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野﨑まど|作品一覧とおすすめランキング15選

人知を超越した超天才

数多の天才と呼ばれる小説家の中でも、野﨑まどは最強候補の一人だと思ってしまう。というのはそう思わざるを得ない天才的な作品を連発しているからである。作風の幅が異様に広く、SFを中心としながらも様々なジャンルの作品を発表しており、作品によっては本当に同一人物が書いたのか疑わしいくらいに内容にギャップがあったりするのだから驚かされる。
アニメの脚本やアンソロジー編纂もするなど本当に多才なので。どの作品にどの媒体で触れるかによって、野﨑まどの印象が大きく変わるかもしれない。そんな人知を超えた天才である野﨑まどについて、作品をランキング形式で紹介していく。
 

こんなイメージということにしておく

作品一覧

ジャンル分け不能なデビュー作『[映]アムリタ』から『2』までの6作品は、理由についてはネタバレになるので触れないがシリーズということになっている。ちなみに『2』以外の作品は独立しているので順不同で読んでも問題ない。

『なにかのご縁』はおそらくもう続編は出ないだろうが、一応まだ完結はしていないっぽい。また『バビロン』は「ここで終わったらヤバいでしょ....」という状況のまま続編が発表されていない。

以下、発表順に作品を挙げていく。なおシリーズ作品は色文字にしている。

発表順作品一覧

  1. [映]アムリタ(2009年)
  2. 舞面真面とお面の女(2010年)
  3. 死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~(2010年)
  4. 小説家の作り方(2011年)
  5. パーフェクトフレンド(2011年)
  6. 2(2012年)
  7. 独創短編シリーズ 野崎まど劇場(2012年)
  8. なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る(2013年)
  9. know(2013年)
  10. ファンタジスタドール イヴ(2013年)
  11. なにかのご縁 (2) ゆかりくん、碧い瞳と縁を追う(2014年)
  12. 独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑)(2015年)
  13. バビロン 1 ―女―(2015年)
  14. バビロン 2 ―死―(2016年)
  15. バビロン 3 ―終―(2017年)
  16. HELLO WORLD(2019年)
  17. タイタン(2020年)

アンソロジー編纂

  1. 誤解するカド(2017年)大森望共編
    野﨑まど短編「第五の地平」(2014年)を収録

アニメ脚本

  1. 正解するカド(2017年)※テレビアニメ
  2. HELLO WORLD(2019年)※劇場アニメ

 

作品ランキング

作風の幅が広いため、人によってかなりランキングが異なってくると思われる。この格付けはあくまでも私の好みの問題だと考えてほしい。そこで最初に読むべき本として下記の作品を推奨しておく。

 

ランキングでは多めに作品を挙げているが、下位の作品がつまらないというわけではなく、いずれも傑作だということは先にお伝えしておく。

15位  なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る(2013年)

 

お人好しの青年・波多野ゆかりくんは、あるとき謎の白うさぎと出会いました。いきなり喋ったその「うさぎさん」は、なんとその自慢の長い耳で人の『縁』の紐を結んだり、ハサミのようにちょきんとやったり出来るのだそうです。さらにうさぎさんは、ゆかりくんにもその『縁』を見る力があると言います。そうして一人と一匹は、恋人や親友、家族などの『縁』をめぐるトラブルに巻き込まれ…?人と人との“こころのつながり”を描いた、ハートウォーミング・ストーリー。

 

これが本当に野﨑まどかよ!?とツッコミを入れたくなるハートウォーミング・ストーリー。

純粋に野﨑まど作品に求めているものではないのと、私が日常系にあまり興味が無いためランキングでは最下位としたが、別に悪い作品ではなく、むしろ万人におすすめできるとても良い作品である。

野﨑作品によくみられるSF要素や超展開はまったくないものの、たまに笑いのツボを刺激するギャグが入ってくるので油断はできない。本当に最後の最後まで普通にいい話なのだが、野﨑まど作品が普通であるということ自体が驚きである(笑)

 

 

14位  なにかのご縁 ゆかりくん、碧い瞳と縁を追う(2014年)

 

