神本を求めて

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人の世界から人外の世界へ|『竜が最後に帰る場所』恒川光太郎

これぞ恒川ワールドの布教本

 

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おしとやかな装丁だが内容は強烈

 

作品紹介

 恒川光太郎による『竜が最後に帰る場所』は2010年に出版された作品である。
文庫版はちょうど300ページ程度の長さにバラエティ豊富な5作の短編が収録されている。

”読むにつれて、だんだん人間から離れていきます”という売り文句の通り、1話目から読み進めるごとにだんだん現実感が薄れていく物語に移り変わっていくので、じわじわと恒川ワールドに没入していく仕様になっている。どの話もだいぶ雰囲気が異なっていて、現代ホラー風な話やサイコサスペンスな話もあれば、ホラーSFな感じの話や発想がぶっ飛んだ作品、ファンタジーのような人外の物語と幅広く恒川光太郎の作風をカバーしている。

とても読みやすいので、初めて恒川作品を読む方にも自信を持っておすすめできる優れた作品集である。

 

 以下、あらすじの引用

魔術のような、奇跡のような。稀有な才能が描く、世界の彼方――今、信じている全ては嘘っぱちなのかもしれない。

しんと静まった真夜中を旅する怪しい集団。降りしきる雪の中、その集団に加わったぼくは、過去と現在を取り換えることになった――「夜行の冬」。古く湿った漁村から大都市の片隅、古代の南の島へと予想外の展開を繰り広げながら飛翔する五つの物語。日常と幻想の境界を往還し続ける鬼才による最重要短編集。

 

 

純粋にハイレベルな短編集

恒川作品はずばりハズレ無しである。

なのでどの作品を先に読んでも良い世界観に浸ることができるのだが、恒川光太郎の才能や守備範囲を幅広くカバーしているのが『竜が最後に帰る場所』である。

多くの人は『夜市』を1冊目に読んで、「あー....良かったなぁ.....」となって満足してしまうものだと思うのだが、『夜市』は超傑作ではあるものの、恒川作品の魅力を余すことなく伝えているかというとそうは言えない。

『竜が最後に帰る場所』は恒川作品の魅力が凝縮されているだけでなく、もっとこの人の作品を読みたいと猛烈に思わせる要素が満載である。そのため、初めて恒川作品を読む人や1~2冊読んで次に何を読もうか迷った方に超おすすめである。

それでは個々の作品の感想を挙げていく。

 

「風を放つ」

かなり短めで、さらっと読めて妙に印象に残る話である。

バイト先の社員との繋がりから、ギャルっぽいようでいてやたらストーカー体質な正体不明なとの交流が描かれる。ホラーではないのだろうがホラーのような後味を残るのが面白い。

恒川作品が得意とする異界感は乏しいのだが、人を殺す力を持つ精霊を封じ込めた小瓶という妖しげな小道具が恒川ワールドの幕開けにふさわしい。

 

「迷走のオルネラ」

冒頭で謎のヒーローが悪い奴を魔法で消し去るところから物語は幕を開ける。

しかし話は”マスター・ヴラフの手記”なる、外道中年男によって少年時代をめちゃくちゃにされた可哀そうな少年の話に移り変わり「この話は一体どんな展開になるんだろう?」などと考え冒頭のシーンを忘れたあたりで話は怪しげな方向に展開していく。

現実的な物語なので恒川ワール度は低いが、ミステリ的な伏線回収のテクニックが発揮されており、最後まで読み終えると冒頭のヒーローの話に戻ること間違いなしである。

ちなみにこの話に登場するクソな中年男の最悪っぷりがなかなか強烈で、主人公の彼女もかなりこじらせていて、こういうブッ飛んだキャラの描写がうまいのも著者の魅力かもしれない。

 

「夜行の冬」

個人的に『竜が最後に帰る場所』の中でベストの作品。

3話目にして一気に恒川ワールド全開となり、和風ホラーのような怖めな世界観に、パラレルワールド設定が組み込まれていて、これぞ恒川な作品となっている。

発想が神。世界観が闇。物語が鬼。と無敵な内容で、この作品を読むためだけに本短編集を購入しても元が取れるくらいである。

講談社のうたい文句にも「初めて恒川作品を読む人はまずはコレから」的なことが書かれていたので、著者的にも出版社的にも推しなのだろう。超おすすめ。

 

「鸚鵡幻想曲」

「夜行の冬」に続き、またしてもThe 恒川な作品である。

この話は著者自体が行き当たりばったりで書いたらしく、話の展開が斜め上過ぎて終始意表を突かれまくる仕様になっている。それでいてラストの素晴らしさよ....。

偽装集合体”という概念が本作のキーワードで、思わず本当にある用語なのかと思ってググってみたら、フィクションだったというオチ。この意味不明な概念を考案しただけで著者の奇想を崇めたくなるのだが、この設定をこれでもかというくらい巧みに利用して結末に向かうのは天才としか言いようがない。

これも唯一無二のすごい話なので超おすすめ。

 

「ゴロンド」

タイトルは異なるが、本作に”竜が最後に帰る場所”という言葉が登場することから、表題作である。竜(のような謎の生き物)が主人公で、その生き物目線で物語が進んでいく。まるっきりファンタジーな作品だ。

作風の割に、他の作品に比べてエンターテイメント要素が少なめに感じるが、どうも著者が生き物ドキュメンタリーに影響を受けて書いたらしい。人間以外(または人間が人間以外のものになった)の視点の描写がやたらうまいのも恒川作品の魅力だと思う。

 

面白おかしく書けなかった

このブログでは超面白かった作品の他、ぜひとも人に布教したい変態作品を紹介しているのだが、『竜が最後に帰る場所』は当然ネタ枠ではなく前者になる。

この記事がクソつまらなくなってしまったことは反省すべき点ではあるが、私が紹介する記事の内容がつまらなければつまらないほどその作品は正統派な面白い作品なのである。真面目に面白い本作を多くの人におすすめしたい。

 

 

〇おすすめ記事

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山田風太郎『忍法帖』|作品一覧とおすすめ作品ランキング

古今無双の天才による伝奇バトル小説

 ミステリから伝奇/時代小説まで幅広い作風で大量の作品を遺された古今無双の天才山田風太郎。そんな風太郎作品の中でも奇想が際立っているのが1959年の『甲賀忍法帖』から始まる忍法帖である。
今では少年誌であたりまえとなった、異能の能力バトルは山田風太郎忍法帖が祖だと言われている。半世紀以上前に描かれたとは思えないほど古びない作風は今読んでも新しく、奇想と知略が凝縮された忍法バトルは現在でも通用するというのは、『甲賀忍法帖』がアニメ化された『バジリスク』が人気になったことからも明らかである。
そんな普遍的な戦いを描いた忍法帖を紹介していきたい。
 

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この写真、変態っぽくていかにも忍法帖

 

1.作品一覧

作品数が多く、改題された作品もあるので長編と短編にわけて紹介する。

長編

  1. 甲賀忍法帖(1959年)
  2. 江戸忍法帖(1960年)
  3. 飛騨忍法帖【改題:軍艦忍法帖】(1960年)
  4. くノ一忍法帖(1961年)
  5. 外道忍法帖(1962年)
  6. 忍者月影抄(1962年)
  7. 忍法忠臣蔵(1962年)
  8. 信玄忍法帖(1964年)
  9. 風来忍法帖(1964年)
  10. 柳生忍法帖(1964年)
  11. 忍法八犬伝(1964年)
  12. 忍法相伝73(1965年)
  13. 自来也忍法帖(1965年)
  14. 魔天忍法帖(1965年)
  15. おぼろ忍法帖【改題:魔界転生】(1967年)
  16. 伊賀忍法帖(1967年)
  17. 忍びの卍(1967年)
  18. 笑い陰陽師(1967年)
  19. 忍法剣士伝(1968年)
  20. 天の川を斬る【改題:銀河忍法帖】(1968年)
  21. 秘書【改題:秘戯書争奪】(1968年)
  22. 忍法封印いま破る(1969年)
  23. 天保忍法帖【改題:忍者黒白草子】(1969年)
  24. 妖の忍法帖【改題:忍法双頭の鷲】(1969年)
  25. 海鳴り忍法帖(1971年)
  26. 忍法創世記(2001年⇒発表は1969年)
  27. 柳生十兵衛死す(1992年)

短編

※灰文字の作品はちくま文庫化されていない作品

  1. かげろう忍法帖(1964年)
  2. ざらし忍法帖(1964年)
  3. さざなみ忍法帖【改題:忍法破倭兵状】(1965年)
  4. つばくろ忍法帖【改題:くノ一死にに行く】(1967年)
  5. 姦の忍法帖(1968年)
  6. くノ一忍法勝負(1969年)
  7. 忍法関ケ原(1970年)
  8. 武蔵忍法旅(1970年)
  9. 忍法聖千姫(1970年)
  10. 忍者六道銭(1971年)
  11. お庭番地球を回る(1971年)
  12. 津軽忍法帖(1973年)
  13. 剣鬼喇嘛仏(1976年)
  14. 女郎屋戦争(1981年)
  15. 忍法落花抄(1983年)

 

2.読む順番

忍法帖は基本的に1作ごとに話が完結するので読む順番は気にする必要はない

柳生十兵衛三部作』と称される『柳生忍法帖魔界転生柳生十兵衛死す』ですら、順番通りに読まなくても問題ない。

ただし、忍法帖の魅力や基本フォーマットを知るという観点から第一作目の『甲賀忍法帖』を最初に読むことをおすすめしたい。

また一番知名度の高いであろう『魔界転生』は忍法帖というよりはほぼ剣豪小説なので、最初に読む忍法帖としてはふさわしくない。

 

3.おすすめ作品ランキング

 忍法帖を評価するとしたら時代小説としての完成度やバトルの面白さなどエンターテイメント要素、エロさ、奇想の忍術、キャラの魅力など様々な要素があり、どの要素を重視するかによってランキングが変動する。

このランキングではシンプルにいかにエンターテイメント作品として面白いかに加えて、新品の紙の本の入手のしやすさを考慮して格付けする。(個人的に年季の入った古本は好きになれないため。)

 

十位  忍者月影抄(1962年)

 

君子然として倹約を強いる八代将軍・徳川吉宗尾張藩主・宗春は甲賀忍者尾張柳生を使って、かつて吉宗が寵した女たちを日本橋に晒し、その漁色ぶりを痛烈に揶揄する。これを阻止せんと吉宗は伊賀忍者と江戸柳生に秘命を下した!将軍の愛妾をめぐって忍者と剣士が入り乱れる大幻魔戦の結末は―。

 

物語がおまけと言っても過言ではないほどただひたすら戦っている小説(笑)

甲賀VS伊賀だけでもそれぞれ7人ずついるというのに、そこに尾張柳生VS江戸柳生の剣豪がさらにそれぞれ8人ずつ参戦するので人数がアホみたいに多く、もはや忍術を披露するためだけに忍者が存在し、その忍術を際立たせるために剣豪が存在しているだけとも言える。

数々のアホ忍法が炸裂するが、マン毛を使ったクソ忍法おま〇こに死の花を咲かせる忍法、そして名前からして終わっている忍法足三本(笑)が笑えた。

 

 

九位  魔界転生(1967年)

 

