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オカルトマニア感涙|『ゴーストハント』小野不由美|作品紹介とおすすめ作品ランキング

これであなたもオカルトマスター

全7作からなるゴーストハントはミステリ寄りの作品からホラー特化型の作品があり、ラノベ寄りの作品であるにもかかわらず、かなり気合の入った....というか死人が出まくるヤバい怪異がある。
また和風な作品もあれば洋風の作品もあるし、学園ものかと思いきやそうではない作品も多いので、それぞれの回でネタが被ることがなく、発生する怪異に見合った蘊蓄も豊富に披露されるため、ゴーストハントシリーズを読むだけでオカルト通になることができる。もちろんどの作品もハイクオリティである。
 代表作の『十二国記』を含め、比較的お堅い作品の多い著者の作品群の中でもとても読みやすい文体で書かれているので、ホラー×ミステリや面白くて質のいいホラー作品が読みたい方には自信を持っておすすめできる。

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文庫版の装丁はとても美しい

作品一覧

当初は講談社X文庫ティーンズハートから少女向けに発表されていたものが、後に全面的にリライトされてゴーストハントと改題されている。

ゴーストハントシリーズは連作長編のような趣向があり、各回の怪異との対峙に加えて主人公の谷山麻衣の成長物語とSPR所長の渋谷一也の正体に関する謎を明らかにする物語というシリーズものならではの醍醐味がある。そのため必ず順番通りに読むべきである。

なおアニメ版があり、適度に省略されつつもサブストーリーが入るなど、かなり面白く仕上がっているのだが、6話目の海からくるもので完結してしまうため注意が必要だ。

 

作品ランキング

作品ごとにバリエーション豊かな怪異に見舞われることになるので、人それぞれ怖いという回が異なると思われるし、面白いと感じる話もばらつきがあると思われる。

そのためこの記事ではミステリ度、恐怖度を★の数で評価しつつも私の好みのみで作品ランキングをつけていく。

 

七位  ゴーストハント4 死霊遊戯

恐怖度  |★★★★☆☆☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★☆☆☆☆☆

 

緑陵高校の生徒会長・安原の懇願を受け、麻衣たちは調査に向かった。校内ではおびただしい数の怪談や怪奇現象が囁かれ、生徒たちは「ヲリキリさま」と呼ばれる奇妙な占いに熱中していた。生活指導教員の松山の高圧的な態度もあり調査は難航。4カ月前に起こった生徒の飛び降り自殺と一連の怪奇事件との関係は?麻衣が見た不思議な夢の意味は?新キャラクター・安原少年が登場。学園パニックホラー&ミステリ。

 

本作は回が進むごとに怪異が凶悪化していく傾向があるのだが、死霊遊戯は4話目にして一気に怪異のスケールが強大に、邪悪になるので学園パニックものとして楽しむことができる。

怪異の正体や解決も大掛かりなものとなっているので本書をベストに推す方もいるかもしれないが、登場人物にイラっと来る人がいるため7位ということにしておく(笑)

 

六位  ゴーストハント3 乙女ノ祈リ

恐怖度  |★★☆☆☆☆☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★★★★☆☆

 

次々とSPRを訪れる女子高生たち。狐狗狸さんによる狐憑き、美術準備室に現れる幽霊、部室でのポルターガイスト現象。それらは東京周辺部にある湯浅高校で起こっていた。校内での聞き込み調査を進めると、笠井千秋というスプーンを曲げられる超能力少女の存在が浮上。真実を追ううちに邪悪な意志はナルや麻衣をも標的にし始め…。さまざまな証拠をもとに怪異の原因をロジカルに推理してゆく本格ミステリ度の高い第3弾。

 

ホラー×ミステリの本シリーズにおいて、もっとも本格ミステリ寄りの作風となっている。なので著者の夫である綾辻行人が好きな方には特におすすめできる。

多くの怪異が本当に霊的なものなのか、はたまた人為的な現象なのかを本格ミステリのような流れで追求していく楽しみがある。

ただしミステリ要素が強いだけにあまり怖くないのが玉に瑕。

 