春が訪れて、縁結びに大忙しのゆかりくんとうさぎさん。しかしそんな彼らの前に、碧い目をした留学生の少年・ローランと、もふもふの茶色いうさぎ・ユリシーズが現れました。遠くフランスからやってきたその一人と一匹は、縁結びの修行のため、ゆかりくん&うさぎさんコンビと『縁結び勝負』をしたいというのです。貴族出身で始終偉そうな彼らに振り回されながら、ゆかりくんとうさぎさんは新たな『ご縁』の騒動に巻き込まれていき…。人と人との心をつなぐ物語、第2弾。

 

続いてシリーズ2作目。

こちらも1作目と同じく直球のハートウォーミング・ストーリーだが、新キャラクターのローランとユリシーズコンビがなかなかいい仕事をしているので、個人的にはこちらの方がやや上だと感じている。

まずいないとは思うけど、このシリーズを最初に読んだ人が『ファンタジスタドール イヴ』とか『バビロン』を読んだらどう思うのだろう。作風の振れ幅が大きすぎて度肝を抜かれるかもしれない。

 

 

13位  バビロン(2015年~)

 

東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社と大学が関与した臨床研究不正事件を追っていた。その捜査の中で正崎は、麻酔科医・因幡信が記した一枚の書面を発見する。そこに残されていたのは、毛や皮膚混じりの異様な血痕と、紙を埋め尽くした無数の文字、アルファベットの「F」だった。正崎は事件の謎を追ううちに、大型選挙の裏に潜む陰謀と、それを操る人物の存在に気がつき!?

 

超強烈な野﨑まど流サスペンスからのSF小説

個人的には野﨑まどに求めている作風ではないということと、本作のキーとなる”自殺法”にイマイチぴんと来なかったこと、そして三巻の「」で完結していないという点でこの順位にしている。

原作では二巻、アニメ版では第七話の某シーンでリョナラーである小生が何度も射精させられたという点では、女神として崇めるべき作品なだけにこのまま終わってしまうのは惜しいところである。というかアニメ版の第七話は神である。もう少し生々しくして頂いたり、悲鳴が長引いたりすれば私の金玉は消失していたことだろう。

 

 

⇩これが伝説の第七話。タイトルもズバリ『最悪』である。リョナラーであれば確実に見ておくべきである。なお小説を読んでから見た方がキャラクターが深く書かれている分、インパクトが増大することをお伝えしておく。

 

12位  舞面真面とお面の女(2010年)

 

第二次大戦以前、一代で巨万の富を築いた男・舞面彼面。戦後の財閥解体により、その富は露と消えたかに見えたが、彼はある遺言を残していた。“箱を解き石を解き面を解け よきものが待っている―”時を経て、叔父からその「遺言」の解読を依頼された彼面の曾孫に当たる青年・舞面真面。手がかりを求め、調査を始めた彼の前に、不意に謎の「面」をつけた少女が現われて―?鬼才・野崎まど第2作となる伝記ミステリ、新装版!

 

読みやすさ、面白さ、魅力的な謎を兼ね備えた伝奇ミステリ。

遺言の秘密を探るうちに出逢う、謎に包まれた面の少女が登場して謎が謎を呼びまくる展開は確実に一気読みしてしまうだろう。

私は常々思うのだが、殺人事件などの事件が起きて探偵役が推理して解決するようなジャンルはミステリーだと称したくない。本作は本格ミステリといった内容ではないが、これこそがミステリーと呼ぶにふさわしい内容であり、ミステリーを超えた真相が待っているので、普通の推理小説はあまり興味が無いが、魅力的な謎を暴いていくタイプの展開が好きな方には超おすすめである。

 

 

11位  死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~(2010年)

 

「この学校には、永遠の命を持つ生徒がいる」女子校「私立藤凰学院」に勤めることとなった生物教師・伊藤は、同僚の教師や、教え子からそんな噂を聞く。人として、生き物としてありえない荒唐無稽な話。だがある日、伊藤はその「死なない生徒」に話しかけられた。“自称不死”の少女・識別組子。だが、彼女はほどなく何者かによって殺害され、遺体となって発見される―!“生命”と“教育”の限界に迫る鬼才・野崎まど新装版シリーズ第3弾!

