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人生を変えた小説10選|影響力の強い本おすすめランキング+α

人生を変えるって(笑)

よく聞きますよね.....「人生を変える〇〇」というフレーズ。もちろん99%は詐欺なので騙されないように気をつけるのが得策である。
そもそも人生を変えるというのはどういうことなのだろうか。私が思いつくのは「自殺」である。死ねば宝くじで1兆円当たるよりも、超能力者になって地球人類を支配するよりも人生は変わると思うからだ。
ただそれではこの記事は1冊だけ紹介して終わってしまいそうなので、この記事では良い方にも悪い方にも考え方や生き方に影響を及ぼす本だと定義して紹介したい。先に書いておくが、人生を変えるというのは会社を辞めて起業してお金持ちになってヒャッハーではないと考えている。そういうのを求める方は自己啓発書や宗教をおすすめしておこう。
 

人生を変えるというのは悪い方にも作用する(笑)

 

まずは教えてならない禁断の本を1冊

さて、冒頭で触れたのでとりあえず一瞬確実人生を変えるための本を1冊挙げておきたい。ちなみにネガティブな本ではなく、むしろ生きやすくなったと言われるような本なので安心してほしい。
 

①  完全自殺マニュアル / 鶴見済(1993年)

 

世紀末を生きる我々が最後に頼れるのは生命保険でも年金制度でもない。その気になればいつでも死ねるという安心感だ。…薬局で買えるクスリから、最も安楽に死ねる方法まで、聖書より役立つ、コトバによる自殺装置。

 

引用した紹介分にもある通り、いざとなったら死ねるという安心感は何よりも強力である。とりあえず読んでみて知識を入れるだけでも役に立つという意味でとても良書だと言える。

但し、どうやら本書を読んで本当に人生を変えてしまった方もいるようなので、取扱注意というのは間違いない。なんだかんだ言って首吊りが安全安心感はあるが、遺体が思いのほか損傷するので、個人的には時限発火装置と合わせて使いたいと思った。

 

 

人生を変える本=影響力のある本

繰り返すが人生を変えるというのは、自己啓発書に書いてあるような経済的に成功して社会的地位も高くなるといったものでなければ、やりたいことをやりたいだけやるというものでもない。
色々な面で影響を受けてしまう本こそが人生を変える本なのである。例えば私は「男はあらゆるものを犠牲にしてでも好きなことをやりたい放題やって良い」という思想を持っている。ヤバいでしょ?
それと合わせて「本気で祈れば宇宙全体が助力して願いを叶えてくれる」というのも信じている。ヤバ過ぎでしょ?もちろん妻は日々大激怒しているがそんなことは知ったことではない。人生を変える本というのは良い薬にも悪い薬にもなり得る諸刃の剣なのである。

 

10位  アルケミスト / パウロ・コエーリョ(1988年)

 

羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて。長い時間を共に過ごした羊たちを売り、アフリカの砂漠を越えて少年はピラミッドを目指す。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」少年は、錬金術師の導きと旅のさまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んで行く。欧米をはじめ世界中でベストセラーとなった夢と勇気の物語。

 

引き寄せの法則系の自己啓発書を物語にしたような内容だが、若い頃に読めば読むほど人生に絶大な影響を及ぼすであろう作品。

私は19歳の時に予備校講師に勧められたのがきっかけで読んだので、必ずしも素直に本作の物語と向き合えなかったのだが、それでもやはり受けた影響は大きい。冒頭で挙げた「本気で祈れば宇宙全体が助力して願いを叶えてくれる」というのは本作からの受け売りである(笑)

この記事にたどり着いたような方は普段はあまり小説を読んだことがないかと思われるので、10位にはしたがまずは本作を手に取ることをおすすめしたい。

 

 

9位  死ねばいいのに / 京極夏彦(2010年)

 

死んだ女のことを教えてくれないか。三箇月前、自宅マンションで何者かによって殺された鹿島亜佐美。突如現れた無礼な男が、彼女のことを私に尋ねる。私は彼女の何を知っていたというのだろう。交わらない会話の先に浮かび上がるのは、人とは思えぬほどの心の昏がり。

 

死にたいと言っているような人に「はい、これ」と手渡したくなる一冊。

京極夏彦といったら百鬼夜行シリーズだろうが、本作は京極式禅問答がコンパクトかつスタイリッシュに描かれていて、さらにはミステリとしての側面も持つ”読む憑き物落とし”となっている。

京極夏彦作品は全般的に読む人の人生に影響を及ぼすのだが、書店で見れば分かる通り分厚い作品やタイトルに感じがずらーっと並んでいて敷居が高い印象を受けるかもしれない。そんなレンガ本群に恐れをなした方にこそ洗練されていて読みやすい『死ねばいいのに』をおすすめしたい。

 

 

8位  アルカトラズ幻想 / 島田荘司(2010年)

 

1939年11月2日、ワシントンDCのジョージタウン大学脇にあるグローバーアーチボルド・パークの森の中で、娼婦の死体が発見された。被害者は両手をブナの木の枝から吊るされ、性器の周辺がえぐられたため股間から膣と子宮が垂れ下がっていた。時をおかず第二の殺人事件も発生し、被害者には最初の殺人と同様の暴虐が加えられていた。凄惨な猟奇殺人に世間も騒然とする中、恐竜の謎について独自の理論を展開される「重力論文」を執筆したジョージタウン大学の大学院生が逮捕され、あのアル・カポネも送られたサンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。やがて、ある事件をきっかけに犯人は刑務所を脱獄し、島の地下にある奇妙な場所で暮らし始めるが……。先端科学の知見と作家の奔放な想像力で、現代ミステリーの最前線を走る著者の渾身の一作がついにベールを脱ぐ!