 島原の乱に敗れ、幕府への復讐を誓う天草側の軍師、森宗意軒は死者再生の秘術「魔界転生」を編み出した。それは、人生に強い不満を抱く比類なき生命力の持ち主を、魂だけ魔物として現世に再誕させる超忍法だった。次々と魔界から蘇る最強の武芸者軍団。魔人たちを配下に得た森宗意軒は紀伊大納言頼宣をも引き込み、ついに柳生十兵衛へと魔の手を伸ばす…。群を抜く着想と圧倒的スケールで繰り広げられる忍法帖の最高傑作。

 

著者自身が最高傑作と認め最も後世に名を残している作品だが、忍法帖としては異色作中の異色作で、忍者は登場せず(くノ一は三名ほど登場)、使用される忍法も特定の条件を満たした者を女の肉体を介して転生させる”魔界転生”とセックスした女の髪を使用して切断する”髪切丸”のみである。

ただし転生する魔界衆が、天草四郎時貞宮本武蔵柳生宗矩など超豪華メンバーで、それぞれ転生するまでの過程が面白く、また転生後の悪魔的強さを柳生十兵衛とその仲間たちが知略も用いて相まみえるのというのは完璧なエンターテイメントと言える。

魔界衆の一人、槍の達人宝蔵院胤舜が力を高めるためにオナ禁していたというのに、「無駄、無駄、無駄でござるよ」と言ってヤリチン天草四郎にボコられ魔界転生を決めた過程はすべてのオナ禁ファイターの心を折ったとされる(笑)

 

 

八位  くノ一忍法帖(1961年)

 

 大坂城を攻め滅ぼし、天下を手にしたはずの家康を驚愕させる情報がもたらされた。真田幸村の秘策により、信濃忍法を駆使した5人のくノ一が秀頼の子を身ごもった。しかもその女たちは愛孫・千姫の侍女の中に潜んでいるという。禍根を断つべく、家康は伊賀忍者の精鋭5人を呼び寄せ、隠密裡にくノ一たちを葬るよう命ずる。性の極致で繰り広げられる凄艶奇抜な忍法合戦。千姫と家康、勝つはのいずれの執念か。忍法帖の究極作。

 

ひったすらエロいだけの官能小説。真田幸村配下の信濃くノ一と伊賀忍者がただただエロいことをしまくっている。しかし史実の裏を描いた優れた伝奇小説であることも見逃せない。

直木賞受賞作家となった馳星周が若い頃、オナニーの際のオカズにしていたとされている正真正銘のエロ本なので、エロ目的なら迷わずGOである。

使われる忍術は悉くおま〇こやち〇こを使用するエロいものなので、気になる方は以下の個別に紹介した記事を参照してほしい。

忍法筒涸らしを喰らって死ねたら本望だ(笑)

 

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七位  信玄忍法帖(1964年)

 

天下に向けて歩を進めていた武田軍団が突如として兵を引いた。信玄、果たして健在なりや?徳川家康服部半蔵配下の忍者を放って、その真相を探らせる。一方、死期を悟った信玄は、自らの喪を三年間かたく秘すべし―と言い遺した。大軍師・山本勘介の操る影武者たちを守るは真田忍者・猿飛と霧隠!武田家の命運をかけた伊賀忍者との死闘の顛末は―。

 

歴史小説としても優れた作品だが、面白い忍法が多数登場し、特に剣聖上泉信綱が時を止める超強力な忍者と戦うシーンはやたらかっこいい。ジョジョの「ザ・ワールド」と北斗の拳の「お前はもう死んでいる」がぶつかり合う屈指のシーンはバトル漫画好きなら悶死するだろう。

武田側の猿飛天兵衛と霧隠地兵衛も能力は結局不明でありながら、中二病心をくすぐり、その他登場忍者の忍法もそれぞれ存在感が強く忘れられないものが多い。さらに風魔小太郎も登場するなど面白要素は全開である。

ちなみにエロい。個人的にはちんこまんこな忍法陰陽転と忍法名は不明だが、女が小便している時に蛇が来て催眠術を書けるのがエロい。

 

 

六位  忍法八犬伝(1964年)

 

 安房里見家に代々伝わる家宝がスリかえられた!“忠孝悌仁義礼智信”の伏姫の珠に代わって残されたのは“淫戯乱盗狂惑悦弄”の偽珠。里見家取り潰しを目論む本多佐渡守の策謀であった。珠奪還に健気に奔走する村雨姫のため、甲賀卍谷で修行を積んだ八犬士の末裔たちは奮起する。だが、服部半蔵麾下の妖婉なるくノ一衆8人が立ちはだかり…。その忍法、凄艶絢爛。その筋立て、壮烈無二。反・道徳的にして忍法帖史上屈指の大傑作。

 

滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』の八犬士の末裔がやたらエロくて強いくノ一八人衆と珠をめぐって争奪戦を繰り広げるエンタメ特化型の作品である。八犬伝の知識がなくてもまったく支障はない。

本作の魅力は何といっても、八犬士の末裔である八人の男たちのキャラが素晴らしいことである。勝手気ままにふるまう野郎たちが、村雨姫のために命を投げ出して戦って散っていく様はまさに忍法帖だ。

もちろんエロい。冒頭に八人のくノ一が踊りながらおま〇こで珠を鳴らし、中からべちょっと珠を落とすシーンで小生は射精した。また生体バイブVS生体オナホール(密閉型)という変態極まるエロバトルでは爆笑しながら射精させられた。

角川文庫版の京極夏彦の解説も素晴らしいのでかなりおすすめな一冊である。

 

 

五位  柳生忍法帖(1964年)

 

 会津大名、加藤明成は淫虐の魔王ともいうべき暗君だった。諌言の末、主家を見限った堀主水は妖異凄絶の武術を持つ会津七本槍を差し向けられ、一族郎党を惨殺されてしまう。唯一生き残ったのは、かよわき7人の女。父や夫の仇討ちを誓う女たちは、剣豪・柳生十兵衛の助けを借り、命懸けの特訓を始める。奔放無頼な十兵衛も陰ながら援護し、悪鬼のごとき敵を討ち果たすべく凄絶な闘いを挑む!十兵衛三部作の記念すべき第一作。

 

歴史/時代小説としてもエンターテイメントとしても非常に優れた作品で、本作を忍法帖のベストに挙げる意見を見受けるのも納得の作品である。

冒頭で鬼畜外道の大量虐殺シーンに始まり、復讐を誓った女たちが柳生十兵衛の助太刀を得て、人間離れした技を操る難敵である会津七本槍と知略によって一人ずつ葬っていく展開はめちゃくちゃ面白く、柳生十兵衛が超ピンチになったところを女たちが助けたり、女たちがみんな十兵衛に惚れてラブコメしちゃったりとTheエンタメである。ジョジョの第二部やHUNTER×HUNTERが好きな人なら100%楽しめるだろう。

もっと上位にしても良いくらいだが、魔界転生と同じく忍法帖としては異色作であることと、後半戦が前半とはだいぶノリが異なり、前半の方が面白いのでこの順位とした。

 

 

四位  伊賀忍法帖(1967年)

 

 戦国擾乱の世。主君筋の御台、右京太夫に邪恋を抱いた梟雄・松永弾正は、幻術師・果心居士配下の根来鴉天狗に美女狩りを命じる。美女の愛液からなる強力な媚薬、“淫石”を作らせ、篭絡しようというのだ。その毒牙に掛かったのは、伊賀忍者・笛吹城太郎の妻、篝火。死してなお犯され、弾正の愛人と首をすげ替えられたと知った城太郎は復讐を誓い、一人苛烈な闘いを七鴉天狗に挑んでゆくが…。奇想極まる山風忍法帖の代表作。

 

これぞ王道というストーリーで、伊賀の若きイケメン忍者笛吹城太郎が超美人な婚約者を根来の化け物僧「根来七天狗」に殺され犯されたことで復讐を誓うという分かりやすい展開となっている.......のだがヤりたい放題のエログロMAXでかなりブッ飛んでいる。

物語の鍵となるのは”淫石”なる女の愛液(まんこ汁)煮て作る最強の媚薬と、根来七天狗の一人である羅刹坊が使用する切り離れた肉体を結合させる忍法壊れ甕である。忍法帖の中でも見事なエログロっぷりでこういうのが好きな人ならば惚れ惚れするだろう。

なかなか強い笛吹城太郎がクッソ強い七人の怪僧たちを葬っていく流れは、多対多が基本の忍法帖の中では読みやすく、熱くなれること間違いなしである。

 

 

三位  忍びの卍(1967年)

 

 時は寛永9年。三代家光の治世である。大老土井大炊頭の近習・椎ノ葉刀馬は、御公儀忍び組に関する秘命を受ける。伊賀・甲賀・根来の代表選手を査察し、最も優れた組を選抜せよというのだ。妖艶奇怪この上ない忍法に圧倒されながらも、任務を果たす刀馬。全ては滞りなく決まったかに見えたが…それは駿河大納言をも巻き込んだ壮絶な隠密合戦の幕開けだった。卍と咲く忍びの徒花。その陰で描かれていた戦慄の絵図とは…。公儀という権力組織を鮮烈に描いた名作。

 

はっきり言って超傑作である。

500ページ越えなのに登場忍者は三人のみ。しかも使う忍法が"舐めたところを性感帯にする"、"性交した女に憑依する"、"性交した女の血を刀に塗って敵にかけると肉を断つ"という意味不明なものにも関わらずよくもまぁこんなしっかりした戦闘が描けたものだと感激してしまうくらい濃厚な知的な戦いが続くのである。

連携プレイや忍術開発など本作ならではの魅力が詰まっており、ふざけていないのに爆笑させられるという素敵なシーンも多々ある。

ミステリ好きな読者であればあるほど二度読みしたくなる、想定外の結末は山田風太郎の本領発揮といったところだろう。本気でおすすめ。

 

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二位  甲賀忍法帖(1959年)

 

 400年来の宿敵として対立してきた甲賀・伊賀の忍法二族。彼らは服部半蔵の約定によって、きわどい均衡を保っていた。だが慶長19年、家康によってついにその手綱が解かれる。三代将軍の選定をめぐる徳川家の紛争を、両里から選ばれた精鋭各10名に代理させようというのだ。秘術の限りを尽くし、凄絶な血華を咲かせる忍者たち。だが、そこには流派を超え、恋し合う2人の名も含まれていた…。

 

忍法帖の一作目にして最高傑作級の完成度を誇る奇跡的な傑作である。

多人数VS多人数、連携プレー、騙し討ち、異能の能力バトル、魅力的なキャラ、忍法帖独特のせつない読後感などこれぞ忍法帖といった要素を完璧に備えており、しかもすべてが高水準あるため、一作目にして完成してしまっている。

能力バトルの始祖となる作品にも関わらず、”敵意を持って攻撃してきた者を自滅させる瞳術”や”すべての忍術を無効化する瞳”、”不死の能力”など現代的なバトル作品でも通用しそうな能力や、汎用性の高い攻撃特化能力や隠密特化型の能力、くノ一ならではの妖艶なエロ忍法など、今読んでもなお新しい恐るべき普遍性を誇る。これが1959年に描かれた作品なんて信じられませぬ。

 

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⇩アニメ『バジリスク』のOP曲は忍法帖をいい感じに表現していて良い。


www.youtube.com

 

一位  風来忍法帖(1964年)

 

 天正18年、時は秀吉が北条を呑み込もうとしていた時代、混乱の世などどこ吹く風の戦場荒らしの風来坊、7人の香具師がいた。気侭な香具師稼業で奔放に日々を送っていたが、北条方の美貌の麻也姫に見咎められ、痛い目に遭わされる。復讐を誓い、麻也姫の貞操を狙う7人。だが、いつしか天真爛漫かつ気丈な彼女に惚れた彼らは、最強の忍者集団・風摩組を敵に死闘を挑む。機智と詐術の香具師忍法が繰り広げられる痛快奇抜な忍法帖

