かった。二人もふられ続けだったが、ある日、なぜかゆず子は食事を申し出てきた。二人は狂喜してそれを受け入れた。だが、この出来事は凄惨な運命の幕開けだった…。待望の「粘膜」シリーズ第3弾。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★☆☆☆☆☆

ページ数:約480ページ

 

高次元のエログロバカと独創的な世界観を持つ超絶娯楽本である。

粘膜シリーズ』自体が非常に面白いのだが、三作目の粘膜兄弟は圧倒的だ。戦時中の大日本帝国的な架空の国と東南アジア的な戦地が舞台となっており、おバカな要素を抜きにしても、戦争冒険小説として途轍もない完成度を誇っている。

くびとまらぼうをながくしてまってます。 へるぷみー。”戦争に出陣した兄弟二人に召使のお爺さんが出した手紙の引用である(笑)

 

⇩我が布教したい作家NO.1。

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11位  ハサミ男 / 殊能将之(1999年)

 

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★☆☆☆

気になる謎:★★★★★★★★★★★★★

ページ数:約520ページ

 

まぁお約束でしょう。

私は衝撃のラストやどんでん返し、叙述トリックを売りにした本格ミステリ小説は総じて嫌いなのだが、『ハサミ男』は本格ミステリとして優れているだけでなく、”特殊な性癖を持つ変態”を大満足させるという素晴らしい仕様となっている。

最初にこの本を読んだ時は”愛憎の射精”をしてしまうという貴重な経験をさせられた。個人的なふざけた紹介になったが、ハサミ男はミステリ慣れしてい方が読んだら感激し、ミステリ玄人が読んでも納得のいく一品で、物語自体が面白いのでまさに読み始めたら最後な徹夜本と言えるだろう。

 

 

10位  マリアビートル / 伊坂幸太郎(2010年)

 

幼い息子の仇討ちを企てる、酒びたりの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利き二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交錯する――。小説は、ついにここまでやってきた。映画やマンガ、あらゆるジャンルのエンターテイメントを追い抜く、娯楽小説の到達点!

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★☆☆☆☆☆☆☆

ページ数:約600ページ

 

人気過ぎて名前を出すのも恥ずかしいが、『マリアビートル』をランクインさせなければさすがに潜りになるのでしっかり紹介しよう。

伊坂作品はどうも筆致やセリフが気に入らずイマイチ好きになれないのだが、『マリアビートル』では芝居がかった台詞がむしろ良い仕事をしていて、登場する殺し屋たちがとても魅力的に描かれている。蜜柑檸檬とかホント最高。そして王子はゴミカスクズ。

内容は東北新幹線の中でそれぞれの思惑をもった殺し屋たちがドンパチをするという他愛ないものなのだが、当代最高峰のエンタメ作家が100%エンタメに特化した作品を書くとこうまで面白くなるのかというお手本のような作品である。

伊坂作品は結構ワンパターンなイメージがあるので、伊坂慣れする前に本作を読むべきなのだが、前作の『グラスホッパー』は必ず先に読んでおくことを推奨する。

 

〇シリーズ紹介記事

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9位  クラインの壺 / 岡嶋二人(1989年)

 

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★☆

気になる謎:★★★★★★★★★★

ページ数:約520ページ

 

徹夜本オブ徹夜本。一気読み確定の超傑作である。

この本はVR(仮想現実)という難しめなテーマを扱ったSFミステリーに分類される作品が、岡嶋二人(井上夢人)ならではの非常に高いリーダビリティと魅力的な謎によりスラスラと読めてしまう。

1989年に書かれたにも関わらず、今読んでも何の違和感も感じないので著者の先見の明が称えられているが、個人的にはこんな徹夜本を生み出してしまった著者が恐ろしい。VRドグラ・マグラを堪能してほしい。

 

クラインの壺が好きな方には岡嶋二人の一人、井上夢人氏の本がおすすめ。

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8位  香君 / 上橋菜穂子(2022年)

 

遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。『精霊の守り人』『獣の奏者』『鹿の王』の著者による新たなる代表作の誕生です。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★★★★★★

ページ数:約900ページ(単行本)

 