 

いろいろとブッ飛び過ぎているゴッドオブミステリー最強の超幻想である。

基本的にはSFミステリーなのだが、とにかくあらゆる面でヤバいのでひたすらに影響を受けまくってしまっている。多数のトンデモ理論や意味不明の展開の応酬に読み終わるころには何かが変わっているかもしれない。

少なくとも私はこの本を読んで地球の歴史に興味を持って調べまくったし、オカルトにもますます興味を示すようになり、そして恐竜大好き人間になってしまった。受けた影響力でいったら最高クラスである。

しかし恐竜絶滅と重力を人間の女性の出産が苦しい理由に結びつける作家が他に存在するのだろうか....いるはずないな。

 

 

7位  悪童日記 / アゴタ・クリストフ(1986年)

 

 戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。

 

文句なしに仕事術カテゴリーで人生を変える本として読むべき作品。

私にとってこの本ほど読む前と読んだ後で印象が異なる作品は初めてで、圧倒的ギャップ萌えに悶えたものである。つまり超ヤバい本なのだ。どんな内容かというと二人のサイコパス兄弟が極めて....極めて淡々とヤバいことをこなしまくっていくというものである。

生きるということは淡々とやるべきことをこなしていけば良いということを、本作はただひたすら静かに教えてくれる。とんでもないところでとんでもない終わり方をする本作だが、三部作構成となっているため続きが存在している。

続編の『二人の証拠』はスタイルを多少変えながらも『悪童日記』に勝るとも劣らない凄まじいサイコ小説となっているので、第一部にはまったら第二部も絶対に読もう。ただ第三部だけはかなり作風が異なるので、こちらはあまりおすすめしない。

 

 

6位  星を継ぐもの / ジェイムズ・P・ホーガン(1977年)

 

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作

 

この本が私に及ぼした影響はあまりにも大きい。

まず小説好きになるきっかけの作品であり、SF好きを爆発させることになり、ミステリーにも興味を持つようになり....と挙げていけばキリがないのだが、最も大きな変化は好奇心が強化されまくったことだと思う。

本書を読んでからというもの、何かに興味を持った時にその対象を調べまくってしまうようになった。子供の時に読んでたら絶対に科学者志望になったであろう、素晴らしい物語は我が子にも何とかして読んでもらいたいと考えている。

なお文庫版は活字が小さめでフォントもお堅い感じなので、読書慣れしていない方には電子書籍版をおすすめしたい。電子書籍で文字をデカくしてフォントをポップなものに変えてしまえば攻略は楽勝である。

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

5位  精霊の守り人 / 上橋菜穂子(1996年~)

 

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

 

 上橋菜穂子作品はどれも本当に素晴らしく、人生の指針になったり科学的な考え方をはぐくむ物語が多いのだが、この記事では主人公のバルサ(初登場時はアラサー独身女性)がかっこ良すぎる『守り人シリーズ』を選んだ。

シリーズの中には王子チャグムが主人公の作品もあり、その作品がまたとても素晴らしいのだが何と言ってもバルサである。小説によっては登場人物が好きで追い続ける作品があるのだが、守り人シリーズはまさにそのパターンで、仕事とかでつらくてぼーっとしてる時に心の中でバルサの妄想をしたりして乗り切ったりすることがあるんです(笑)

とにかく万人におすすめしたい人生に良い影響を与える作品である。

 

 

4位  悪の教典 / 貴志祐介(2010年)

 

とびきり有能な教師がサイコパスだったとしたら、その凶行は誰が止められるのか?晨光学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAから信頼され彼らを虜にしていた。そんな〝どこから見ても良い教師〟は、実は邪魔者は躊躇いなく排除する共感性欠如の殺人鬼だった。少年期、両親から始まり、周囲の人間をたいした理由もなく次々と殺害してきたサイコパス。美形の女生徒をひそかに情婦とし、同僚の弱みを握って脅迫し、〝モリタート〟の口笛を吹きながら、放火に殺人にと犯行を重ねてゆく。社会から隔絶され、性善説に基づくシステムである学校に、サイコパスが紛れこんだとき――。ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作長編。

 

この世のあらゆるビジネス本を葬り去る究極の一冊である。

私も社会に出てそれなりに経験を積み、役職がついて部下を持つようになったのだが、仕事の流儀の多くをこの本から学んでいる。有名な作品であり、映画化もされているため、おおまかな内容くらいなら知っている人もいるかもしれないが、本作はサイコパスの教師が目的達成・問題解決のために、ありとあらゆる手段を駆使して大暴れするという物語である。