 

忍法帖の中でも娯楽性に特化しまくった究極のエンターテイメントである。

人間味あふれる魅力的な主人公たち、妖艶で献身的なくノ一軍団、超強い化け物級の風摩忍者&超絶忍法、史実をうまくアレンジした伝奇小説っぷり、分かりやすく激アツな展開、さわやかだがせつないラストなどの強力なエンタメ要素が、700ページ近い大作であるにもかかわらず、徹頭徹尾ダレることはなく一気読みさせる牽引力を生んでいる。

全体的に明るく爽やかな展開だが、愛液(まんこ汁)を使った忍法恋さみだれや男が女に化けることもできる忍法などエロさも凄く、風閂なる髪で何でも切断してしまう忍法がエログロを創出しているなど、安心の忍法帖クオリティを持っている。

なお本作のMVPはちんこがクソでかいせいで童貞という哀れな男馬左衛門である(泣)

 

 

4.山田風太郎の自作評価

 個人的なランキングは上記の通りだが、おまけで山田風太郎自身の評価も挙げておきたい。何となく風太郎評価はエンターテイメントとして優れていることよりも、時代小説としてまた文学的に優れた作品を高評価にしているような印象を受ける。

A評価作品

  1. 甲賀忍法帖
  2. くノ一忍法帖
  3. 忍者月影抄
  4. 忍法忠臣蔵
  5. 信玄忍法帖
  6. 柳生忍法帖
  7. 伊賀忍法帖
  8. 魔界転生
  9. 忍びの卍
  10. 笑い陰陽師

B評価作品

  1. 江戸忍法帖
  2. 外道忍法帖
  3. 風来忍法帖
  4. 忍法八犬伝
  5. 忍法封印いま破る
  6. 銀河忍法帖
  7. 海鳴り忍法帖
  8. 柳生十兵衛死す

C評価作品

  1. 軍艦忍法帖
  2. 自来也忍法帖
  3. 魔天忍法帖
  4. 忍法剣士伝
  5. 秘戯書争奪
  6. 忍者黒白草紙
  7. 忍法双頭の鷲
  8. 武蔵野水滸伝

その他の評価作品

 

 

山田風太郎は永遠である

半世紀以上経っても読み継がれている忍法帖は、さらに半世紀経ってもおそらく読み継がれているだろう。これはすごいことである。

現代の忍者作品の超傑作NARUTOはものすごく面白いが50年後も読まれているかというと多分それはないだろう。もちろんその他大勢の能力バトル作品も怪しいものである。

少年誌の漫画に飽きてきた人が普遍性のある優れた能力バトル作品を欲するようになった時に、忍法帖は最大の選択肢となるだろう。

 

マジ卍.....忍びの一字!!|『忍びの卍』山田風太郎

ただのクソエロ忍法本かと思いきや.....。

 

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哀愁漂う表紙がすべてを物語る

 

作品紹介

 山田風太郎による『忍びの卍』は1967年に出版された作品である。
文庫版は550ページ程度とそれなりに長尺にも関わらず、登場する忍者は根来・伊賀・甲賀の中から選抜メンバー一名ずつの計三名(+くノ一)と少数精鋭のため、一人一人のキャラや忍法がとても深く掘り下げられている。

忍法帖シリーズの基本フォーマットは〇人対〇人という多人数のチームプレイや一人一人が相打ちに近い形で散っていくというパターンなので、『忍びの卍』は基本形からは離れた作風ではあるが、忍法の連携や忍法の研究といった本作ならではの要素は(いろいろな意味で)面白く、捧腹絶倒シーンのオンパレードである。

またミステリの名手でもある風太郎だからこそ成しえた、二度読みしたくなるような深いラストは感動的で涙すら誘う。

そんな超傑作『忍びの卍』について熱く語りたい。

 

 以下、あらすじの引用

時は寛永9年。三代家光の治世である。大老土井大炊頭の近習・椎ノ葉刀馬は、御公儀忍び組に関する秘命を受ける。伊賀・甲賀・根来の代表選手を査察し、最も優れた組を選抜せよというのだ。妖艶奇怪この上ない忍法に圧倒されながらも、任務を果たす刀馬。全ては滞りなく決まったかに見えたが…それは駿河大納言をも巻き込んだ壮絶な隠密合戦の幕開けだった。卍と咲く忍びの徒花。その陰で描かれていた戦慄の絵図とは…。公儀という権力組織を鮮烈に描いた名作。

 

 

使用忍法のネタバレ有り。

 『忍びの卍』を面白おかしく語るためには少なくとも忍法や、話の流れについては触れないわけにはいかないので以下ではある程度ネタバレを含むことになる。

ただ本作の最大の魅力は衝撃的なラストにこそあるので正直最後以外は知ってしまっても楽しさは薄れないのでご安心を。

 

登場忍者が超強い

 伊賀・甲賀・根来の三勢力中から一派を選んで公儀御用達の忍び組に任命するという事情のため、それぞれの勢力から選抜された忍者はいずれも超強力で、使う忍法が"舐めたところを性感帯にする"、"性交した女に憑依する"、"性交した女の血を刀に塗って敵にかけると肉を断つ"というクソなものにも関わらず壮絶な知的戦闘が繰り広げられるのだから驚きである。

いやはや実際文字にしてみると本当にひどい能力だなと思うのだが、特に"性交した女に憑依する"という能力がかなり有効活用されており、しかもこのひどい忍法を使用する忍者が寡黙な剣豪キャラだけに爆笑を誘う。それぞれの忍者は選抜メンバーだけあって上記以外にも能力があるので説明してみたい。

 

アホな割にクソ優秀な忍法

先に説明した忍法だけだと何の役に立つのかさっぱりなのだが(作中でもそんなのが何の役に立つのかと突っ込まれてて笑える)、他にも忍法や剣術を使うのでみんなやたら強い。

 

根来組忍者
虫籠右陣(むしかご うじん):かなり狡猾な人物だが憎めないおっさん。

  • 忍法暗剣殺
    テレパシーで殺気を感じることによって敵に攻撃される前に回避できる。
  • 忍法ぬれ桜
    舌で女の体を舐めることによってその部位を女陰(おま〇こ)と同じ感度にする(笑)また感度の高まった女は雌の魅力をぷんぷん放つ淫乱女と化す。
  • 忍法針つばめ
    両端が針のようにとがった、くの字型の釘をブーメランのように使用する。

伊賀組忍者

筏織右衛門(いかだ おりえもん):寡黙な剣豪...だからこそ笑える。
お麻というくノ一の妻がいる。

  • 忍法任意車
    セックスした女に憑依する。作中では(サガ的な)連携をしたり、研究の結果新たな用途を編み出すなどすごい活躍をする。ちなみに当然エロい。
  • 宮本武蔵直伝の剣術
    忍法を使わずしても達人級の剣豪である。

甲賀組忍者

百々銭十郎(どど せんじゅうろう):気だるくおそろしい美形忍者。
砧、お彩、お宋という3名のくノ一を伴う。

  • 忍法白朽葉
    精液が満ちてくると女を魅了し引き寄せる。
    つまりオナ禁ファイターと言える(笑)
  • 忍法赤朽葉
    溜まりに溜まった性欲をもって女を犯し、その女の血を刀に塗って剣を振って飛んだ血に触れたものを斬る。
    なお射精すると狂暴な剣鬼と化す...凶暴な賢者タイム(笑)

上記の三名の忍者に加えて、審査員の役割を担う椎ノ葉 刀馬という侍の四名が主要人物となる。椎ノ葉 刀馬も柳生宗矩の弟子であるため、強力な剣豪である。

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まさにコレ。女がかっこいい。

審査、そして三つ巴の忍法バトル

伊賀・甲賀・根来の三勢力中から一派を公儀御用達の忍び組に任命するという、メインっぽい部分は意外にあっさりと決まってしまう。

もちろん面白いのはそれからであって、いろいろな思惑があって物語は根来組虫籠右陣&伊賀組筏織右衛門VS甲賀組百々銭十郎&椎ノ葉 刀馬という構図のバトルへと展開していく。

そしてこれがクッソ面白い。なんの役に立つのかさっぱりな忍法ぬれ桜忍法任意車が連携されることによって妖艶極まる美女が恐るべき剣術をふるうという山田風太郎的、圧倒的なエロスが大爆裂し、迎え撃つは邪悪なオナ禁ファイターなのでエロはどんどん加速していく。しかも伊賀組と甲賀組の二人は冗談が通じないタイプのキャラなので、一言一句、一挙手一投足がめちゃくちゃ笑えるのである。

ホントこの作品のエログロバトルは最高の一言に尽きる。他の忍法帖では登場人物が多いのが基本なので、強力な忍者もあっさり散っていくのだが、こんな笑える忍法が緻密に描かれるのだからたまらないのだ。

読者を勃起させ我慢汁を垂れ流させながらも、腹筋崩壊させるというのが山田風太郎の忍法なのだろう。

 

半分...否。7割、3割。

 ”セックスした女に憑依する”という忍法任意車は精液を女に注入することによって、精虫が女を支配するといった仕掛けらしい(笑)....そこで研究して編み出したのが、精液を何パーセントかは女Aにぶちまけて、残りの精液を女Bにすることによって、注入した分だけの力を発揮するという笑うしかない秘儀である。

しかも論理上は精虫の数だけ女に憑依できるのだと考えられるのだからクソである(作中でもたわけとか言われてたっけ)。

このわけの分からないクソ奥義がなかなかいい仕事をして、ミステリ的な知的戦闘を巻き起こすのだから山田風太郎は天才である。

半分の織右衛門とか3分の織右衛門、7分の織右衛門といったアホな言葉が連発されるたびに「フフッ....」と笑わされてしまうのである。

 

 最後はまさかの涙。

上で語らせていただいたアホエロバトルの応酬だけでも忍法帖トップクラスの面白さだと思うのだが、『忍びの卍』が真に素晴らしい作品と成らしめているのは予想外の真相が明らかになるラストにある。

山田風太郎は『太陽黒点』や『明治断頭台』といった東西ミステリベスト100にも挙げられる猛烈などんでん返しを得意とされるお方だが、『忍びの卍』でもこういったミステリにも通じる手法が発揮されており、読後は涙を流すとともに再読を誓うことになること間違いなしなのである。

このラストはエンタメとしての忍法帖ファンだけでなく、どんでん返し系の話が好きな方にも猛烈におすすめしたいと思う。

どんでん返しがあることを知ると萎えるという意見は百も承知だが、本作についてはどんなミステリマニアであっても予想するのは不可能なのであえて説明した。本気でおすすめです。

 

マジ卍!!(死語)

 忍法帖は敵味方がバッタバタと散っていく忍術バトルの応酬ももちろん素晴らしいと思うのだが、一人一人のキャラと忍法を深く掘り下げていった本作は、他の忍法帖にはない魅力が詰まりまくっている。

エロくて笑えて泣ける物語(なにそれ)が好きな方は必読ですぞ!