読んだ方なら分かるだろうが正真正銘の徹夜本である。

上橋女史には『守り人シリーズ』のように物語そのものを楽しむ作風と、『獣の奏者』や『鹿の王』のように、物語だけでなく科学的なミステリーを探究する作風があるのだが、『香君』はまさに後者に属し、上橋作品の集大成ともいえる科学ミステリーとなっている。

物語そのものが面白いのは安定の上橋ファンタジーなので当たり前として、本作は読みやすさと気になる謎、そして文庫版なら1000ページを超えるであろう長尺なので、じっくり楽しみたいと思いつつも謎が気になって眠れない人にとっては、かなり凶悪な徹夜本となるだろう。

 

〇作品紹介記事

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7位  三体Ⅱ 黒暗森林 / 劉慈欣(2008年)

 

人類に絶望した天体物理学者・葉文潔が宇宙に向けて発信したメッセージは、三つの太陽を持つ異星文明・三体世界に届いた。新天地を求める三体文明は、千隻を超える侵略艦隊を組織し、地球へと送り出す。太陽系到達は四百数十年後。人類よりはるかに進んだ技術力を持つ三体艦隊との対決という未曾有の危機に直面した人類は、国連惑星防衛理事会を設立し、防衛計画の柱となる宇宙軍を創設する。だが、人類のあらゆる活動は三体文明から送り込まれた極微スーパーコンピュータ・智子に監視されていた! このままでは三体艦隊との“終末決戦"に敗北することは必定。絶望的な状況を打開するため、前代未聞の「面壁計画」が発動。人類の命運は、四人の面壁者に託される。そして、葉文潔から“宇宙社会学の公理"を託された羅輯の決断とは?

 

読みやすさ:★★★★★☆☆☆☆☆

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★☆☆

ページ数:約650ページ

※単行本で文字びっしりのため日本の平均的な小説に換算すると1000ページはいくかも

 

人類最高傑作『三体』の第二部”黒暗森林”はまさに最強の徹夜本である。

第一部は個人的にはまぁまぁかと思っていたら、第二部は100万倍くらい面白くなっていて、ハードSFとして最強なのは言うまでもなく、人類を遥かに超越した三体文明にどうやって打ち勝つのかというミステリー要素が読む手を加速させまくる。

特に作中で時間が経過して宇宙艦隊が三体の先遣隊的な”あるもの”と対峙した時の驚愕と言ったら!!脳内麻薬が爆裂しまくってもはや睡眠は不可能だろう。

第三部はまた違った良さがあり、こちらも意識不明級の徹夜を余儀なくされるので、徹夜本をお求めなら三体シリーズで決まりだ。

 

〇三体三部作紹介記事

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6位  忍びの卍 / 山田風太郎(1967年)

 

時は寛永9年。三代家光の治世である。大老土井大炊頭の近習・椎ノ葉刀馬は、御公儀忍び組に関する秘命を受ける。伊賀・甲賀・根来の代表選手を査察し、最も優れた組を選抜せよというのだ。妖艶奇怪この上ない忍法に圧倒されながらも、任務を果たす刀馬。全ては滞りなく決まったかに見えたが…それは駿河大納言をも巻き込んだ壮絶な隠密合戦の幕開けだった。卍と咲く忍びの徒花。その陰で描かれていた戦慄の絵図とは…。公儀という権力組織を鮮烈に描いた名作。

 

読みやすさ:★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★★★★★★

ページ数:約550ページ

 

山田風太郎ファンの私が最も推す作品の一つである。

超面白い×超エロい×超真相が気になるという徹夜要素を持っており、ページ数も550ページ近いという問答無用の超絶徹夜本である。

半世紀以上前に書かれた時代小説であるため、時代小説に慣れていない方からすれば少々読みづらい部分もあるかもしれないが、荒唐無稽な面白さと勃起確実なエロ描写は確実に睡眠時間を削るだろう。そして何より本作が最強徹夜本であるポイントは衝撃の真相がラストで判明することにある。心の底からおすすめしたい作品。

爆笑して、射精して、号泣する。そんな小説である。(なんじゃそら)

 

〇作品紹介記事

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5位  白夜行 / 東野圭吾(1999年)

 

