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能力バトルの始祖|『甲賀忍法帖』山田風太郎

週刊少年ジャンプもひれ伏す

 

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天野絵がすべてを物語っている

作品紹介

 山田風太郎による『甲賀忍法帖』は1959年に出版された作品である。
文庫版は概ね350ページと読みやすい長さで、その中にこれでもかというほど能力バトルが盛り込まれている。

能力バトル作品の始祖とされる作品だが、この時代に書かれたとは思えないほど練りに練られた能力や戦闘になっている。
甲賀卍谷衆VS伊賀鍔隠れ衆の10人対10人が出し惜しみなしの忍術によって潰し合う戦いは面白い以外の何物でもない。

 能力によって相性があったり、忍者であるため正々堂々ではなく奇襲、闇討ち、だまし討ちに多対一といった卑怯な戦術までバリエーション豊富なことが面白さに拍車をかけている。

 またありがたいことに(?)、くノ一たちはやたら妖艶なキャラが多く、使用する忍術が忍術だけに漂うエロスも尋常ではない。

 

 以下、あらすじの引用

 家康の秘命をうけ、徳川三代将軍の座をかけて争う、甲賀・伊賀の精鋭忍者各十名。官能の極致で男を殺す忍者あり、美肉で男をからめとる吸血くの一あり。四百年の禁制を解き放たれた甲賀・伊賀の忍者が死を賭し、秘術の限りを尽し、戦慄の死闘をくり展げる艶なる地獄相。恐るべし風太郎忍法、空前絶後の面白さ。

 

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

 

 

究極の娯楽小説

 60年以上前の本だというのに純粋な娯楽小説として『甲賀忍法帖』は頂点に立っていると断言したい。

少年誌では昔から能力バトル系の漫画が絶大な人気を集めているが、能力バトルにも2パターンあると考えている。

一つは『北斗の拳ドラゴンボール型』である。
北斗神拳南斗聖拳かめはめ波舞空術といった能力のようなものがあるが、強い奴は強いし仲間が殺されて怒れば勝てるタイプだ。

もう一つは『ジョジョ型・HUNTER×HUNTER型』である。

ベースとなる能力にある程度の差はあれど、基本的には圧倒的な戦力差は無く、能力や知恵を総動員して戦うタイプである。

 どちらも面白いことは間違いないが、どちらかというと後者の方が面白いと思うのは私だけではないはずである。
甲賀忍法帖』は典型的な後者である。腕力や剣術などの体術や五感が発達しているといったベースとなる本体にも優劣はあるが、能力や戦術を駆使することでその差を跳ね返すことができる程度のパワーバランスであるため、とにかく読んでいて面白い。

そして各キャラが使用する忍術はしょうもないものから反則級のものまで多彩だが、残念な能力であっても使い方次第では役に立つものなど全20人すべてが個性的である。

バジリスク 甲賀忍法帖』という名でアニメ化もされているが、この原作であれば現代でも通用することは間違いないだろう。そんな普遍性を持った作品である。

 

設定が面白過ぎる

 内容はシンプルで、徳川三代将軍決めるために甲賀衆と伊賀衆が代理戦争をするというものである。

 それぞれ10名ずつ選抜して全滅するまで戦うというバトルロイヤル形式が取られるのだが、そもそも代表+1名しか選ばれたメンバーが誰かを知らず、全体にことの全貌が伝わる前からすでに戦いが始まっているのである。

 甲賀のリーダーと伊賀のリーダー恋愛関係にあることも、物語の面白さにただのバトルものとは一味違う魅力を付与している。

忍術バトル×悲恋物語といったところだろう。これがつまらないはずがないことは一目瞭然だ。

 

絶妙なパワーバランスと多彩なバトル

 

 先にも書いた通り、忍者たちには圧倒的な戦力差はない。

もちろん一般人でも格闘術を習っている人は強いし、男性と女性なら男性の方が基本的には強いといった程度の差はあるが、一番強い奴でも大して強くないキャラが5人束になってかかればなんとかなるかもしれない程度の差である。

そして忍者であるがゆえに正々堂々戦うといった概念は無く、奇襲やだまし討ち、リンチを問答無用に行うため、全体的に見れば概ねチーム全体の力は均衡していると言える。

 たとえば一番強いと思われるキャラはほぼほぼ無敵級の強さを誇るが、あるキャラの能力や体質によっては無効化されたり、強力でも能力や弱点が相手にばれたら有用性が大幅に減退するといったバランスである。

 

 溢れんばかりのエロス

 エロスこそが『甲賀忍法帖』の本当にすごいポイントの一つだ(笑)
エロではなくエロス。そこが重要。

総勢20名の忍びの中にはくノ一も多数いる。そんな彼女らの忍術の多くがエロスを演出するために考えられたとしか思えない、妖艶なものなのである。

能力を明かすのはネタバレになるので後々記載とするが、エロい技をエロく使うことにとことん成功している。

 

 ※以下能力ネタバレ

 男というのは能力バトルが好きであり、強さを格付けせずにはいられない生き物なのである。ということで登場人物兼忍術紹介+強さを格付けしたい。

なおアニメ版とは異なり、肉弾戦の描写はさほど多くないため体術は考慮せずに忍術の強さだけで判断する。

 