 

 

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異世界ファンタジー×世界滅亡SF|『滅びの園』恒川光太郎

滅びゆく世界の群像劇

 

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不気味な装丁が物語る不穏な物語

 

作品紹介

 恒川光太郎による『滅びの園』は2018年に出版された作品である。
文庫版は350ページ程度の長さなのだが、倍の尺にしても通用するのではないかというくらい、様々な要素が詰め込まれているので大長編を読んだような読後感が待っている。

著者のお得意分野といえば、読者を”ここではないどこか”誘う幻想的な異世界の描写だが、『滅びの園』でも例外ではなく、異世界ファンタジーの世界を描いている。しかしファンタジーに加えて本作では思弁SF(哲学的なSF)やパニックSFといったタイプのSFの世界観も両立させている。

異世界転生ものと生物パニックというよくあるパターンを合わせたようなものでありながら、著者の独自の設定や世界観により唯一無二の作風することに成功している。

重い物語でありながらもライトノベルのように読みやすい平易な筆致で描かれるため、SF慣れしていない人でも抵抗なく楽しむことができるだろう。

 

 以下、あらすじの引用

わたしの絶望は、誰かの希望。ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。

 

 

本を開けばいきなり異世界

『滅びの園』にはまるで無駄がない。無駄を徹底的に削ぎ落しているからこそ読みやすく創造(妄想)の幅が広がる。

物語は仕事に疲れすべてがイヤになった普通のサラリーマンが電車に乗っているシーンから始まる.....と思いきやいきなり異世界。展開がめちゃくちゃ早い。

謎に包まれた西洋のファンタジーっぽい異世界であんなことやこんなことをしながらまったり過ごしていると、元いた世界が大変なことになっているということを知り、滅亡の群像劇は幕を開ける。

展開は早いし内容は衝撃的で独創的。100ページにも満たないうちに、読者は心は完全に異世界に囚われていることだろう。

 

謎の生物が地球を破滅に導く

群像劇であるため別の人物の視点になり、すべてを飲み込む謎の不定形生物プーニーが大量発生し滅亡の危機に瀕する地球へと舞台が移行する。

このプーニーがかなり不気味で、生物に対してある気持ち悪い作用を及ぼし死に導くのだが、なんといってもその描写がキモくて怖いんです。

恒川光太郎異世界ファンタジー作家という印象が強いが、そもそもは『夜市』で日本ホラー小説大賞の大賞を受賞してデビューしたホラー作家である。

『夜市』収録の「風の古道」では和風ファンタジー的な世界観の中にも、かなり不気味な描写があり、「あぁ...やはりホラーなんだな」と思ったものだが、そのようなホラー手法は健在で『滅びの園』でもキモ怖全開である。

またプーニーに対する抵抗値や、それに付随するラノベ的特殊能力といった中二病的な要素が、エンタメ要素を大きく高めている。

 

異世界神風特攻

地球を救うためにあんな策やこんな策を練ったうえで、決行される作戦がまぁ面白い。

他の著者の作品を挙げるのはアレかもしれないが、同じく日本ホラー大賞出身の作家ということであえて挙げてしまうと、貴志祐介の『新世界より』や『ダークゾーン』を合わせたようなテンション上がりまくりMAXなシーンがあるし、さらに挙げるなら貞子でおなじみの『リングシリーズ』三作目の『ループ』的な激アツ特攻は戦闘開始前からせつなくなってしまう。

書こうと思えばいくらでも濃厚に書けそうなシーンをあえてなのかどうかは知らないが、妙にあっさり描いているのは妄想が捗りまくってしまうのです。

 

最後も一筋縄ではいかない

地球VS異世界の結果がどうなるかは読んでみてのお楽しみだが、戦闘終了後もあれこれあってただじゃあ終わらない。

私は小説を読む時に何かを深く考えたりはしないのでよく分からないのだが、何かいろいろな問いかけを読者にしているのかもしれない。

このあたり、読書しながら思索に耽るのが好きな方にはたまらないかもしれないが、そうでない方はスルーしてしまうかもしれない。文庫版のSF総大将、池澤春奈さんによる解説が他の古典的傑作SFを挙げながら素晴らしい解説をされているので、細かいことを気にせず読んでしまってもしっかりアフターフォローがあるので安心だ。

 

駄文になってしまった

生涯に読んだ本の中でもかなり高い評価をくだした作品なので、ノリノリで文章を書き始めたものの、どういうわけか筆がまったく乗らない。

なんでだろう....どうもこの物語は感想をうまく文章にできない。群像劇なので一人一人の登場人物を深く掘り下げて、”未知なるもの”やプーニーの設定をより詳細に書いてくれていれば気合が入った記事が書けたのかもしれないが、前述の通りかなり壮大で重い物語にも関わらず全体的にとてもあっさりしているのでどうも文章にしずらいのである。深く書こうとするとネタバレ全開になってしまうし。

ということでグダグダ書くのはやめて締めの一言。

超面白いのでおすすめです。

以上。

 

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人生最高に面白かった小説|おすすめランキングトップ10

最高評価の小説たち

 
数えきれないくらいの読了本から10作品に絞るというのは、相当厳しいので以下のルールで選別した。
  1. 1作家1作品のみ。
    ⇒こうしないともはや選別は不可能。
  2. 読んでる最中の面白さと読後の満足感を重視
    ⇒超面白くても何も残らないような作品は除外する。
  3. 絶版&電子書籍化されていない作品は除く。
    ⇒紹介しても入手できないのは酷なので
 

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数多の読了本より究極のエンタメ作品を選別

 

10位  涼宮ハルヒの消失 / 谷川流(2004年)

 

涼宮ハルヒ?誰のこと?」珍しく俺の真後ろの席が空席だった12月18日の昼休み。颯爽と現れてその席に座ったのはハルヒではなく、長門との戦いに敗れて消滅したはずの委員長・朝倉涼子だった。困惑する俺に追い打ちをかけるように、名簿からもクラスメイトの記憶からもハルヒは消失していた。昨日まで普通だった世界を改変したのは、ハルヒなのか。俺は一縷の望みをかけて文芸部部室を訪れるが―。

 

涼宮ハルヒシリーズの4作目にして映画化もされている、本格SF×ミステリ×萌えを兼ね備えた完全無欠の超傑作である。

最低でも1作目と3作目の一部を読んでおかなければ話が理解できないということと、アニメの完成度が高くあえて小説で読まなくても問題ないのでは.....という理由で10位にしているが、『涼宮ハルヒの消失』の面白さは圧倒的なので、憂鬱から消失まで一気に読み進めることをおすすめしたい。ちなみに1作目の『涼宮ハルヒの憂鬱』もかなり面白く、SF入門にもってこいである。

 

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9位  屍鬼 / 小野不由美(1998年)

 

人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躪したかのように散乱していた―。闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。殺人か、未知の疫病か、それとも…。超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。

 

主上こと小野不由美は国内最高峰のファンタジー十二国記』や最恐ホラー『残穢』など看板作品が多いのだが、最高傑作は間違いなく『屍鬼』だろう。

長い...退屈...暗い...そして登場人物多過ぎ
文庫版にして5分冊2500ページなので、相当読書慣れしていなければそもそも読もうとすら思えないだろうが、覚悟を決めて読んだら間違いなく心に残る1冊になるはず。

最後の方(といっても400ページ笑)の血沸き肉躍るすべての鬱憤を解き放つような展開はあまりにも凄まじい。

 

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8位  獣の奏者 / 上橋菜穂子(2006年)

 

リョザ神王国。闘蛇村に暮らす少女エリンの幸せな日々は、闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に一転する。母の不思議な指笛によって死地を逃れ、蜂飼いのジョウンに救われて九死に一生を得たエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指すが―。苦難に立ち向かう少女の物語が、いまここに幕を開ける。

 

 児童文学という印象を持っていたが、創り込まれた世界観と情け容赦ない展開に開いた口がふさがらない作品である。

 『獣の奏者』が圧倒的に面白い理由の一つに、Ⅰの闘蛇編からひたすらに作中の歴史や世界に関する謎をひっぱりまくるところにある。
Ⅰ闘蛇編とⅡ王獣編でいったん物語は完結しており、作者自身も続編を考えていなかったとのことだが、完結編の最後の最後まで謎が明かされないことにより、続きが気になりまくりもはや徹夜は避けられないだろう。

 

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7位  八つ墓村 / 横溝正史(1950年)

 

戦国の頃、三千両の黄金を携えた八人の武者がこの村に落ちのびた。だが、欲に目の眩んだ村人たちは八人を惨殺。その後、不祥の怪異があい次ぎ、以来この村は“八つ墓村"と呼ばれるようになったという――。大正×年、落人襲撃の首謀者田治見庄左衛門の子孫、要蔵が突然発狂、三十二人の村人を虐殺し、行方不明となる。そして二十数年、謎の連続殺人事件が再びこの村を襲った……。現代ホラー小説の原点ともいうべき、シリーズ最高傑作! !

 

 国民的な作品だけあって面白さは保証されている。

はっきり言って推理小説としての金田一耕助シリーズとして読む必要はない。金田一はほぼ脇役だし、謎解き以外の部分の方が面白いからである。

八つ墓村』の素晴らしさを一言で言うなら””である。萌えを意識したであろう作品は数多く読んできたが、この本を超える萌え系の本に出会ったことは一度もない。

八つ墓村』が発表された時代には萌えなどという概念はないはずなのに、史上最高の萌えが描かれているのだ。

最近はやりのハーレムアニメを木っ端微塵に粉砕する至高の萌えを堪能してほしい。

 

 

6位. NO.6 / あさのあつこ(2009年)

 

 2013年。理想都市『NO.6』に住む少年・紫苑は、9月7日が12回目の誕生日であった。だが、その日は同時に彼の運命を変える日でもあった。『矯正施設』から抜け出してきた謎の少年・ネズミと出会い、負傷していた彼を介抱した紫苑だが、それが治安局に露見し、NO.6の高級住宅街『クロノス』から準市民の居住地『ロストタウン』へと追いやられてしまう。

4年後、紫苑は奇怪な事件の犯人として連行されるところをネズミに救われ、彼と再会を果たす。NO.6を逃れ、様々な人々と出会う中で紫苑は、理想都市の裏側にある現実、『NO.6』の隠された本質とその秘密を知っていく…。

 

児童文学なのかと思いきや、いきなり主人公の幼馴染とのやり取りで以下のシーンがある。

わたし、あなたから貰いたいものがあるんだけど

精子

セックスしたい

つまりこれはヤバい作品なのだ。BL全開だったり、トラウマ級の地獄展開が待っていたりと殺る気満々過ぎてちょっと怖いです.....でも強烈に物語に引き込まれる素晴らしい作品なのだ。

 

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NO.6♯1 (講談社文庫)

NO.6♯1 (講談社文庫)

 

 

5位  暗闇坂の人喰いの木 / 島田荘司(1990年)

 

さらし首の名所・暗闇坂にそそり立つ樹齢2000年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ? 近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは何か? 信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めた。本格ミステリーの騎手が全力投球する傑作。

 

この本に出会っていなければ、これほどまでにミステリーにのめり込むことはなかったであろう作品。謎解きよりも冒険モノやホラーとして楽しむことができる内容でもあり、物語自体がものすごく面白い。

私は推理小説がもたらす驚きに魅せられてはいるものの、SFやファンタジー、ホラーが好きであり、謎解き自体はあまり興味が無いタイプの人間である。本作は魅力的な謎と怪奇幻想世界を体感させてくれる素晴らしい作品だ。

それと終盤で訪れるある場所が最恐最悪にグロテスク

 

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改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2021/03/12
  • メディア: 文庫
 

 