1973年、大阪の廃墟ビルで一人の質屋が殺された。容疑者は次々に浮かぶが、結局、事件は迷宮入りする。被害者の息子・桐原亮司と、「容疑者」の娘・西本雪穂―暗い眼をした少年と、並外れて美しい少女は、その後、全く別々の道を歩んで行く。二人の周囲に見え隠れする、幾つもの恐るべき犯罪。だが、何も「証拠」はない。そして十九年…。息詰まる精緻な構成と、叙事詩的スケール。心を失った人間の悲劇を描く、傑作ミステリー長篇。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★☆☆☆☆☆☆☆

ページ数:約860ページ

 

もはやお約束である日本一の作家の最高傑作。

ありとあらゆる点で最強の徹夜本となりうる作品なのだが、あえて4位にしたことには理由がある。それは本作は紛れもない大長編だが、同時に連作短編集の良さも持ち合わせているため、とにかくキリがいいシーンが多いのである。

さすがは東野圭吾、読者を徹夜させて日本経済にダメージを与えることまで考慮したかのごとき、構成の妙は小説の神にふさわしい実にユーザーフレンドリーなものとなっている。

ベストセラー作家を紹介しても意味がないという観点で、このブログでは東野圭吾宮部みゆきといった超絶ベストセラー作家の作品はあまり紹介しない方針だが、やはり『白夜行』は凄過ぎるので、挙げざるを得ないのである。

 

 

4位  ヘブンメイカー / 恒川光太郎(2015年)

 

高校二年生の孝平はバイクで事故にあい、気づくと見知らぬ町にいた。「死者の町」と名付けられた地で、孝平は他の人間とともに探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。一方、自暴自棄になっていた佐伯逸輝は、砂浜で奇妙な男に勧められクジを引くと―見知らぬ地に立ち、“10の願い”を叶えられるスターボードを手に入れる。佐伯は己の理想の世界を思い描くが…。『スタープレイヤー』に連なる長編ファンタジー第2弾!

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★★☆

ページ数:約580ページ

 

異世界の神・恒川光太郎がファンタジー方面ですべての力を出し切った神傑作。

恒川光太郎と言ったらどちらかというと初期の異世界ホラーファンタジーな中短編で有名だと思われるが、彼の描く長編作品はいずれも超絶クオリティだということもぜひ知ってほしい。どれも甲乙つけがたい神本なのだが、徹夜本という観点で評するなら『ヘブンメイカ』一択だろう。

10の願いを叶えられるスターボー」の所有者となり、異世界に降り立った主人公がその願いをどのように使うのかというのが本シリーズの核なのだが、1作目の『スタープレイヤー』とは異なるミステリー要素を秘めたヘブンメイカーまさに言葉通りの徹夜本である。

なおヘブンメイカーはシリーズの2作目だが、1作目とは世界観を共有するだけで特に繋がりはないので、こちらを先に読んでもまったく問題なしである。でもスタープレイヤーも超面白いのでどちらも読んでほしい!!

 

恒川光太郎の長編は全部神だ!!

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3位  アトポス / 島田荘司(1993年)

 

虚栄の都・ハリウッドに血で爛れた顔の「怪物」が出没する。ホラー作家が首を切断され、嬰児が次々と誘拐される事件の真相は何か。女優レオナ松崎が主演の映画『サロメ』の撮影が行われる水の砂漠・死海でも惨劇は繰り返され、甦る吸血鬼の恐怖に御手洗潔が立ち向う。ここにミステリの新たな地平が開かれた。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★★★★★★

ページ数:約1000ページ

 

ゴッド・オブ・ミステリーこと島田御大が超本格ミステリーを完成させた作品。

『アトポス』は最初に200ページ超の作中作が挿入されるのだが、これがそもそも滅茶苦茶に面白い凄まじい一気読み作品になっている。独立して長編として出版してもバッチリ売れそうな作中作は、お馴染みのブラッディ・マリーの語源であり、血の公爵夫人と称されたエリザベート・バートリーを題材にした、超緊張感のあるホラー作品となっている。これだけで満足してしまいそうだが、ここからが神ミステリーの始まりで、完全に本格ミステリの限界を突破した超絶ミステリーが、不気味なホラー要素を伴い展開されていく。

私はこの本を仕事の忙しい時に読んでしまい、少しでも読む時間を確保すべく風呂でも読んだため、文庫版はしわくちゃになってしまっている。思い出の作品だ。

 

 

2位  欺す衆生 / 月村了衛(2019年)