 メンバー紹介


甲賀

  1. 甲賀弦之介
    リーダー。伊賀のリーダー朧の恋人。瞳術という殺意を持って襲い掛かってきた者を自滅させるというナルトもびっくりな超強力忍術を持つ。
  2. 風待将監
    蜘蛛男。強力な粘着力を持つ痰を吐く(汚い....)。蜘蛛の巣のように吐くこともできてその上を移動することもできる(汚ねぇ...)。
  3. 地虫十兵衛
    芋虫男。四肢が欠損している。口に仕込んだ槍を発射することや、走る以上に速い移動ができる(キモい)。
  4. 鵜殿丈助
    デブ毬男。朱絹が好き。ゴム毬のように柔軟な体を持つ。北斗の拳ハート様ですな。
  5. 霞刑部
    大入道。壁と同化することができる。腕力も超強力。
  6. 如月左衛門
    モブキャラ面(存在感の薄い人)。お胡夷のお兄ちゃん。誰にでも化けることができる。
  7. お胡夷
    豊満な肉体のお姉さん。肉体が吸い付くエロ吸血鬼で如月左衛門の妹である。
    血を吸ったら吐かないといけないのがまたエロい。
  8. 陽炎
    妖艶な美女。弦之介のことを愛しているのがポイント。
    欲情すると吐く息が強力な毒の息になる。
  9. 室賀豹馬
    盲目にして甲賀のナンバー2。弦之介の瞳術の師であり、夜だけ瞳術が使用できる。
  10. 甲賀弾正
    弦之介の祖父。含み針を使用するがすぐに退場。


<伊賀>


  1. 優しいお姉さん。弦之介の彼女。忍術は使えないが生まれながらにすべての忍術を無効化する破幻の瞳を持つ。
  2. 夜叉丸
    イケメン枠。蛍火と付き合っている。女の髪を束ねて作った鞭を使用する。
  3. 小豆蠟斎
    お爺ちゃん。手足が伸縮自在で破壊力も抜群。
  4. 朱絹
    エロお姉さん。体から血の霧を噴出させるというなんともエロい技を持つ。
    もちろん裸にならないと血霧は出せません。
    傷ついた筑摩小四郎のことを看護して好きになるという萌えポイントあり。
  5. 蛍火
    萌え枠。夜叉丸の彼女。
    虫や爬虫類を自在に操るというかなりすごい忍術を操る。
  6. 雨夜陣五郎
    ナメクジ男。水に同化するが塩をかけられたら死ぬ。
  7. 筑摩小四郎
    アニメだと好青年。息を吸うことで引き起こす「吸息旋風かまいたち」というダサいけどこれぞ必殺技な忍術を使う。
  8. 蓑念鬼
    体毛おじさん。空気に触れる箇所以外はすべて体毛に覆われており、その体毛を自在に操ることができる。
  9. 薬師寺天膳
    不死の忍者。伊賀のナンバー2で剣術にも精通している。年齢不詳。
  10. お幻
    朧の祖母。特に何もせずに殺られたが、おそらく鷹を操る。

 

 能力ランキング

ただ書いてみたかっただけである。
人様に読んでいただくために書いているのではなく、完全に脳内妄想に過ぎません(笑)

Eランク

朱絹:完全にサポート役、血を浴びてみたい

Dランク

陽炎:殺傷力は抜群だが使いどころが難しい

Cランク

お胡夷:強そうでいて使い勝手は悪い

:完全にサポート役だが能力はチート

Bランク

鵜殿丈助:体術に対して無敵だがデブ

如月左衛門:まさに忍者。活躍しまくるが戦闘力特化ではない

地虫十兵衛:完全に一発芸。でも動きが速いから優秀

小豆蠟斎:優秀な武闘派だがお爺ちゃん。

雨夜陣五郎:すごい能力だが、弱点が残念

蓑念鬼:無難に優秀だが毛むくじゃら

蛍火:もはや魔法使い級の忍術だが武闘派ではない

Aランク

室賀豹馬:期間限定だが能力はチート。発達した聴力も重要

風待将監:汚いが明らかに強い

霞刑部:忍術も腕力も強い最強候補

薬師寺天膳:まさにチート能力。でも拘束されたらアウト

夜叉丸:無難な強キャラ。使い勝手がいい

筑摩小四郎:使用する忍術が殺傷力ナンバー1

Sランク

甲賀弦之介:朧と盲目キャラを除けば無敵

 

まとめ

 読んでみて思ったのは、ずばり1959年という大昔にこんなに面白い本が存在したのか...という純粋な驚きだ。

多少のアレンジを加えつつ『バジリスク 甲賀忍法帖』としてコミック化、アニメ化されたことからも、現代でも衰えることなく通用することが分かるが、現代でも通用するばかりか、現代でも他を圧倒するような最高クラスの能力バトル作品なのである。

ジョジョHUNTER×HUNTER、そして同じ忍者ものとしてNARUTOが好きな方は何が何でも読んだ方がいいだろう。

 


「甲賀忍法帖」(MV)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)