なお『レオナ三部作』とも称され、『暗闇坂の人喰いの木』に続く『水晶のピラミッド』『アトポス』も常軌を逸した傑作であり、三部作全体で評価するのであれば本ランキングの1,2位を争う傑作シリーズとなる。

 

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4位  滅びの園 / 恒川光太郎(2018年)

 

わたしの絶望は、誰かの希望。
ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。

 

著者が得意とする"ここではないどこか"へ読者を導く稀有なファンタジーの世界観と、深遠な思弁SFが見事に両立した比類無き傑作である。

本を開いてほんの数ページめくるだけで、のどかな異世界に連れ去られ、さらに読み進めると、突如話は人類滅亡に関わる壮大なSFへと物語は姿を変える。

異世界と破滅の危機に陥った地球で繰り広げられる群像劇は魂を揺さぶるほど素晴らしい。もちろんエンタメ的にも完璧。

『夜市』で有名な著者だが、ラノベのように読みやすい筆致はそのままに、猛烈にパワーアップされた筆力には脱帽である。

 

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3位  甲賀忍法帖 / 山田風太郎(1959年)

 

家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽し、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ。

 

能力バトル作品の始祖とされる作品だが、この時代に書かれたとは思えないほど練りに練られた能力や戦闘になっている。
甲賀卍谷衆VS伊賀鍔隠れ衆の10人対10人が出し惜しみなしの忍術によって潰し合う戦いは面白い以外の何物でもない。

能力によって相性があったり、忍者であるため正々堂々ではなく奇襲、闇討ち、だまし討ちに多対一といった卑怯な戦術までバリエーション豊富なことが面白さに拍車をかけている。

 またありがたいことに(?)、くノ一たちはやたら妖艶なキャラが多く、使用する忍術が忍術だけに漂うエロスも尋常ではない

 純粋に面白い小説が読みたいなら『甲賀忍法帖』を読めば間違いないだろう。

 

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2位  星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン(1977年)

 

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作

 

 古い海外のSF作品ということだけで忌避してしまう方もいるのかもしれないが、『星を継ぐ者に』始まる3部作の面白さはただ事ではない。

月で5万年前の真紅の宇宙服をまとった死体が見つかった」という魅力的すぎる謎を科学的に解明していくという最高峰の本格ミステリでもある。

1作目だけでも一応完結しているので存分に楽しむことができるのだが、続編も読むことによって楽しさが跳ね上がるというありがたい仕様になっている。

創元SF文庫で一番の売り上げを誇る作品らしいが、その実績は伊達ではない。

 

 

1位  新世界より / 貴志祐介(2008年)

 

ここは病的に美しい日本(ユートピア)。
子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。
手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。社会を統べる装置として。
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

宇宙最強に面白い小説である。

ファンタジーで青春で恋愛で学園モノでSFでミステリーでホラーでBLで百合で......つまりありとあらゆるジャンルを網羅し、すべてのクオリティが頂点に達しているという奇跡の作品なのだ。

終始不穏であり、エグくてグロいシーンのオンパレードなのでそれなりに人を選ぶことは間違いないのだが、こういったことに抵抗がない方であれば間違いなく好きになる。

人生ナンバーワンに挙げる人が多いのも納得である。

 

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 類は友を呼ぶ

 

 

 

オカルトマニア感涙|『ゴーストハント』小野不由美|作品紹介とおすすめ作品ランキング

これであなたもオカルトマスター

全7作からなるゴーストハントはミステリ寄りの作品からホラー特化型の作品があり、ラノベ寄りの作品であるにもかかわらず、かなり気合の入った....というか死人が出まくるヤバい怪異がある。
また和風な作品もあれば洋風の作品もあるし、学園ものかと思いきやそうではない作品も多いので、それぞれの回でネタが被ることがなく、発生する怪異に見合った蘊蓄も豊富に披露されるため、ゴーストハントシリーズを読むだけでオカルト通になることができる。もちろんどの作品もハイクオリティである。
 代表作の『十二国記』を含め、比較的お堅い作品の多い著者の作品群の中でもとても読みやすい文体で書かれているので、ホラー×ミステリや面白くて質のいいホラー作品が読みたい方には自信を持っておすすめできる。

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文庫版の装丁はとても美しい

作品一覧

当初は講談社X文庫ティーンズハートから少女向けに発表されていたものが、後に全面的にリライトされてゴーストハントと改題されている。

ゴーストハントシリーズは連作長編のような趣向があり、各回の怪異との対峙に加えて主人公の谷山麻衣の成長物語とSPR所長の渋谷一也の正体に関する謎を明らかにする物語というシリーズものならではの醍醐味がある。そのため必ず順番通りに読むべきである。

なおアニメ版があり、適度に省略されつつもサブストーリーが入るなど、かなり面白く仕上がっているのだが、6話目の海からくるもので完結してしまうため注意が必要だ。

 

作品ランキング

作品ごとにバリエーション豊かな怪異に見舞われることになるので、人それぞれ怖いという回が異なると思われるし、面白いと感じる話もばらつきがあると思われる。

そのためこの記事ではミステリ度、恐怖度を★の数で評価しつつも私の好みのみで作品ランキングをつけていく。

 

七位  ゴーストハント4 死霊遊戯

恐怖度  |★★★★☆☆☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★☆☆☆☆☆

 

緑陵高校の生徒会長・安原の懇願を受け、麻衣たちは調査に向かった。校内ではおびただしい数の怪談や怪奇現象が囁かれ、生徒たちは「ヲリキリさま」と呼ばれる奇妙な占いに熱中していた。生活指導教員の松山の高圧的な態度もあり調査は難航。4カ月前に起こった生徒の飛び降り自殺と一連の怪奇事件との関係は?麻衣が見た不思議な夢の意味は?新キャラクター・安原少年が登場。学園パニックホラー&ミステリ。

 

本作は回が進むごとに怪異が凶悪化していく傾向があるのだが、死霊遊戯は4話目にして一気に怪異のスケールが強大に、邪悪になるので学園パニックものとして楽しむことができる。

怪異の正体や解決も大掛かりなものとなっているので本書をベストに推す方もいるかもしれないが、登場人物にイラっと来る人がいるため7位ということにしておく(笑)

 

六位  ゴーストハント3 乙女ノ祈リ

恐怖度  |★★☆☆☆☆☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★★★★☆☆

 

次々とSPRを訪れる女子高生たち。狐狗狸さんによる狐憑き、美術準備室に現れる幽霊、部室でのポルターガイスト現象。それらは東京周辺部にある湯浅高校で起こっていた。校内での聞き込み調査を進めると、笠井千秋というスプーンを曲げられる超能力少女の存在が浮上。真実を追ううちに邪悪な意志はナルや麻衣をも標的にし始め…。さまざまな証拠をもとに怪異の原因をロジカルに推理してゆく本格ミステリ度の高い第3弾。

 

ホラー×ミステリの本シリーズにおいて、もっとも本格ミステリ寄りの作風となっている。なので著者の夫である綾辻行人が好きな方には特におすすめできる。

多くの怪異が本当に霊的なものなのか、はたまた人為的な現象なのかを本格ミステリのような流れで追求していく楽しみがある。

ただしミステリ要素が強いだけにあまり怖くないのが玉に瑕。

 

 

五位  ゴーストハント1 旧校舎怪談

恐怖度  |★★★★☆☆☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★★★☆☆☆

 

主人公・麻衣の高校にある旧校舎には、取り壊そうとすると祟りがある、夜になると窓に幽霊の姿が浮かぶなど、怪奇な噂が絶えない。だがその原因と言えば、地縛霊や戦災にあった浮かばれぬ霊の仕業説、霊などいないと断言する者など諸説あり……。果たして旧校舎には悪霊が巣食っているのか? それとも単なる根も葉もない噂? ある日、麻衣はひょんなことから、校長から旧校舎の調査依頼を受けたという、心霊現象の調査研究所・渋谷サイキックリサーチ(SPR)の仕事を手伝うことに。なんとその所長は、とんでもなく偉そうな自信家の17歳の美少年、渋谷一也。ナルと麻衣が出会い、個性的な霊能者たちが登場する、大人気ミステリ&ホラーシリーズ第1弾。

 

これぞ学校の怪談と言わんばかりの正統派な学園ホラーとなっている。

一作目にしてメインキャラは出揃い、ナルのナルシストキャラもいきなり最高潮なので怪異以外にもキャラモノとしてとても面白い。

ホラーとミステリの融合がとてもよくできていて、オカルトネタも満載なのでこれを読むだけでオカルト知識が一気に身につく(何の役にも立たないけど...)

何気にナルのナルシストネタとツンデレ感が一番面白い回でもある。

 

 

四位  ゴーストハント2 人形の檻

恐怖度  |★★★★★★★★★☆

ミステリ度|★★★★★★★☆☆☆

 

古い瀟洒な洋館で頻発するポルターガイスト現象。なぜかまたもや合流することになった霊能者軍団とともに、さっそく調査を開始したSPR一行。そんな彼らを嘲笑うかのように、怪しい物音やポルターガイスト現象は激化する。やがて麻衣は、一家の一人娘・礼美の持つアンティークドールが不穏な気を放っていることを察知し、ナルは家を覆う悪意を科学的に執拗に調査してゆく。小野不由美のホラーの原点といえる傑作!

 

著者が誇る最恐ホラー『残穢』型のホラーなので、もともとは少女向けと思えないほど本気のホラーとなっている。

異常に強力な怪異で人も死にまくっているのだが、あくまでも科学的に怪異を解明していくスタイルなので、ミステリ好きにも楽しめる仕様になっている。

残穢は勘弁だけどヌルいホラーもつまらないという方におすすめできる。

 

 

三位  ゴーストハント5 鮮血の迷宮

恐怖度  |★★★★★★★★★☆

ミステリ度|★★★★☆☆☆☆☆☆

 

血の匂いがするーー。複雑怪奇な洋館に隠された恐るべき秘密とは。増改築を繰り返した結果、迷宮のような構造を持つにいたった巨大な洋館。長年放置されていたその館の周辺で行方不明者が相次ぐ。突然現れたナルの師匠という女性。彼女が持ってきた依頼は、長野県の山中にある広大な屋敷の調査だった。だが調査隊はSPRだけではない。日本中から名だたる霊能者や心霊研究家も集められていたのだ。尋常でないのはそれだけではない。館の内部や外部の構造を調べるうち、麻衣たちは建物のあちこちに不審な空洞があることに気づいた――。そして、事件は起こった。館にいる人間が姿を消し始めたのだ。徐々に明かされていく血塗られた館の過去。ゴシック趣味溢れるシリーズ5作。SPR史上最凶最悪の怪物が潜んでいる!?

 

本作を最恐作品に推す方も多いと思われる、凶悪な怪異.....というよりはもはや化け物と遭遇する戦慄のホラーである。

複雑怪奇な洋館が舞台なため、ダンジョン探索的な面白さもあるのでWizardry(古のダンジョン探索RPG)好きは感激すること間違いなしである。

また本作の禍の元となる存在は、小野作品の最高傑作候補である『屍鬼』に通じるものがあったり、夫の綾辻行人の大作『暗黒館の殺人』にネタにされたりとそっち系が好きな方は歓喜に震えることになるだろう。

 

 

二位  ゴーストハント7 扉を開けて

恐怖度  |★★★★★★★★☆☆

ミステリ度|★★★★★★★★☆☆

 

「やっと、見つけた」シリーズ第1作からの謎がついに明かされる!能登の事件を解決し、東京への帰路についた一行は、道に迷ってダム湖畔のキャンプ場にたどり着いてしまう。ナルの突然のSPR閉鎖宣言に戸惑う麻衣たちは、急遽、湖畔のバンガローに滞在することに。そこへ舞い込んだ、廃校になった小学校の調査依頼。幽霊が出るという校舎には恐るべき罠が仕掛けられていた――。すべての謎が明らかにされる最終巻。驚愕の真実とは!