 

タイトルの通り”死なない生徒”が”殺される”学園物語である(笑)

本作は”永遠の命を持つ生徒とはいったいどういうことなのか”ということを追求するという点で本格ミステリ....であるはずは当然なく、びっくり仰天な不死システムに意表を突かれること間違いなしのトンデモ作品になっている。

それはいくら何でも無理があるだろう」という永遠の命と、なんてこったな結末はぜひとも読んで確かめてみてほしい。

 

 

10位  know(2013年)

 

情報化対策として、人造の脳葉“電子葉”の移植が義務化された2081年の日本・京都。情報庁で働く官僚の御野・連レルは、情報素子のコードのなかに恩師であり現在は行方不明の研究者、道終・常イチが残した暗号を発見する。その“啓示”に誘われた先で待っていたのは、ひとりの少女だった。道終の真意もわからぬまま、御野は「すべてを知る」ため彼女と行動をともにする。それは、世界が変わる4日間の始まりだった―

 

SF好きな小説読みが最初に読むであろう野﨑まど作品。

ラノベ的な雰囲気だが内容はハードSF全開であり、野﨑まどがよくテーマにする『幼年期の終わり』のような”人知を超えた存在”の書き方がとても素晴らしいと思う。また私がITの職に就いているということもあり、個人的には特にセキュリティに関して得るものが多かった。

設定も世界観も良いのでSF読みなら読んでおかないといけない重要作品だと思うが、登場人物の名前が変過ぎるのと、主人公のモテる童貞感がそこそこ気になるのでこの順位にしている。野﨑まどの代表作だと思うし、SFとしての完成度はとても高いと思うのだが、とある主人公の行為から最初に読む野﨑まど作品にはしない方が良い気もする。

 

 

9位  [映]アムリタ(2009年)

 

芸大の映画サークルに所属する二見遭一は、天才とうわさ名高い新入生・最原最早がメガホンを取る自主制作映画に参加する。だが「それ」は“ただの映画”では、なかった―。TVアニメ『正解するカド』、『バビロン』や、劇場アニメ『HELLO WORLD』などを手掛ける鬼才・野崎まどの作家デビュー作にして、電撃小説大賞にて“メディアワークス文庫賞”を初受賞した伝説の作品が新装版で登場!貴方の読書体験の、新たな「まど」が開かれる1冊!

 

記念すべき野﨑まどのデビュー作品。

ネタバレ厳禁であるだけでなく、「野﨑まどがどんな作品を書く作家なのか」や「本作がどんなジャンルなのか」ということすらも知らないで読むことを推奨したい作品。

したがって「マジで凄いから読んでみて」くらいしか紹介しようがないのだが、この記事にたどり着いた方で本作を未読だとしたら、迷わずただちに読むことを推奨する。私は他の作品を読んでから本作を読んでいるため、野﨑まどがどんな作家なのかある程度知ってしまっていたので100%の衝撃は無かったのだが、それでも「うおおおおおおお

」となるくらいには衝撃を受けた。知識ゼロで読む人は羨ましい限りである。

 

 

8位  小説家の作り方(2011年)

 

駆け出しの小説家・物実の元に舞い込んだ初めてのファンレター。そこには、ある興味深い言葉が記されていた。「この世で一番面白い小説」。あまねく作家が目指し、手の届かないその作品のアイディアを、手紙の主は思いついたというのだ。送り主の名は、紫と名乗る女性。物実は彼女に乞われるがまま、小説の書き方を教えていくのだが―。鬼才・野崎まど新装版シリーズ第4弾。「小説家を育てる小説家」が遭遇する非日常を描く、ノベル・ミステリー。

 

タイトルとあらすじからは想像もつかない超野﨑まど作品。

基本的に青春恋愛物語といった感じで、主人公と非人間的超美人である依代のどこか危なっかしい絡みにニヤニヤしながら読み進めてみると.......ウソーン!!Σ(;゚ω゚ノ)ノとなってしまうだろう(笑)

