何事も最初が肝心

選定ルール
- ページ数少なめの長編に限定
- シリーズものは原則除外
- 小説でしか得られない楽しみがあるか
- ジャンル限定はしない
10位 コンビニ人間 / 村田沙耶香(2016年)
「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。「いらっしゃいませー!!」お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。
超人気作品ではあるが、自信を持っておすすめできる神本である。未読であれば速攻で読むことを推奨する。
普通とは何かを考えさせられる....と言ったまじめでつまらない意見をよく見かけるが、この作品は普通という基準からかけ離れた超絶狂人が主役で、そんな非人間的なおばさんである主人公がぶっ飛んだ行動を連発する狂った作品なのである。私に言わせれば最高のに面白いキチガイ小説である。
読者によっては気持ち悪くなったり、勇気をもらったりするという謎の奇書である本作はとりあえず全人類必読本だ。
なお、私は著者の本はすべて読むようにしているが、他の本はさらに狂っている。そして変態的なエロさがある。『コンビニ人間』は狂気を良い感じに丸く収めた作品だが、より過激な他の作品も読んでみたくなったのであれば以下の記事を参考にしてほしい。
9位 秘密 / 東野圭吾(1998年)
運命は、愛する人を二度奪っていく。自動車部品メーカーで働く39歳の杉田平介は妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまう。 妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。 その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密"の生活が始まった。 外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻は、やがて藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験、その後は医学部を目指して共学の高校を受験する。年頃になった彼女の周囲には男性の影がちらつき、 平介は妻であって娘でもある彼女への関係に苦しむようになる。
当代屈指のベストセラー作家である東野圭吾の中でも、個人的に最もおすすめしたい作品である。東野作品といえば成人男性の心理描写が神懸っていることがポイントだと思っているが、この作品ではその強みが極限まで発揮されている。
あらすじを見ただけでクソ面白いこと確定なのだが、超人東野圭吾は本書のタイトルの通り地獄的な『秘密』をぶちかましてくる。『秘密』の破壊力は強大で、読者が同じ境遇の男であれば超ダメージを覚悟しなければならない。
8位 Another / 綾辻行人(2009年)
夜見山北中学三年三組に転校してきた榊原恒一は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。同級生で不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、謎はいっそう深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい何が起きているのか!?いまだかつてない恐怖と謎が読者を魅了する。名手・綾辻行人の新たな代表作となった長編本格ホラー。
超傑作ホラー×ミステリであり、ホラーとしてもミステリとしても完成度が非常に高く、読書でしか楽しめない醍醐味も詰まっている。
著者は本格ミステリの大御所であり、本作はホラーでありながらも緻密な計算がなされた作品で、謎の少女の秘密、怪異の仕組みといった魅力的な謎が散りばめられている。また容赦なく人が死にまくる上に、最後の最後には必殺の一撃がまっているため、度肝を抜かれること必至である。
ページ数が多めな上にシリーズものだが、1作目で綺麗に完結しているため、ランクインさせた。小説でしか味わえない仕組みがある本作だが、アニメ化、実写映画化もされていて、アニメ版はかなり良い感じに仕上がっているので、そちらもおすすめである。
ちなみに続編が出ているが、そちらはおすすめしない。
7位 悪童日記 / アゴタ・クリストフ(1986年)
戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。
世界人気文学的な教養本かと思いきや、完全にぶっ壊れた狂気本である。
地名人名などが登場しない特殊な筆致で描かれる、恐るべき双子「ぼくら」のサイコっぷりを堪能してほしい。戦時中に疎開したという背景から非人間的な行動をしているのかもしれないが、私には二人のサイコパスが色々ヤバいことをしちゃっているとしか思えない。文字通りの”衝撃”作であり、読んでいると教養があると思われてお得なので超おすすめである。
ちなみに本作もシリーズもので、特に2作目は完全に繋がっているが、2作目以降は作風が大きく変わること、また1作目の終わり方はそれはそれで凄いのでランキングから除外しなかった。
6位 暗いところで待ち合わせ / 乙一(2002年)
視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった―。
著者にしか思いつけないであろう奇妙な設定が素晴らしい神傑作である。
乙一といったら短編の名手で、白乙一作品と呼ばれるせつない作品や、黒乙一と呼ばれるエグくて凶悪な作品、さらに別名義でも異なる作風でコンスタントに作品を発表する変人だが、本作は長編でありながら乙一の魅力がベストバランスで盛り込まれている。
異様な距離感と絶妙なミステリ要素が一気読みさせる屈指の傑作である。
5位 滅びの園 / 恒川光太郎(2018年)
わたしの絶望は、誰かの希望。ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。
異世界を書かせたら右に出る者のいない著者が、様々な要素を凝縮した超傑作である。
超人気作『夜市』でデビューしてから今に到るまで、コンスタントに傑作を発表し続けているが、本作は短めなボリュームの中にありったけの異世界要素を詰め込まれており、深い没入感から小説世界にトリップすることができるだろう。
4位 パーフェクトフレンド / 野﨑まど(2011年)
少女たちの“トモダチ大作戦”。みんなよりちょっとだけ頭がよい小学四年生の少女・理桜は、担任の先生のお願いで、不登校の少女・さなかの家を訪れる。しかしさなかは既に大学院を卒業し、数学者の肩書きを持つ超・天才少女!手玉に取られくやしい理桜は、マウントを取るべく不用意に叫ぶ。「あんた、友達居ないでしょ!」かくして変な天才少女に振り回される『友達探求』の日々が始まるのだった…。野崎まど新装版シリーズ、「友情」の極意をお届けする第5弾!
前人未到の「友達」小説である。
この作品はあまりにも面白く、特に理系の人が読んだら爆笑するかもしれない。数学が好きであればなおさらである。著者は天才を書くことが得意な天才であり、本作では天才要素が非常にいい具合にコメディに昇華できている。友達を方程式で表すという天才なのかアホなのか不明な試みは、とにかく笑える。
シリーズの5作目ではあるが、本シリーズは1~5作目までは独立した作品で、最後の6作目ですべてが関連という特殊仕様なので、前作までを読んでいなくても何の問題もない。
3位 六番目の小夜子 / 恩田陸(年)
津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
様々なジャンルの魅力を凝縮した超傑作。
完成度にばらつきがありまくる恩田作品だが、処女作である本作は屈指の完成度を誇っている。恐るべきは著者の筆力で、中盤の某シーンではまるで自分がその場にいるような錯覚の中で、恐怖がダイレクトアタックしてくるような感覚を味わうことができる。
映像や音楽に頼らず、文字の圧力で読者を圧倒する本作をぜひ読んでみてほしい。
2位 クリムゾンの迷宮 / 貴志祐介(1999年)
藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。ここはどこなんだ? 傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。
神レベルの傑作を連発する著者の作品の中でも、一気読み度が限界突破した最高に非の打ち所の無い超面白本である。
最初からハイテンションで、その勢いはどんどん加速していき、まさにページをめくる手が止まらない最高の読書を堪能できるだろう。いったいどうしたらこんなに面白い小説が書けるのだろうか。作者本人が同じ目に遭ったとしか思えない。
1位 ハサミ男 / 殊能将之(1999年)
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。
読書慣れしていない方ががこの本を読めることが羨ましくて仕方がない。
私もかつての衝撃を味わいたいものだが、すでにこの手の小説を大量に読んでしまった今となっては叶わない夢である。
物語が7割くらい進んで発動する「????????????」な感覚は決して他では味わうことはできないだろう。それとこの本は個人的にマニア向けのテクニカルなエロ本でもあると認識している。
かっこつけたら負け
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