神本を求めて

小説を読みまくって面白い本を見つけたら紹介するブログ

子どもにおすすめの小説|子どもを読書好きにする方法

子どもが読書をするメリット

細かいことを考えれば無限にメリットは出てきそうだが、シンプルに挙げるなら以下の通りになると考えている。
 
  1. IQが上がる
    これこそ最大のメリットである。
    IQを挙げるとされる行動の中でも、読書は最も優秀な行動の一つである。
    活字からその世界を創造し、泣いたり笑ったりするのは人間にしかできないことだからだ。

  2. 経済的に助かる
    新刊の単行本を買いまくれば話は別だが、図書館や青空文庫を利用すればただで済むというのは、親からすればありがたい。
 

なぜ読書嫌いになるのか

 この理由は断定できる。面白い本に出会う前につまらない本を読んでしまうことで、”読書=つまらない”という方程式が完成してしまうためである。

 続いてなぜ面白い本に出会わないかということついて説明したい。答えは単純でずばり保護者である親が本を読まないからである。

親は子どもが本を読むことは良いことだと考えているにもかかわらず、親自身が本を読まないせいで何を子どもに勧めればいいのか見当もつかない。

したがってお役所が選んだような推薦図書を勧めてしまうのである。
当然ながらそのような本はお堅くてつまらないので、読書嫌いの子どもがまた量産されるのである。

 

どうすれば読書好きになるのか

 親が読書好きであること以外に方法はない。

子どもがいる方なら言うまでもなく分かっているだろうが、子どもは勘弁してほしいくらい親の真似をする。

どんなに親が「本は良いから読め」といったところで、子どもは絶対に読まないだろう。というか子どもは命令するとますますやらなくなる。

親が面白そうに本を読んでいる姿を子どもの目に焼き付ければいいのである。

何も言う必要はないだろうが、なんなら子どもに「〇〇にはまだ早いかもしれないからゲームでもしてなさい」とでも言ってみよう。

子どもは親に内緒でこっそり本を読むようになるだろう。

 

読書をしない保護者へのおすすめ本

 子どもを本好きにしたいのなら、保護者である親が本好きになるしか方法はない。

しかしこの記事を読んでいただいている方は、どんな本を読めばいいのか分からないこという人もいるのかもしれない。

 そこで私が保護者におすすめな本を紹介したい。
選別する基準は面白いこと読みやすいことだけである。読書を通じて何かを学ぶなどというのは、読書好きが自動的に享受する恩恵であって、学びを目的に読書を試みたところで残念な結果が待っている。

 

1. 秘密 / 東野圭吾(1998年)

 

運命は、愛する人を二度奪っていく。
自動車部品メーカーで働く39歳の杉田平介は妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美と暮らしていた。長野の実家に行く妻と娘を乗せたスキーバスが崖から転落してしまう。 妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。 その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密"の生活が始まった。 外見は小学生ながら今までどおり家事をこなす妻は、やがて藻奈美の代わりに 新しい人生を送りたいと決意し、私立中学を受験、その後は医学部を目指して共学の高校を受験する。年頃になった彼女の周囲には男性の影がちらつき、 平介は妻であって娘でもある彼女への関係に苦しむようになる。

 

 日本で一番売れている作家の売れまくっている作品であり、日本推理作家協会賞というその年で一番優れたミステリに贈られる歴史ある賞も受賞したすごい本である。

とりあえずめちゃくちゃ面白いのは保証するとして、子どものいる親にとって心を揺さぶりまくる内容になっている。

 

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

 

 

2. 夜のピクニック / 恩田陸(2004年)

 

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

 

 本屋大賞という面白い本であることを保証してくれる素晴らしい賞で大賞を受賞した作品である。もちろん面白いし、なによりすごい読みやすい。

どちらかというと若者向けの内容かと思いきや、大人が読んで学生時代の思い出に浸るという楽しみ方もできる傑作である。

 

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

  • 作者:陸, 恩田
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫
 

 

3. イニシエーション・ラブ / 乾くるみ(2004年)

 

僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。

 

 小説には小説でしか味わえない楽しみというものがある。

その楽しみが読みやすい恋愛小説として体感できるのが『イニシエーション・ラブ』である。

「えッ......!?」という感覚を味わってみてほしい。

 

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

 

 

4. コンビニ人間 / 村田沙耶香(2016年)

 

「普通」とは何か?
現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作
36歳未婚、彼氏なし。コンビニのバイト歴18年目の古倉恵子。
日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、
「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる――。
「いらっしゃいませー!!」
お客様がたてる音に負けじと、今日も声を張り上げる。
ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて、
そんなコンビニ的生き方は恥ずかしい、と突きつけられるが……。

 

 芥川賞=つまらない本というのがお約束である。

そんな中『コンビニ人間』だけは純文学でありながら、やたら面白いという特長があり、特にアラサー以降の年代で生きづらさを感じている人には最適である。

ページ数も短いのでサラッと読めるのも高ポイント。

 