完全にネタバレ厳禁なので「頼むから読んでくれ!」というくらいしかできないのが歯がゆいのだが、『小説家の作り方』の素晴らしさは保証するのでぜひとも読んでいただきたい。読了後に新装版の表紙の女性を見ると....秘密。

 

 

7位  HELLO WORLD(2019年)

 

「お前は記録世界の住人だ」本好きで内気な男子高校生、直実は、現れた「未来の自分」ナオミから衝撃の事実を知らされる。世界の記録に刻まれていたのは未来の恋人・瑠璃の存在と、彼女が事故死する運命だった。悲劇の記録を書き換えるため、協力する二人。しかし、未来を変える代償は小さくなかった。世界が転回する衝撃。初めての感動があなたを襲う。新時代の到来を告げる青春恋愛SF小説

 

ラノベかと思いきやこれでもかというほどのハードSF作品。

それほど分厚くないページ数にも関わらず、途轍もないほどの情報量であり、物語の大枠は分かりやすいかもしれないが、中盤以降はSF好きも唸らせるほど気合が入りまくっている。『君の名は。』のようなライトな青春恋愛SFを想定して読み始めると爆死することだろう。

野﨑まど的超展開、思いもよらぬ真相など著者の良いところが凝縮された作品だと思う。また原作の中盤以降で頭が爆発した方はアニメ映画版の鑑賞をすることで脳内補完されるので、原作とアニメ版はセットで楽しむことを推奨する。

 

映画版は映像が本当に美しいので、野﨑まど云々ではなく傑作アニメ映画として観ておくべき作品。

 

6位  誤解するカド ファーストコンタクトSF傑作選(2014年)

 

突如羽田空港に出現した巨大立方体「カド」。人類はそこから現れた謎の存在に接触を試みるが―アニメ『正解するカド』の脚本を手掛けた野崎まどと、評論家・大森望が精選したファーストコンタクトSFアンソロジーをお届けする。筒井康隆が描く異星人との交渉役にされた男の物語、ディックのデビュー短篇、小川一水野尻抱介が本領を発揮した宇宙SF、円城塔飛浩隆が料理と意識を組み合わせた傑作など全10篇を収録

 

正解するカドとは全く関係がないファーストコンタクトSFアンソロジー

このランキングに入れるのは躊躇したが、本作品集に収録されている野﨑まど短編「第五の地平」がもの凄い傑作なので、6位として本短編を挙げる。

世界を制覇したモンゴル帝国チンギス・ハーンが宇宙進出していくというトンデモ作品であり、次元の突破を試みるラストシーンもおバカの極みなのだが、宇宙規模の凄まじいSFをぶちかまされるのだからたまらない。図解の四次元がとても分かりやすいが、それ以上の次元はやっぱり理解ができないです(´;ω;`)

ちなみにこの作品集に収録された筒井康隆氏の「関節話法」が爆笑必至のクッソ面白い話なので合わせておすすめしておきたい(笑)

 

 

5位  ファンタジスタドール イヴ(2013年)

 

「それは、乳房であった」男の独白は、その一文から始まった―ミロのヴィーナスと衝撃的な出会いをはたした幼少期、背徳的な愉しみに翻弄され、取り返しようのない過ちを犯した少年期、サイエンスにのめりこみ、運命の友に導かれた青年期。性状に従った末に人と離別までした男を、それでもある婦人は懐かしんで語るのだ。「この人は、女性がそんなに好きではなかったんです」と。アニメ『ファンタジスタドール』前日譚。

 

まさかの太宰治人間失格』のオマージュ作品である。

アニメ『ファンタジスタドール』の前日譚とのことだが、私はそのアニメを見たことがなく内容も把握していないにもかかわらず、何の問題もなく楽しむことができたので独立した作品と考えて問題ない。(というかアニメのイラストを見たら本作とのイメージの乖離がデカ過ぎて笑えた)