 

シリーズ最終作であるだけに、1話目から周到に張られたすべての伏線が回収され、ナルの正体が判明する回である。そのため怪異よりも物語が中心となっており、遭遇する怪異は超凶悪ではあるものの、怪異の正体を科学的に解き明かすといった流れではなく、麻衣の成長した力を魅せる場となっている感がある。

ただし廃校で人が消えていくという極めて正統派な『学校の怪談』で、情け容赦ない怪異に見舞われるため恐怖度はなかなかなものである。

 ナルの正体に迫っていくのはまさに本格ミステリのノリで、「あっ....たしかに」的な気付きがあって興奮する。

最後にふさわしい素晴らしい大団円が待っているのでゴーストハントシリーズにハマった方は必ず最後まで読もう。

 

 

一位  ゴーストハント6 海からくるもの

恐怖度  |★★★★★★☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★★★★☆☆

 

古い信仰の残る土地に暮らす呪われた一族を襲うものとは?シリーズ最高潮へおこぶさま、十八塚……。先祖の祟りか何かの因縁か。今回のSPRへの依頼者は、老舗料亭の一族である吉見影文。その祖父が亡くなったとき、幼い姪・葉月に背中に不吉な戒名が浮かび上がった。一族にかけられた呪いの正体を探る中、ナルが何者かに憑依されてしまう。リーダー不在のSPRに最大の危機が襲う!いよいよシリーズ、クライマックスへ。

 

舞台といい物語の展開と言い、横溝正史の世界観に残穢を混ぜたような好きな人にはたまらない仕様になっている。雰囲気最高。

呪われた一族の呪いを断つために、一族の家系を遡って怪異の大本を探っていく展開は残穢そのものだが、本作は霊がアグレッシブ極まりないためエンターテイメント要素も濃厚で、ナルがピンチになったり、みんなが満身創痍になるまで戦ったり、あの人がついに本気を出したりととにかく読みどころ満載である。

家系図を遡っていくという形式上、登場人物が非常に多いので人によってはやや読みずらいかもしれないが、丁寧に読まなくても全然OKである。

小野不由美の好きが詰まったような作風なので、『東亰異聞』や『黒祠の島』の世界観が好きな方は絶対に好きになるはず。

 

 

 

喪失感に浸る

 

たとえば素晴らしいRPGやアニメは没入すればするほど、全クリしてやることなくなったり、最終話を見終えた時に強烈な喪失感というか虚無感が待っているものである。

このシリーズもズバリ読み終えた時に何とも言い難い喪失感、虚無感が待っているのである。

私はかなりの小説を読んできたが、小説を読んでこんな気持ちに浸るのは初めてかもしれない。つまりそれほどキャラクターと物語が魅力的なのである。

もしゴーストハントシリーズ読み終えて心にぽっかり穴が開いてしまったのなら、十二国記を読んで心の傷を塞いでしまおう。

小野作品を他にあまり読んだことがない方は、この機会にぜひ小野ワールドに入り浸ってしまおう。

 

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最強推理小説おすすめランキング30|最高の本格ミステリを求めて

究極の謎を求めて

世の中には2通りのミステリ好きがいると考えられる。

  1. 本気で推理して犯人当てをする人
    ⇒読者への挑戦状があるようならベスト
  2. 推理せずに謎がある物語として楽しむ人
    ⇒面白ければフェアかアンフェアなどは気にしない

前者を推理マニアとするのなら、後者は純粋なエンタメ好きと言えるのだろう。

私は典型的な後者の者である。推理なんて一切しない。

したがって徹底的にロジカルに構築された話よりは、犯罪の不可能性や超絶トリックといった要素にこだわっている。

この記事では「魅力的な謎やブッ飛んだトリックがあれば後はどうでもいいや」という考えの私が好きな作品の中から、本格ミステリマニアからも本格推理作品として認識されている作品に限定して紹介していく。

なおこのランキングではあえて30作品に絞ったため、海外作品と短編集(連作短編は有り)は除外している。

 

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究極のミステリはいずこに....

 

30位  密室殺人ゲーム 王手飛車取り / 歌野晶午(2007年)

 

“頭狂人”“044APD”“aXe(アクス)”“ザンギャ君”“伴道全教授”。奇妙なニックネームの5人が、ネット上で殺人推理ゲームの出題をしあう。ただし、ここで語られる殺人はすべて、出題者の手で実行ずみの現実に起きた殺人なのである…。リアル殺人ゲームの行き着く先は!?歌野本格の粋を心して堪能せよ。

 

個人的にはイマイチ好きになれない作家で、代表作の『葉桜の季節に君を想うということ』なんて嫌いにもほどがあるのだが、『密室殺人ゲーム 王手飛車取り』は素直にすごいと言わざるを得ない。

不謹慎な内容で現実味もないので、読んでる最中は何ともイヤな気分になるのだが、ラストはとにかくすごい。著者が読者を騙すためだけに話を書くというのはなんか違う気がするが、ここまで本気でやってくれるとむしろ清々しいのである。

 

 

29位  翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 / 麻耶雄嵩(1991年)

 

首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末島田荘司綾辻行人法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。

 

推理作家の中でも頭のデキが良すぎて、常人には理解不能な問題作を連発する麻耶雄嵩だが、デビュー作の時点ですでに出来上がっている。

著者が21歳で書いたというのに三大奇書黒死館殺人事件』のオマージュという時点でヤバい匂いがプンプンするのだが、予想を遥かに超えるトンデモ本となっている。

タイトルも含め終始意表を突きまくりで、作中最大の謎と言える強固な密室殺人のトリックはもはやバカミスを超越した変態プレイである。

ヤバいのが読みたい人にはこれ以上ないほどおすすめ。

 

 

28位  GOTH / 乙一(2002年)

 

 連続殺人犯の日記帳を拾った森野夜は、未発見の死体を見物に行こうと「僕」を誘う……人間の残酷な面を覗きたがる者〈GOTH〉を描き本格ミステリ大賞に輝いた乙一出世作

世界に殺す者と殺される者がいるとしたら、自分は殺す側だと自覚する少年「僕」。もっとも孤独な存在だった彼は、森野夜に出会い、変化していく。彼は夜をどこに連れて行くのか? 「僕」に焦点をあてた3篇を収録。

 

”と””のキャラが最高すぎる、ラノベ寄りの傑作連作短篇集。

とにかくえまくっているのと、凶悪極まりないサイコパスが6つある話のほとんどに登場するのでサイコ好きにはたまらないだろう。

また周到に張られた伏線から導かれる””と””の正体が判明する話は乙一のミステリ作家としての力量を証明している。

というか””のキャラと正体ヤバすぎ。

 

GOTH―リストカット事件

GOTH―リストカット事件

  • 作者:乙一
  • メディア: 単行本
 

 

27位  倒錯のロンド / 折原一(1989年)

 

”原作者”と”盗作者”の緊迫する駆け引きに息を呑む。受賞間違いなし、と自信を持って推理小説新人賞に応募しようとした作品が、何者かに盗まれてしまった! そして同タイトルの作品が受賞作に。時代の寵児になったのは、白鳥翔。山本安雄がいくら盗作を主張しても誰も信じてくれない。原作者は執念で盗作者を追いつめる。巧緻極まる仕掛けが全編に張り巡らされ、その謎が解き明かされていく衝撃、そして連続する衝撃! 叙述トリックの名手・折原一の”原点”に位置づけられる名作、32年越しの改訂が加わった新装完成版。

 

本格ミステリだけで評価するのならちょっとした問題作になるのかもしれないが、叙述トリックの名手である著者が仕掛ける罠は、叙述トリックが使われていることを知りつつも、回避不可能だろう。

ところで本作が問題作とかアンフェアだとかそんなことはどうでも良い。

『倒錯のロンド』は問答無用に物語が面白いのである。猛烈に勢いのある筆致に、なんとなくブラックユーモアめいたセリフ、そしてS・キングの『シャイニング』を全力でパロっていたりととことん面白さを追求している。

完成版は著者の自虐プレイも強化されており、さらに面白くなっている。

 

倒錯のロンド 完成版 (講談社文庫)

倒錯のロンド 完成版 (講談社文庫)

  • 作者:折原 一
  • 発売日: 2021/01/15
  • メディア: 文庫
 

 

26位  異邦の騎士(1988年)

 

 失われた過去の記憶が浮かびあがり男は戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺したのか。やっと手にした幸せな生活にしのび寄る新たな魔の手。名探偵御手洗潔の最初の事件を描いた傑作ミステリ『異邦の騎士』に著者が精魂こめて全面加筆修整した改訂完全版。幾多の歳月を越え、いま異邦の扉が再び開かれる。

 

 島田御大の事実上の処女作で、御手洗&石岡君最初の事件である。

ミステリーとしても優秀なのはもちろんのこと、島田御大のストーリーテラーとしての才能が溢れる至高のラブストーリーである。

記憶を無くした"俺"の正体と良子の謎に迫る物語は涙無しでは語れず、ラストはそこはかとないせつなさが残る。

最初にこの本を読むと素晴らしさが95%くらい減少するので、他の御手洗&石岡君が活躍する作品を読まなければいけない。

 

異邦の騎士 改訂完全版

異邦の騎士 改訂完全版

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1998/03/13
  • メディア: 文庫
 

 

25位  神様ゲーム / 麻耶雄嵩(2005年)

 

自分を「神様」と名乗り、猫殺し事件の犯人を告げる謎の転校生の正体とは? 神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか謎の転校生・鈴木太郎が事件の犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。そして、鈴木の予言通り起こる殺人事件。芳雄は転校生を信じるべきか、疑うべきか?

 

変態of変態作品である。
児童向けのレーベルから出ているにもかかわらず内容は不謹慎そのもので、サラッと読める短めな話の中にありったけの毒を封入したかのようである。

全知全能の神が犯人をスパッと言い当てるのが本作のポイントだが、本当にすごいのは変態極まるラストにある。「えぇー.........」とドン引きしてしまうだろう。

 

神様ゲーム (講談社文庫)

神様ゲーム (講談社文庫)

  • 作者:麻耶 雄嵩
  • 発売日: 2015/07/15
  • メディア: 文庫
 

 

24位  東亰異聞 / 小野不由美(1994年)

 

帝都・東亰、その誕生から二十九年。夜が人のものであった時代は終わった。人を突き落とし全身火だるまで姿を消す火炎魔人。夜道で辻斬りの所業をはたらく闇御前。さらには人魂売りやら首遣いだの魑魅魍魎が跋扈する街・東亰。新聞記者の平河は、その奇怪な事件を追ううちに、鷹司公爵家のお家騒動に行き当たる…。人の心に巣くう闇を妖しく濃密に描いて、官能美漂わせる伝奇ミステリ。

 

個人的には1位にしてしまってもいいんじゃないかと思うほど凄い伝奇ミステリだが、本格ミステリとしての評価でこの順位にしている。

京極夏彦百鬼夜行シリーズのような、人間ではなく魑魅魍魎の仕業としか思えない怪異のような事件を探偵役が解決するという本格ミステリだが、『東亰異聞』のすさまじさは事件が解決した後に待っている。

何もかもをひっくり返す衝撃を超えた衝撃をぜひとも味わってほしい!