 

五位  ゴーストハント1 旧校舎怪談

恐怖度  |★★★★☆☆☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★★★☆☆☆

 

主人公・麻衣の高校にある旧校舎には、取り壊そうとすると祟りがある、夜になると窓に幽霊の姿が浮かぶなど、怪奇な噂が絶えない。だがその原因と言えば、地縛霊や戦災にあった浮かばれぬ霊の仕業説、霊などいないと断言する者など諸説あり……。果たして旧校舎には悪霊が巣食っているのか? それとも単なる根も葉もない噂? ある日、麻衣はひょんなことから、校長から旧校舎の調査依頼を受けたという、心霊現象の調査研究所・渋谷サイキックリサーチ(SPR)の仕事を手伝うことに。なんとその所長は、とんでもなく偉そうな自信家の17歳の美少年、渋谷一也。ナルと麻衣が出会い、個性的な霊能者たちが登場する、大人気ミステリ&ホラーシリーズ第1弾。

 

これぞ学校の怪談と言わんばかりの正統派な学園ホラーとなっている。

一作目にしてメインキャラは出揃い、ナルのナルシストキャラもいきなり最高潮なので怪異以外にもキャラモノとしてとても面白い。

ホラーとミステリの融合がとてもよくできていて、オカルトネタも満載なのでこれを読むだけでオカルト知識が一気に身につく(何の役にも立たないけど...)

何気にナルのナルシストネタとツンデレ感が一番面白い回でもある。

 

 

四位  ゴーストハント2 人形の檻

恐怖度  |★★★★★★★★★☆

ミステリ度|★★★★★★★☆☆☆

 

古い瀟洒な洋館で頻発するポルターガイスト現象。なぜかまたもや合流することになった霊能者軍団とともに、さっそく調査を開始したSPR一行。そんな彼らを嘲笑うかのように、怪しい物音やポルターガイスト現象は激化する。やがて麻衣は、一家の一人娘・礼美の持つアンティークドールが不穏な気を放っていることを察知し、ナルは家を覆う悪意を科学的に執拗に調査してゆく。小野不由美のホラーの原点といえる傑作!

 

著者が誇る最恐ホラー『残穢』型のホラーなので、もともとは少女向けと思えないほど本気のホラーとなっている。

異常に強力な怪異で人も死にまくっているのだが、あくまでも科学的に怪異を解明していくスタイルなので、ミステリ好きにも楽しめる仕様になっている。

残穢は勘弁だけどヌルいホラーもつまらないという方におすすめできる。

 

 

三位  ゴーストハント5 鮮血の迷宮

恐怖度  |★★★★★★★★★☆

ミステリ度|★★★★☆☆☆☆☆☆

 

血の匂いがするーー。複雑怪奇な洋館に隠された恐るべき秘密とは。増改築を繰り返した結果、迷宮のような構造を持つにいたった巨大な洋館。長年放置されていたその館の周辺で行方不明者が相次ぐ。突然現れたナルの師匠という女性。彼女が持ってきた依頼は、長野県の山中にある広大な屋敷の調査だった。だが調査隊はSPRだけではない。日本中から名だたる霊能者や心霊研究家も集められていたのだ。尋常でないのはそれだけではない。館の内部や外部の構造を調べるうち、麻衣たちは建物のあちこちに不審な空洞があることに気づいた――。そして、事件は起こった。館にいる人間が姿を消し始めたのだ。徐々に明かされていく血塗られた館の過去。ゴシック趣味溢れるシリーズ5作。SPR史上最凶最悪の怪物が潜んでいる!?