私が読んでいる間ずっと思っていたのは、実に江戸川乱歩的だなぁ...という印象である。女体...というかおっぱいに異常な執着を持ってしまった変態童貞が、女体を作るというキモい目標に突き進んでいく展開は、『人間失格』をオマージュしていながらも、典型的な乱歩的キモさを120%濃縮して感じ。文体的にもレトロな純文学を意識したようだが、そこには野﨑まどの本気のおふざけが感じられる。早川書房から出ているだけあって作風の割にバッチリSFしている。

 

 

4位  パーフェクトフレンド(2011年)

 

少女たちの“トモダチ大作戦”。みんなよりちょっとだけ頭がよい小学四年生の少女・理桜は、担任の先生のお願いで、不登校の少女・さなかの家を訪れる。しかしさなかは既に大学院を卒業し、数学者の肩書きを持つ超・天才少女!手玉に取られくやしい理桜は、マウントを取るべく不用意に叫ぶ。「あんた、友達居ないでしょ!」かくして変な天才少女に振り回される『友達探求』の日々が始まるのだった…。野崎まど新装版シリーズ、「友情」の極意をお届けする第5弾!

 

ある意味野﨑まどの到達点と言えなくもない作品。

めちゃくちゃ読みやすく、絶妙なギャグセンスが感じられるおふざけ作品かと思いつつも、数学的に導かれる”友達方程式”の論理には、爆笑と同時に野﨑まどへの畏敬の念を感じずにはいられないトンデモな魅力がある。しかもこの完璧な方程式が破綻したときに涙まで流させられるという仕様。本当に凄いと思う。

『[映]アムリタ』とほんの少しだけ繋がりがあり、最後に『2』への伏線がほのめかされるのだが、独立した作品として成立しているため、これから野﨑まどを読まれる方やアニメ作品から野﨑作品に興味を持たれた方にも安心しておすすめできる内容となっている。

ギャグセンスのある理系の人間が数学ネタで本気を出すとこうも面白いものができるのか....と放心するほどの内容なので全力で推しておきたい。

 

 

3位  正解するカド(2017年)

 

羽田空港の滑走路に突如として1辺が2キロメートルを超す謎の超巨大な正立方体が出現し、出現場所に居合わせた旅客機256便(ボーイング777型)が、乗員乗客もろとも立方体に飲み込まれた。政府が関係各省と連携を取り合い、この立方体「カド」の調査と飲み込まれた乗員乗客の救命に奔走する中、立方体上部にヤハクィザシュニナと名乗る存在と、偶然256便に乗り合わせていた凄腕の交渉官・真道 幸路朗が現れる。

 

野﨑まど成分100%のセンスオブワンダーに溢れつつも盛大に暴走したアニメ作品。

小説を紹介する本ブログにおいて、例外的にアニメ作品を紹介するのは、野﨑まどという作家をを紹介するにあたり、『正解するカド』を外すわけにはいかないという判断である。

この作品はあらゆる意味で凄すぎる。まず何と言っても中盤までの圧倒的な高揚感が本当に素晴らしく、センスオブワンダーを感じまくることになる。そして終盤(笑)...「どうしてこうなった」の究極系が待ち受けている。これはぜひとも視聴して体験していただきたいのだが、本気でやらかしているのである。ただそのやらかしは野﨑まどの計算の内だと思われ、私個人としてはとても好きな展開である。

賛否両論MAXでありながらも、これぞ野﨑まどという点で私は大好きだし、アニメのため敷居が低いという点でも強くおすすめしたい。

 

 

2位  タイタン(2020年)

 

至高のAI『タイタン』により、社会が平和に保たれた未来。人類は“仕事”から解放され、自由を謳歌していた。しかし、心理学を趣味とする内匠成果のもとを訪れた、世界でほんの一握りの“就労者”ナレインが彼女に告げる。「貴方に“仕事”を頼みたい」彼女に託された“仕事”は、突如として機能不全に陥ったタイタンのカウンセリングだった―。

 

純粋に完成度が高くとても面白い超野﨑まど作品。

超天才・野﨑まどの良さが余すところなく描かれているという点で、これから野﨑作品を読んでいこうという方から、野﨑ファンまで幅広くおすすめできる傑作である。

仕事とはなにか”ということについて、AIがあらゆる仕事を人類に代わって行う近未来で至高のAI『タイタン』を通じて描いた作品である。野﨑まどと言ったら超展開でおなじみなのだが、本作ではまさにタイトル通りのトンデモな展開が待っていて、なおかつ広げた大風呂敷はしっかり畳まれる(笑)。