サイコパスは関わりたくはない人種だが、ビジネスに限って言えば仲間にしたいタイプの人であることは間違いない。そんなサイコ野郎の仕事をサイコパスの名手・貴志祐介が書くのだから役に立つこと間違いなしなのである。

 

 

3位  十二国記 / 小野不由美(1991年~)

 

「お捜し申し上げました」──女子高生の陽子の許に、ケイキと名乗る男が現れ、跪く。そして海を潜り抜け、地図にない異界へと連れ去った。男とはぐれ一人彷徨(さまよ)う陽子は、出会う者に裏切られ、異形(いぎょう)の獣には襲われる。なぜ異邦(ここ)へ来たのか、戦わねばならないのか。怒濤(どとう)のごとく押し寄せる苦難を前に、故国へ帰還を誓う少女の「生」への執着が迸(ほとばし)る。シリーズ本編となる衝撃の第一作。

 

人生を変える小説の真打登場である。国産ファンタジー小説の最古参作品であり、また異世界モノの始祖とされる作品、その完成度の高さはいまだに他の追随を許さない。

十二国記の素晴らしいところはそれこそいくらでも挙げられるのだが、本記事で紹介するとしたら、多くの登場人物がベリーハードな苦境に陥りながらも、何とかして乗り越えていくことだろう。特に大長編の『白銀の墟 玄の月』にいたっては、1500ページ級の長い物語の内、実に90%近いシーンが半端ではない絶望モードで展開され、読者もそろそろ精神の限界か....となってからの大放出!!

十二国記を読んでおけば自身が苦境に陥ってもこの物語を思い出すことで「あれよりはマシだから何とかなるだろう」という勇気が湧いてくることだろう。

 

〇シリーズ紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

2位  旅のラゴス / 筒井康隆(1986年)

 

 北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

 

とにかく読むべき日本SF御三家・筒井康隆によるSFファンタジー旅小説。男用

冒頭で挙げた私の危険思想「男はあらゆるものを犠牲にしてでも好きなことをやりたい放題やって良い」はこの本の影響である。本書の主人公であるラゴスはやりたいことをするために、問答無用に女や地位を犠牲にしまくっている。

そんなことからとても筒井康隆らしい印象で、男にとっては至高の聖典になり得る反面、女にとっては最悪な作品であり、この本を読むとモテなくなることはないと思うが、結婚できなく可能性があるという諸刃の剣である。

私は1986年生まれだが、「男は男らしく、女は女らしく」という昨今のジェンダー論に逆行する考えを持っていて、フェミニストはヒステリーを起こした狂人だと考えている。そんな考えを持った昭和的な男は絶対に読もう。

 

 

1位  忍びの卍 / 山田風太郎(1967年)

 

 時は寛永9年。三代家光の治世である。大老土井大炊頭の近習・椎ノ葉刀馬は、御公儀忍び組に関する秘命を受ける。伊賀・甲賀・根来の代表選手を査察し、最も優れた組を選抜せよというのだ。妖艶奇怪この上ない忍法に圧倒されながらも、任務を果たす刀馬。全ては滞りなく決まったかに見えたが…それは駿河大納言をも巻き込んだ壮絶な隠密合戦の幕開けだった。卍と咲く忍びの徒花。その陰で描かれていた戦慄の絵図とは…。公儀という権力組織を鮮烈に描いた名作。

 

文句なしに我が生涯最高に人生を変えた本である。

なぜならば多くの自己啓発書なんかに書いてある独立して自由になろう的な思想とは圧倒的に真逆のことが書かれているからである。会社のためには命すら捨てる覚悟を持って仕事をすべしということだ。否、会社に入った時から命は捨てたものと思えというのが正確だろうか。くだらないことは考えずに真剣に働いていれば人生は攻略したも同然。(但しブラック企業は除く)

教訓云々は抜きにして、エンターテイメント作品としても神の領域に達している。登場忍者は三人のみ。しかも使う忍法が"舐めたところを性感帯にする"、"性交した女に憑依する"、"性交した女の血を刀に塗って敵にかけると肉を断つ"という意味不明なものにも関わらず異様に知的な戦いが続くのである。

果たしてこれのどこが人生を変えるのだと思われるのが普通だろうが、真面目に働いているサラリーマンは本作読了後に必ず涙を流し、生きることの活力が爆増することだろう。

 

kodokusyo.hatenablog.com

 

言い訳とお詫び代わりのおまけ

 様々な方面から人生を変える小説を紹介してきたが、興味を持たれた本はあっただろうか。もしあったのならぜひ手に取ってみていただきたい。ただ小説というのは人によって評価や受ける印象がまったく違うので、私に大きく影響を与えた本が他の人の人生を変える本にならない可能性が高いということをお伝えしておこう。
 そこでお詫びとして、または冥途の土産としてさりげなく2000冊以上はビジネス本や自己啓発書、ハウツー本を読んできた私が本当に素晴らしいと思う人生を変える系の本を2冊挙げて締めさせていただく。この本は私自身年一で読み返している数少ない小説以外の本で、本気で素晴らしい内容となっている。