 

戦後最大の詐欺集団、横田商事。その崩壊を目撃した元社員の隠岐隆は平凡な生活を志したが、同じく元社員の因幡充からの執拗な勧誘を受け、嫌々ながら再び悪事に手を染める。次第に昏き才能を開花させる隠岐時代の寵児として調子づいてゆく因幡。さらには二人の成功を嗅ぎつけ、経済ヤクザの蒲生までもが加わってくる。口舌で大金を奪い取ることに憑かれた男たち。原野商法から海外ファンドにまで沸騰してゆく遊戯の果てに見えるのは、光明か地獄か。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★☆☆☆☆☆☆☆

ページ数:約725ページ

 

これはマジでヤバい徹夜本である。もはや睡眠妨害兵器である。

月村了衛と言ったら私の中でエンターテイメントに魂を売った作家として認識しており、物語から言葉選び一つ取っても、とにかく読者を楽しませようとする気合を感じるのだが、『欺す衆生』はその気合いが一段と放たれており、娯楽作品として一つの完成形と言っても過言ではない。

冗談ではなく、読み始めたら最後まで止めることができなくなる物語であり、読みやすい文章に、終始途切れない圧倒的な面白さ、そして危険極まりないページ数と徹夜本としての素質を高いレベルで持ち合わせた超エリートである。

 

〇作品紹介記事

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1位  新世界より / 貴志祐介(2008年)

 

ここは病的に美しい日本(ユートピア)。
子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。
手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。社会を統べる装置として。
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

読みやすさ:★★★★★★★★★★

おもしろさ:★★★★★★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★★★★★★★★

ページ数:約1500ページ

 

こればっかりは確定でしょう。ダントツの一位である。

天使の囀りクリムゾンの迷宮悪の教典ダークゾーンも一気読み必至の超絶エンタメ本で、その他の作品においてもありとあらゆるジャンルの徹夜本を生み出しまくった創造主・貴志祐介。そんな神の最高傑作にして宇宙最高の徹夜本が『新世界より』である。何を書いても面白い貴志祐介のエンタメ秘術を余すところなく使い切っていて、SFやファンタジー、恋愛、青春、ホラー、サスペンス、エロ、BL、百合とどこをとっても完全無敵の最終兵器だと言えるだろう。

しかも『新世界より』のヤバいところは文庫版上巻で物語が動き始めてからは、ダレることなく面白さが加速しまくっていき、特に下巻の終盤は脳内麻薬が爆裂し過ぎて、読了後もしばらく現実世界に戻れなくなったほどである。

原作に忠実なアニメも素晴らしいし、プロットに大幅なアレンジを加えてエロをマシマシしたコミック版もたまらない。本を読んで徹夜したいのなら『新世界より』で間違いない。

 

〇作品紹介記事

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貴志祐介は徹夜本の創造主。他の本も全部徹夜確定である。

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本を読んで徹夜をするということ

 

おまけ番外編  屍鬼 / 小野不由美(1998年)

 

 死が村を蹂躙し幾重にも悲劇をもたらすだろう―人口千三百余、三方を山に囲まれ樅を育てて生きてきた外場村。猛暑に見舞われたある夏、村人たちが謎の死をとげていく。増え続ける死者は、未知の疫病によるものなのか、それとも、ある一家が越してきたからなのか。

尋常でないなにかが起こっている。忍び寄る死者の群。息を潜め、闇を窺う村人たち。恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く…。

 

読みやすさ:★★★★★★★☆☆☆

おもしろさ:★★★★★★★★★★

気になる謎:★★★☆☆☆☆☆☆☆

ページ数:約2500ページ

 

ふゆみファンとしては屍鬼を挙げずにはいられない!

なぜか。それはこの本のクライマックスの勢いが尋常ではないからである。その勢いたるや1年オナ禁して、溜まりに溜まったエネルギーを一気に射出するかの如しである。しかもそのクライマックスが400ページ以上続く(笑)のだからとんでもないのである。

文庫版の一巻は最高に眠れる小説(笑)で、文庫版の五巻は超絶一気読み本という、読むのにかなりの気合を要する作品だが、徹夜本=アドレナリン爆裂本だと認識される方にはズバリ『屍鬼』をおすすめしたい。

 

〇作品紹介記事