敢えてほぼ内容に触れていないのだが、それは『タイタン』も極力事前知識ゼロで読むべき作品だからである。少しでも気になったのなら読んだ方がいい。

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

1位  2(2012年)

 

創作することの極地。それが『2』。日本一の劇団『パンドラ』の入団試験を乗り越えた青年・数多一人。しかし、夢見たその劇団は、ある一人の女性によって“壊滅”した。彼女は言った。「映画に出ませんか?」と。言われるがまま数多は、二人きりでの映画制作をスタートする。彼女が創る映画とは。そして彼女が、その先に見出そうとするものとは…。『創作』の限界と「その先」に迫る野崎まど新装版シリーズ・最終章!!『2』が、全てを司る。

 

人知を超えた凄まじい作品。いやホントに。。

衝撃度の高さでは確実に我が生涯5本の指に入る作品だが、本作を読むためには『[映]アムリタ』に始まる前5作品をすべて読む必要があるため、少々下準備が必要となる。

前5作品をすべて読むことが『2』を読むための絶対条件なので、そういった意味で少々敷居が高いのかもしれないが、そもそも『[映]アムリタ』~『パーフェクトフレンド』はいずれもクソ面白いので読むのは何ら苦にならないだろう。

こればかりは「とにかく読んでください」としか言いようがない。注意点として、前述の通り必ずシリーズをすべて読んでから読むことを推奨する。その理由も「読んでください」としか言いようがない。ネタバレも言語道断である。(まぁネタバレを読んでも意味不明だろうが...)

 

〇シリーズ紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

番外編①  独創短編シリーズ 野崎まど劇場(2012年)

 

電撃文庫MAGAZINE」で好評連載中のユニークすぎる短編が文庫化。死体を探しに行く検死官、対局にペットを連れてくるプロ棋士、勇者を何とかしたい魔王、若頭、サンダーファルコン、ビームサーベル、ライオン、うげげげと喋る牛、電撃文庫の妖精等、変態的(?)な登場人物たちが繰り広げる抱腹絶倒の物語の数々。

 

はっきり言ってアホ。でも時々「ほほぅ」と唸ったりするおバカ短編集。

かなりふざけている内容だが、ある程度野﨑まど作品を読まれた方はぜひとも本書を読んでみてほしい。天才の頭の中をのぞくことができるだろう(?)

 

 

番外編②  独創短編シリーズ (2) 野崎まど劇場(笑)(2015年)

 

電撃文庫MAGAZINE」連載の、図ありイラストあり、挙句はQRコードすら載った奇文珍文目白押しの短編が、1冊にまとまって登場!不可解極まるキャラクターたちが織りなす爆笑必至の物語の数々を見よ!雑誌連載分に加え、恒例ボツネタ集&書き下ろし+αとボリューム満点でお贈りする、編集部の狂気を感じる短編集!

 

もちろんアホ。悪ノリがさらに加速しているとも思える。

こんなふざけた作品集が『バビロン』同じ年に出版されているのだからギャップ萌えせずにはいられない。表紙の女の子も実に良いですな(笑)

 

 

野﨑まどは私たちをどこに導いてくれるのだろうか

読めば読むほど天才としか思えない、異方存在(正解するカド参照)野﨑まどは、作品を通して様々な衝撃やセンスオブワンダーを与えてくれる。

まだまだギリギリ若手(と言っていいのかは甚だ疑問)の著者だけに今後の作品が楽しみで仕方がない。野﨑まど作品を読んでいると本当に何かが目覚めてしまいそうな(笑)感覚があるので、今後我々をどこに導いてくれるのだろうと想像してしまう。小説だけではなく、アニメの脚本も書かれているだけに、何か途轍もない人知を超えた作品を生み出してしまうかもしれないことに、高揚感を覚えている。

とりあえず新刊の発表と『バビロン』の完結を祈りつつ締めたい。

 

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