ちなみにホラー作品というわけではないものの、妖しく美しい明治の世界観が異様に怖い。

 

 

23位  殺戮にいたる病 / 我孫子武丸(1992年)

 

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される凌辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に抉る衝撃のホラー。叙述ミステリの極致!

 

リョナラー必読、猟奇エロ本の最高峰である

殺人が起こるたびに射精することになるので、読んだ後は金玉すっからかんなのだ。

犯人と被害者、そして読者が三位一体となってイクことができる神聖なハーモニーが奏でられる。イッて、逝って、イク

その他、おっぱいや携帯おま〇こなどドラえもんですら思いつかないスーパーアイテムの数々.....お母さんはゴミ箱漁るし...んもう!

ちなみにこの本、ただのエロ本ではなくあのトリックが完璧にキマった作品でもあるので変態だけでなく、ミステリ好きにもおすすめ。

 

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)

 

 

22位 八つ墓村 / 横溝正史(1950年)

 

戦国の頃、三千両の黄金を携えた八人の武者がこの村に落ちのびた。だが、欲に目の眩んだ村人たちは八人を惨殺。その後、不祥の怪異があい次ぎ、以来この村は“八つ墓村"と呼ばれるようになったという――。大正×年、落人襲撃の首謀者田治見庄左衛門の子孫、要蔵が突然発狂、三十二人の村人を虐殺し、行方不明となる。そして二十数年、謎の連続殺人事件が再びこの村を襲った……。現代ホラー小説の原点ともいうべき、シリーズ最高傑作! !

 

犬神家と並んで最高峰の知名度を誇る『八つ墓村

ホラー的なイメージが先行しているように思われるが、実際はエンタメの限りを尽くした超絶娯楽小説である。推理云々ではなくめっちゃ面白い!

しかも八つ墓村金田一耕助は登場するものの、ただの脇役なのでこの本を最初に読んでも何の支障もないのが良い。

まぁ読めば分かるのだが、ひたすらに面白いしやたら萌えているので、萌えたい人は必ず読もう。本格ミステリとしても優れているが、八つ墓村はミステリではなくミステリーなのだ。

 

八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

  • 作者:横溝 正史
  • 発売日: 1971/04/26
  • メディア: 文庫
 

 

21位  解決まではあと6人 / 岡嶋二人(1985年)

 

次々と興信所を訪れては、およそ事件とは思われない奇妙な依頼をしていく謎の女・平林貴子。いったい、彼女の本当の目的は何なのか。やがて、それぞれの調査報告が、ひとつの輪のように繋がって隠された大事件の全容が明らかになっていく。斬新なスタイルで、読者に挑戦する華麗なるメドレー・ミステリー。

 

伝説の推理作家ユニット岡嶋二人

デビュー前の東野圭吾に「岡嶋二人には勝てない」と言わしめただけに高品質かつ読みやすいミステリを多数残しているが、本格ミステリとしてのデキの良さでは本作が頭一つ抜けているように思う。

連作短編のような形式で、謎の女が別々の興信所に奇妙な依頼をしていき、話が進むごとに事件の輪郭が見えてくるというオリジナリティ溢れる内容である。

 

 

20位  ハサミ男 / 殊能将之(1999年)

 

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。

 

あのトリックが使われた作品の中でも特に完成度が高い傑作である。

ただしフェア過ぎるため、ミステリ慣れした読者であればおそらくすぐに見破ってしまうかもしれない。なので読むタイミングがとても重要。

ミステリ慣れしていない人が読めば、あるシーンで「?????」 となるのは間違いない。頭がおかしくなるほど感じてしまうだろう。

ただ事実に気づいたとしても物語がかなり楽しいので、最後まで楽しめるので安心だ。

ちなみにマニア御用達のエロ本でもある(ただし人口の99.999%はエロ本であることに気づかない)

 

 

19位  太陽黒点 / 山田風太郎(1963年)

 

昭和30年代後半の東京。才気に満ちた美貌の苦学生・鏑木明は、アルバイト先の屋敷で社長令嬢・多賀恵美子と出会い、偶然にも特権階級への足掛かりを手にする。献身的だが平凡な恋人・容子を捨て、明は金持ち連中への復讐を企て始める。それが全ての悲劇の序章だとは知らず…。“誰カガ罰セラレネバナラヌ”―静かに育まれた狂気が花聞く時、未曾有の結末が訪れる。戦争を経験した著者だからこそ書けた、奇跡のミステリ長編。

 

物語の後半まではミステリとは思えないような青春恋愛小説といった展開だが、裏では驚愕の仕掛けが施されており、誰もが予想不可能な結末が待っている。

ネタバレ厳禁なので深くは書かないが、すごいことは保証するので『イニシエーション・ラブ』を読むような軽~い気持ちで読んでみよう。きっと読み終えるとどんよりすることだろう.....。

 

 

18位  仮面山荘殺人事件 / 東野圭吾(1990年)

 

八人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた八人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに一人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。七人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった…。

 

東野圭吾は万能過ぎて本格ミステリ作家としての影がイマイチな気がするのだが、はっきり言って新本格の作家たちが束になっても敵わないくらい強力な推理小説も書いている。その代表が『仮面山荘殺人事件』だろう。

売れっ子日本一だけあって、物語自体の面白さは折り紙付きでミステリ部分も「なにィ....!」→「うほッ」→「うおーーーー!!」と何度も衝撃を与えてくれる神仕様である。

何となく東野圭吾を読んでいないミステリ好きはまずこれだろう。

 

 

17位  硝子のハンマー / 貴志祐介(2004年)

 

日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて……。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。

 

推理小説以外の作品がすごすぎる貴志祐介だが、何気に密室事件の達人でもある。

タイトルで盛大にネタを明かしてしまっているにもかかわらず、犯人もトリックも極めて分かりずらいという、練りに練られたすんごい密室殺人である。殺しの手段は前代未聞で超能力としか思えない必殺技が炸裂する。

しかし何といっても、最強エンタメ作家である貴志祐介本格ミステリとしての完成度だけでなく、巧みな構成から生み出されるストーリー性の高さも他の推理作家にはマネできないものがある。

 

 

16位 さよなら神様 / 麻耶雄嵩(2014年)

 

「犯人は〇〇だよ」。クラスメイトの鈴木太郎の情報は絶対に正しい。やつは神様なのだから。神様の残酷なご託宣を覆すべく、久遠小探偵団は事件の操作に乗り出すが・・・・・・。衝撃的な展開と後味の悪さでミステリ界を震撼させ、本格ミステリ大賞に輝いた超話題作。他の追随を許さぬ超絶推理の頂点がここに!

 

6作の短編からなる連作短編集である。

いずれの話も鈴木太郎という””が犯人を指摘するところから始まる。犯人が分かったうえで事件の真相を暴くという一種の特殊ミステリだが、最初の3作は麻耶雄嵩にしてはマトモで拍子抜け.....と思わせるのは当然トラップで、4話目から一気に変態プレイが全開になる。とにかく後半の異常っぷりが半端ではないため、驚きまくりたい方は読まないわけにはいかないのだ。残念でした♥ さよなら、神様

 

 

15位 絡新婦の理 / 京極夏彦(1996年)

 

当然、僕の動きも読み込まれているのだろうな――2つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。
房総の富豪、織作(おりさく)家創設の女学校に拠(よ)る美貌の堕天使と、血塗られた鑿(のみ)をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らせた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?シリーズ第5弾。

 

1400ページ越えという製本の限界に挑戦したミステリ.....というのはさておき、とにかく読んだだけで勃起するような妖艶な女が大勢登場する素晴らしい作品である。

長いだけでなく尋常ではない複雑な事件なので、事件の全貌がまるで見えてこないのだが、タイトルの通り恐るべき下手人が女郎蜘蛛のごとく罠を張り、みなが絡め取られていくという超絶ミステリ。この手の作品では最も完成度が高いと思われる。

最初と最後の美しさは言葉にはできない。

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 2002/09/05
  • メディア: 文庫
 

 

14位  犬神家の一族 / 横溝正史(1951年)

 

信州財界一の巨頭、犬神財閥の創始者犬神佐兵衛は、血で血を洗う葛藤を予期したかのような遺言状を残して永眠した。佐兵衛は生涯正室を持たず、女ばかり三人の子があったが、それぞれ生母を異にしていた。一族の不吉な争いを予期し、金田一耕助に協力を要請していた顧問弁護士事務所の若林がやがて何者かに殺害される。だが、これは次々と起こる連続殺人事件の発端にすぎなかった! 血の系譜をめぐる悲劇、日本の推理小説史上の不朽の名作!!

 

日本国民であれば誰もが知ってるミステリ。しかし原作を読んだことがある人はあまりいないのではないかと思う。

古い作品だが古臭さはほとんど感じられず抜群のエンターテイメント作品となっている。本格ミステリとしてはややご都合主義な部分もあるかもしれないが、練りに練られた展開ときれいに締められる幕引きは完璧である。

さあ、犬神家を読んで非国民を脱しよう!

 

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

  • 作者:横溝 正史
  • 発売日: 1972/06/12
  • メディア: 文庫
 

 

13位  陰獣 / 江戸川乱歩(1928年)

 

探偵小説作家の「私」は、愛読者である美貌の人妻・小山田静子から奇妙な相談を受ける。文壇を騒がす謎の探偵小説作家・大江春泥の正体が静子の元恋人・平田一郎であり、かつて静子に恋破れた彼が復讐のため小山田家の周囲を徘徊しているというのだ・・・その真相をさぐる主人公の前に展開していった驚嘆すべき真相とは?

 

膨大な著作の江戸川乱歩だが、本格ミステリの完成度ならば『陰獣』が筆頭だろう。

ミステリを抜きにしても変態童貞を書かせたらならぶ者のいない大乱歩の描く、ストーカー小説としてもかなり面白い。そして肝心な推理部分は一筋縄ではいかず、初読→再読→再々読することで見えてくる結末が変わってくるというメタ仕様。

乱歩の描く変態男と優れたミステリが両立した大傑作(あとタイトルがかっこいい)

 

 

12位  北の夕鶴2/3の殺人(1985年)

 

 北の大地で壮大なトリックが展開される傑作ミステリー。
占星術殺人事件』『奇想、天を動かす』などと並び称される名作!

離婚した妻・通子から掛かってきた一本の電話。
ただ、「声が聞きたかった」と言うだけの電話を不審に思った吉敷は、通子を追って上野駅へ向かう。

発車した〈ゆうづる九号〉に通子の姿を認めた吉敷だが、翌日、車内から通子と思われる死体が発見された。
通子の足跡をたどる吉敷は、彼女が釧路で殺人事件の容疑者となり、姿を消していたことを知る。

次々と降りかかる難事に身も心も傷だらけになりながら、別れた妻の無実を証明するため盛岡、そして釧路へと吉敷の捜査行は続く。

ハードボイルドと超絶トリックを融合させた驚異の傑作ミステリー!