 

本作を最恐作品に推す方も多いと思われる、凶悪な怪異.....というよりはもはや化け物と遭遇する戦慄のホラーである。

複雑怪奇な洋館が舞台なため、ダンジョン探索的な面白さもあるのでWizardry(古のダンジョン探索RPG)好きは感激すること間違いなしである。

また本作の禍の元となる存在は、小野作品の最高傑作候補である『屍鬼』に通じるものがあったり、夫の綾辻行人の大作『暗黒館の殺人』にネタにされたりとそっち系が好きな方は歓喜に震えることになるだろう。

 

 

二位  ゴーストハント7 扉を開けて

恐怖度  |★★★★★★★★☆☆

ミステリ度|★★★★★★★★☆☆

 

「やっと、見つけた」シリーズ第1作からの謎がついに明かされる!能登の事件を解決し、東京への帰路についた一行は、道に迷ってダム湖畔のキャンプ場にたどり着いてしまう。ナルの突然のSPR閉鎖宣言に戸惑う麻衣たちは、急遽、湖畔のバンガローに滞在することに。そこへ舞い込んだ、廃校になった小学校の調査依頼。幽霊が出るという校舎には恐るべき罠が仕掛けられていた――。すべての謎が明らかにされる最終巻。驚愕の真実とは!

 

シリーズ最終作であるだけに、1話目から周到に張られたすべての伏線が回収され、ナルの正体が判明する回である。そのため怪異よりも物語が中心となっており、遭遇する怪異は超凶悪ではあるものの、怪異の正体を科学的に解き明かすといった流れではなく、麻衣の成長した力を魅せる場となっている感がある。

ただし廃校で人が消えていくという極めて正統派な『学校の怪談』で、情け容赦ない怪異に見舞われるため恐怖度はなかなかなものである。

 ナルの正体に迫っていくのはまさに本格ミステリのノリで、「あっ....たしかに」的な気付きがあって興奮する。

最後にふさわしい素晴らしい大団円が待っているのでゴーストハントシリーズにハマった方は必ず最後まで読もう。

 

 

一位  ゴーストハント6 海からくるもの

恐怖度  |★★★★★★☆☆☆☆

ミステリ度|★★★★★★★★☆☆

 

古い信仰の残る土地に暮らす呪われた一族を襲うものとは?シリーズ最高潮へおこぶさま、十八塚……。先祖の祟りか何かの因縁か。今回のSPRへの依頼者は、老舗料亭の一族である吉見影文。その祖父が亡くなったとき、幼い姪・葉月に背中に不吉な戒名が浮かび上がった。一族にかけられた呪いの正体を探る中、ナルが何者かに憑依されてしまう。リーダー不在のSPRに最大の危機が襲う!いよいよシリーズ、クライマックスへ。

 

舞台といい物語の展開と言い、横溝正史の世界観に残穢を混ぜたような好きな人にはたまらない仕様になっている。雰囲気最高。

呪われた一族の呪いを断つために、一族の家系を遡って怪異の大本を探っていく展開は残穢そのものだが、本作は霊がアグレッシブ極まりないためエンターテイメント要素も濃厚で、ナルがピンチになったり、みんなが満身創痍になるまで戦ったり、あの人がついに本気を出したりととにかく読みどころ満載である。

家系図を遡っていくという形式上、登場人物が非常に多いので人によってはやや読みずらいかもしれないが、丁寧に読まなくても全然OKである。

小野不由美の好きが詰まったような作風なので、『東亰異聞』や『黒祠の島』の世界観が好きな方は絶対に好きになるはず。

 

 

 

喪失感に浸る

 

たとえば素晴らしいRPGやアニメは没入すればするほど、全クリしてやることなくなったり、最終話を見終えた時に強烈な喪失感というか虚無感が待っているものである。

このシリーズもズバリ読み終えた時に何とも言い難い喪失感、虚無感が待っているのである。

私はかなりの小説を読んできたが、小説を読んでこんな気持ちに浸るのは初めてかもしれない。つまりそれほどキャラクターと物語が魅力的なのである。

もしゴーストハントシリーズ読み終えて心にぽっかり穴が開いてしまったのなら、十二国記を読んで心の傷を塞いでしまおう。

小野作品を他にあまり読んだことがない方は、この機会にぜひ小野ワールドに入り浸ってしまおう。

 

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