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)

 

 

5. 暗いところで待ち合わせ / 乙一(2002年)

 

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった――。

 

 天才と呼ばれる作家の最高傑作と言える1冊。

映画化もされている作品だが、繊細な描写は実写ではまず再現不能なものである。

圧倒的な優しさをぜひ体感してほしい。

言うまでもなく文章は平易でページ数も少ないので読みやすい。

 

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

  • 作者:乙一
  • 発売日: 2002/04/01
  • メディア: 文庫
 

 

6. 阪急電車 / 有川浩(2008年)

 

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

 

 超売れまくり作家の人気作品である。

私は恋愛小説は滅多に読まないし、読んだとしても面白かったと思うことが少ない。
しかし『阪急電車』はとても構成がよくできていて、彼と彼氏だけの話ではなく、阪急電車をベースに紡がれる群像劇になっているので、単純な恋愛小説ではなくヒューマンドラマとして楽しむことができるのである。

また連作短編のため、読みやすさは完璧である。

 

阪急電車 (幻冬舎文庫)

阪急電車 (幻冬舎文庫)

  • 作者:有川 浩
  • 発売日: 2010/08/05
  • メディア: 文庫
 

 

7. 死神の制度 / 伊坂幸太郎(2005年)

 

こんな人物が身近に現れたら、彼/彼女は死神かもしれません──(1)CDショップに入りびたり(2)苗字が町や市の名前と同じ(3)会話の受け答えが微妙にずれていて(4)素手で他人に触ろうとしない。1週間の調査の後、死神は対象者の死に「可」「否」の判断を下し、「可」ならば翌8日目に死は実行される。ただし、病死や自殺は除外。まれに死神を感じる人間がいる。──クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う、6つの人生。

 

 連作短編という形式がとられていて、同じキャラクターが毎回登場するが、話自体は1話完結という体裁のためとても読みやすい。

 個々の作品の完成度も高く、伏線回収に定評のある作家だけに最後まで読めば感動が待っている。読後感も最高である。

 

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

 

 

8. 精霊の守り人 / 上橋菜穂子(1996年)

 

精霊の卵を宿す皇子チャグムを託され、命をかけて皇子を守る女用心棒バルサの活躍を描く物語。著者は2014年国際アンデルセン賞作家賞受賞。

老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノ妃から皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

 

 子どもにおすすめな本というのは大人が読んでも面白くなければならない。

この本は児童書という扱いのため、もちろん子どもにおすすめな作品なのだが、大人が読んでもものすごく面白いという最高の本である。

そしてシリーズ作品のため続編があるのだが、すべての作品が傑作と言うありがたい作品なのである。

 

〇シリーズ紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

 

 

9. 青の炎 / 貴志祐介(1999年)

 

櫛森秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との3人暮らし。その平和な家庭に、母が10年前に別れた男、曾根が現れた。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとする。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意した。自らの手で曾根を葬り去ることを……。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

 

 大人が読んでも子どもが読んでも素晴らしい作品である。

主人公の男子高校生が母と妹を守るために完全犯罪を計画し、実行するという犯人が主役の倒叙ミステリと呼ばれる形式をとっている。

心理描写は素晴らしく、読後は何とも言えない感情が残るだろう。

 

青の炎 (角川文庫)

青の炎 (角川文庫)

  • 作者:貴志 祐介
  • 発売日: 2002/10/23
  • メディア: 文庫
  

 

10. 告白 / 湊かなえ(2008年)

 

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラー。

 

 これまでに挙げた作品と異なり、かなりヘヴィで暗黒度の高い作品である。

イヤミスと呼ばれるジャンルの最高峰とされるだけあって、思わず目を背けたくなるほどの描写が続く。

 子どものいる親が読むことで真価を発揮する作品である。

 

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

  • 作者:湊 かなえ
  • 発売日: 2010/04/08
  • メディア: 文庫
 

 

 

子どもにおすすめな本

 工事中。

 まずはごめんなさいと言わせていただこう。

というのもすでに一定数のおすすめ本を考案したうえでこの記事を書き始めたのだが、いざ肝心な本項目を書こうとすると、少々基準に悩んでしまったのである。

どう迷ったかというと性的な描写暴力的な描写をどの程度容認するかを決めかねたのである。

 年齢指定はなぜか小説にはない。だがどう考えても良い子にはおすすめしてはならない本が溢れかえっている。古典的な名著も然りである

 そこでここまででいったんアップさせていただき、反響を確認しつつ考えをまとめたうえで更新することにする。

 

なおさすがにそれでは詐欺なので罪滅ぼしに上記の10選の中から、子どもにもおすすめな本を挙げておく。

 

  1. 夜のピクニック
  2. 暗いところで待ち合わせ
  3. 阪急電車
  4. 精霊の守り人

 

この作品は性的な描写や暴力描写はあまりないので安心しておすすめして良いだろう。