 

怪奇現象としか思えない圧倒的な事件に、島田御大の十八番であるアクロバティックな超大技トリック、そして元妻を助けるためにズタボロになる漢。

まさに島田荘司の魅力を凝縮したような物語である。ミステリという枠を超えて物語そのものがとても素晴らしい。

もともと御手洗シリーズで使うために考案したトリックなので、本作のトリックは『斜め屋敷の犯罪』と双璧を成すほど凄まじいものとなっている。

吉敷シリーズ3作目だが、この本を最初に読んでもさほど問題がないので、気になった方は読んでみるべし。

 

北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)

北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1988/07/01
  • メディア: 文庫
 

 

11位  迷路館の殺人 / 綾辻行人(1988年)

 

奇妙奇天烈な地下の館、迷路館。招かれた4人の作家たちは莫大な“賞金”をかけて、この館を舞台にした推理小説の競作を始めるが、それは恐るべき連続殺人劇の開幕でもあった!
周到な企みと徹底的な遊び心でミステリファンを驚喜させたシリーズ第3作、待望の新装改訂版。初期「新本格」を象徴する傑作!

 

読者を騙すという点において、ここまで徹底的にやりまくった小説は滅多にないであろう超トリッキーな傑作である。

作中作という構成からしてやたらトリッキーだが、ラストには驚きに次ぐ驚きという小説でしか体感できない楽しみが全開である。著者の叙述トリックで読者をハメる技術は驚嘆すべきものがある。

なお本作は館シリーズ3作目だが、迷路館までは必ず順番通りに読まなければならない。十角館を読んで時計館にワープしたら必ず後悔するので注意

 

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

迷路館の殺人<新装改訂版> (講談社文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 文庫
 

 

10位  明治断頭台 / 山田風太郎(1979年)

 

明治の王政復古とともに復活した役所、弾正台。水干姿の優美な青年・香月経四郎と、同僚の川路利良は、その大巡察として役人の不正を糺す任に就いていた。とあるきっかけから、二人は弾正台に持ち込まれる謎めいた事件の解決を競うことに。いずれ劣らぬ難事件解決の鍵になるのは巫女姿のフランス人美女、エスメラルダが口寄せで呼ぶ死者の証言で…!?明治ものにして本格推理小説。驚天動地のラストが待ち受ける異色作。

 

最強衝撃小説の筆頭である。

本格ミステリも100冊200冊と読む冊数が増えていくと、いくら衝撃の結末!!とか謳われていようが、悲しいことにあまり驚かなくなってしまうという宿命が待っている。

しかし『明治断頭台』どの心配は無用である。推理作家としても高い評価を得ている山田風太郎が、本作を最も自信があると言っていることからもその完成度は保証されたも同然だが、実際最後の衝撃の展開に到達するや「ぐおッ.....!?」となること必定である。

連絡短編となっており、個々の事件をとっても完成度が高いのでミステリ慣れした人にこそおすすめしたい。

 

 

9位  〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件 / 早坂吝(2014年)

 

アウトドアが趣味の公務員・沖らは、仮面の男・黒沼が所有する孤島での、夏休み恒例のオフ会へ。赤毛の女子高生が初参加するなか、孤島に着いた翌日、メンバーの二人が失踪、続いて殺人事件が。さらには意図不明の密室が連続し……。果たして犯人は? そしてこの作品のタイトルとは? 「タイトル当て」でミステリランキングを席巻したネタバレ厳禁の第50回メフィスト賞受賞作

 

一読して射精、再読して勃起しながらガマン汁を垂れ流すという伝説のエロミスである。これだからメフィスト賞は信頼しちゃう。
ネタバレ厳禁なので詳しくは書けないが、エロバカな割に極めてロジカルな仕上がりとなっていて、しかもあらゆるエロがトリックに密接に結びつくという変態仕様なのだ。

アナルに指を突っ込みながらフェラしてごっくんしちゃう探偵”上木らいち”の活躍をぜひ味わってほしい!!

 

〇個別紹介記事

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○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

○○○○○○○○殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者:早坂 吝
  • 発売日: 2017/04/14
  • メディア: 文庫
 

 

8位  容疑者Xの献身 / 東野圭吾(2005年)

 

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。

 

まずは東野圭吾作品なので、本格ミステリ云々ではなく物語自体が非常に素晴らしい。これだけでも十分に読む価値があるだろう。

しかし超有名な本作の本当にすごいところは、犯人視点の倒叙ミステリであるにもかかわらず衝撃の事実があることだろう。衝撃の事実が明らかになるシーンでは思わず「してもうたか.......」と静かに震えたものである。

ミステリオタクは何となく東野圭吾を忌避する傾向があるように思われるが、これは読まないとダメなやつです。必読。

 

 

7位  十角館の殺人 / 綾辻行人(1987年)

 

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の7人が訪れた。館を建てた建築家・中村青司は、半年前に炎上した青屋敷で焼死したという。やがて学生たちを襲う連続殺人。ミステリ史上最大級の、驚愕の結末が読者を待ち受ける! 
すべてはここから。清冽なる新本格の源流!大学ミステリ研究会の七人が訪れた十角形の奇妙な館の建つ孤島・角島。メンバーが一人、また一人、殺されていく。「十角館」の刊行から二十年。あの衝撃を再び!

 

おそらく世間一般的には最も人気のある作品だと思う。

ただし個人的にはトリックのインパクトが少々弱かったのでこの順位になっているが、直球の本格ミステリ的展開と完璧に構築されたロジックの美しさ、そしてミステリ界屈指の”衝撃の1行”は天下一品である。

個人的には事件の素晴らしさもさることながら、古典的海外ミステリ作家の名を冠した魅力的な登場人物による数々の会話がとても面白いと感じる。

そして誰もいなくなった』のオマージュ作品であるだけにみんないなくなってしまうのだが......(泣)

 

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

  • 作者:綾辻 行人
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: 文庫
 

 

6位  本陣殺人事件 / 横溝正史(1946年)

 

江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。その婚礼の夜に響き渡った、ただならぬ人の悲鳴と琴の音。離れ座敷では新郎新婦が血まみれになって、惨殺されていた。枕元には、家宝の名琴と三本指の血痕のついた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離れ座敷を完全な密室にしていた……。アメリカから帰国した金田一耕助の、初登場の作品。

 

大横溝が生み出した探偵、金田一耕助のデビュー作であり犯人、トリック、動機すべてがテヘペロな感じのとんだバカミスである(笑)....しかも戦後間もない作品なのにめっちゃ萌えてる

さて、上記の内容は誇張でも何でもなく、天才の無駄使いとしか言いようのない残念な犯人と超かっこいいトリック、そして涙が出るほど共感できる動機(?)はこの世に生きるすべての童貞を滂沱の涙に誘うだろう。

この時代にすでにこんなとんでもないトリックがあるんだから、後世のミステリ作家は気の毒である。

 

 

5位  斜め屋敷の犯罪 / 島田荘司(1982年)

 

 北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館――通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!? 日本ミステリー界を変えた傑作が、大幅加筆の改訂完全版となって登場! 

 

不可能犯罪としか思えないほどの超絶密室殺人事件である。実現可能性を度外視した超ド級の物理トリックは歴史に名を残す残すこと間違いなしである(バカミスって言っちゃダメ笑)

そして『斜め屋敷の犯罪』のやたら面白いところは何といってもユーモア溢れる登場人物の会話と、女同士の醜さ極まる罵詈雑言の罵りあいだろう(笑)

島田御大は本格推理作家としてだけでなく、稀代のストーリーテラーでもあるということを実感できる作品だ。

 

改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)

改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2016/01/15
  • メディア: 文庫
 

 

4位  姑獲鳥の夏 / 京極夏彦(1995年)

 

この世には不思議なことなど何もないのだよ――古本屋にして陰陽師(おんみょうじ)が憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第1弾。東京・雑司ヶ谷(ぞうしがや)の医院に奇怪な噂が流れる。娘は20箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。

 

 "20ヶ月も妊娠している女"と"完全な密室で消失した男"という極めて不可解な謎が魅力的であり、特に後者の密室トリックは空前絶後の反則技である。

後世にメフィスト賞を生み出すことになった作品だけに、そのトリックはいかにもバカミスなのだが、京極堂認知科学的な解説という伏線によりバカミス呼ばわりすることが不可能な状況ができあがってしまっているのだ。

こんなのもありなのか....」と本格ミステリに限界がないことを知らされる作品だ。

 

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 1998/09/14
  • メディア: 文庫
 

 

3位  隻眼の少女 / 麻耶雄嵩(2010年)

 

山深き寒村で、大学生の種田静馬は、少女の首切り事件に巻き込まれる。犯人と疑われた静馬を見事な推理で救ったのは、隻眼の少女探偵・御陵みかげ。静馬はみかげとともに連続殺人事件を解決するが、18年後に再び惨劇が…。日本推理作家協会賞本格ミステリ大賞をダブル受賞した、超絶ミステリの決定版。

 

常に問題作を発表し続ける異能の変態作家、麻耶雄嵩

そんな著者が横溝的なド本格ミステリの世界観の中で、これでもかというほど衝撃的な変態鬼畜プレイをやらかしたのが『隻眼の少女』である。

日本推理作家協会賞本格ミステリ大賞をダブル受賞しているにも関わらず、アホみたいに賛否両論なことが愛おしい。

犯人が忍者でも超能力者でも宇宙人でも面白ければどうでも良いのです。犯人なんて分からなくてもいい。探偵の御陵みかげ萌えまくっているのも最高なのだ。

 

隻眼の少女 (文春文庫)

隻眼の少女 (文春文庫)

  • 作者:麻耶 雄嵩
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫
 

 

2位  魍魎の匣 / 京極夏彦(1995年)

 

箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物(つきもの)は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ。

 

"生きてゐる人形"や"重体で医療機器に繋がれた少女が衆人環境で瞬時に消失"といった怪奇幻想に満ち溢れた謎を筆頭に、連続バラバラ殺人事件など多くの事件が輻輳する途轍もない超絶ミステリである。
1000ページを超える大長編でありながら、京極堂の憑物落しより事件が解決してみれば、無駄なページなど1ページたりとてなかったことが分かり震えてしまう。”みっしり”なのだ。

SF的要素もある猟奇極まる恐るべき殺人事件。ページ数に恐れをなしている方は安心して読み進めよう。物語もキャラも魅力的で読むのをやめられなくなるだろう。

 

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 1999/09/08
  • メディア: 文庫
 

 

1位  占星術殺人事件 / 島田荘司(1981年)

 

 密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。その後、彼の六人の娘たちが行方不明となり、一部を切り取られた惨殺遺体となって発見された。事件から四十数年、迷宮入りした猟奇殺人のトリックとは!?名探偵御手洗潔を生んだ衝撃作!

 

人類がホモ=サピエンスから進化しない限り『占星術殺人事件』を超える本格ミステリを生み出すことはもう不可能だろう。そう断言できる完全無欠の超傑作である。

三つに分かれた事件のいずれも出し惜しみない完成度であり、特に最後のアゾート殺人はオカルト性も相まって本格ミステリを超えた真のミステリーと言える。(ちなみにおらは二つ目の事件が大好き♡これで島荘のファンになり申した)

島田御大は21世紀本格というミステリの新たな地平を提唱し、その圧倒的な作品群によりゴッドオブミステリーの地位を確固たるものとしたが、本格推理小説としては本作が永遠のマスターピースなのだ。

 

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

占星術殺人事件 改訂完全版 (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 文庫
 

 

謎の探究に終わりはない

エドガー・アラン・ポーが『モルグ街の殺人』とともに、この世に探偵小説を生み出した時点ですでに究極の謎は提示されてしまったのかもしれない。

しかしながら後世の推理作家も限界を超えた作品を稀に生み出すので、今後もミステリを読みまくって、脳内麻薬が爆発するほどの謎を探求していきたい。

 

 

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