神本を求めて

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名刺代わりの小説10選|自己紹介に代えて

名刺代わりの小説とは

しかしいざTwitterで10作品選ぶとなると、140文字という文字制限の影響を受けて選択の幅が制限されたり、選んだ理由を語れないといった事情がある。
 そこでこの記事では自己紹介も兼ねて本気で名刺代わりとなるような小説を挙げて、選んだ理由も記載する。
 この記事では、名刺代わりの小説とはどのような作品を指すのかを以下の通りと定義する。
 
  1. 面白い本や思い出深い本ではなく、その本を名刺代わりとすることで自分自身のキャラクターをアピールできる作品であること。
  2. 10作品でできるだけ多くのことをPRするために1作家1作品縛りとする。どんなに推しの作家がいたとしても、一人の著作を多数挙げてしまっては情報量は減ってしまうものと考える。
  3. シリーズ作品の場合、シリーズ名を挙げるのではなくそのシリーズの中から1冊を厳選するようにする。

 

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おらが昔飼ってたペットです

 

1. 狂気の山脈にて / H.P.ラブクラフト(1936年)

 

ミスカトニック大学の教授であった私ウィリアム・ダイアーは、1930年、大学の探検隊を率いて南極大陸へ向かった。

やがて未知の巨大な山脈に到達し、その地下洞窟から奇怪な化石を発掘した旨の報告があった。それは独自の進化を遂げた大型の生物で、動物と植物の両方の特徴を具えているように思われた。その姿は『ネクロノミコン』に記された神話上の「古のもの」を連想させた。

真相を、あの狂気の山脈に隠された真相を、今ここに記す。

 

 私はかつて中二病患者だった(今もかもしれないが)。

そんな私は人と同じことが極端にイヤで、高校生の頃からデスメタルにはまるようになり、タワレコに入り浸るようになったのだが、その時に出会ったMorbid Angelというデスメタルの帝王によってその存在を知ったのがクトゥルフ神話である。

H.P.ラブクラフトによる名状しがたい読みずらさに心が折れそうになりながらも、中二病パワーを全開にして、全集を大半読み終えた時にはもはや人間など宇宙からしたら塵にも満たない、小さな存在であることを高校生にして悟ってしまった。

『狂気の山脈にて』は数あるクトゥルフ神話の中でも最も印象に残った作品であるため、本作を名刺代わりの1冊として選んだ。

 

 

2. 星を継ぐもの / J.P.ホーガン(1977年)

 

月面調査員が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。綿密な調査の結果、この死体は何と死後五万年を経過していることがわかった。果たして現生人類とのつながりはいかなるものなのか。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見された……。ハードSFの新星が一世を風靡した出世作

 

 調子こいたことを書くが、私は中・高・大と学生時代は明らかなリア充だった。

したがって友人や恋人と映画を見たり、ゲームをすることはあっても一人で小説を読むなどということはほとんど無かった。しかし小説は読まなかったもののSF映画やホラー映画は大好物であり、ずいぶん多くの映画を鑑賞してきた結果、有名な作品はほとんど鑑賞してしまい映画では満足できなくなった。

そんな時に出会ったのが、SFの超傑作『星を継ぐもの』である。

月で5万年前の真紅の宇宙服をまとった死体が見つかった。”という好奇心を刺激されまくる謎を見て即座に手に取り、小説にはあまり慣れていなかったにも関わらず、創元SF文庫の小さい活字をすぐに読み切ってしまった。

本書で描かれる内容は私の脳内世界を構築する重要な要素となっているので、名刺代わりにするのは決まり切っている。

 

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 

3. 旅のラゴス / 筒井康隆(1986年)

 

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か? 異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

 

 私はそこそこの高学歴であるにも関わらず、映画や音楽好きが高じて、周囲の反対を押し切りまくってTSUTAYAブックオフを合わせたような某古本チェーン店に新卒で入社することになった。しかし好きな仕事ができたとはいえ、待遇は悲惨なものであり、下手したらアルバイトよりも給料低いんじゃね?と思ってしまうほどの相当なブラック企業だったのである。世の中を舐めていたと就活中の自分を呪ったものだ。

そんな中、邪悪な環境から脱却すべく自己啓発書やビジネス書をそこそこ読むようになったのだが、そういった本からこれといった有益な情報は得ることができず、苦しんでいる時に出会った本が『旅のラゴス』である。

思い出云々ではなく、私はこの本を読んで「男はやりたいことをやりたいだけやってりゃ後のことは知ったこっちゃない」ということを学び(女性の方、申し訳ない。)、人生の指針となった。

 妻には殺されそうだが、私の行動パターンはラゴスそのものである。したがって名刺代わりの一冊とした。

 

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 

 

4. パノラマ島奇談 / 江戸川乱歩(1927年)

 

小説家人見広介は、自分と瓜二つの旧友、菰田源三郎の急死を知らされる。広介は大富豪の源三郎になりすまし、菰田家の莫大な財産を手に入れるという、荒唐無稽な計画を実行する。そして広介は、無人の孤島に自分が空想した終生の夢のパノラマ島を創り上げた!パノラマ島で展開される妖美な幻覚ともいえるあやしの怪奇譚は、読者を夢幻の世界へと誘い込んでゆく・・・・・・。

 

 私は変態である。変態道を探究する者にとって、変態の魂が秘められた江戸川乱歩の数多のエログロ作品は、避けては通れない変態の教典なのである。

人間椅子』や『鏡地獄』、『押絵と旅する男』、『白昼夢』そして『孤島の鬼』などのカリスマ的な変態作品が勢ぞろいする中、1作品に絞るのは困難を極めるのだが、私は高校時代に美術部に所属していたということも考慮して、【エロ、グロ、変態芸術、怪奇幻想】というキーワードが最も顕著に発揮された『パノラマ島奇談』を名刺代わりの1冊に選びたい。

 

パノラマ島奇談 (江戸川乱歩文庫)

パノラマ島奇談 (江戸川乱歩文庫)

 

 

5. ドグラ・マグラ / 夢野久作(1935年)

 

精神医学の未開の領域に挑んで、久作一流のドグマをほしいままに駆使しながら、遺伝と夢中遊行病、唯物化学と精神科学の対峙、ライバル学者の闘争、千年前の伝承など、あまりにもりだくさんの趣向で、かえって読者を五里霧中に導いてしまう。それがこの大作の奇妙な魅力であって、千人が読めば千人ほどの感興が湧くにちがいない。探偵小説の枠を無視した空前絶後の奇想小説。

 

 私は映画『マトリックス』が好きで好きでしょうがない。その影響で脳科学や心理学、認知科学の本を読み漁った結果、「この世は幻」という真実を学ぶにいたったのだが、その後瞑想やヨーガを通じて「この世は幻」という考え方は、ただの思想ではなく体感となって思い知ることになった。

ドグラ・マグラ』は「この世が幻?そんなのあたりまえじゃん」と言わんばかりのとんでもない作品であり、キチ〇イあらため中二病患者の聖書でもある。

これを名刺代わりにせず何が名刺代わりになるというのであろうか。

 

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫)

  • 作者:夢野 久作
  • 発売日: 1976/10/13
  • メディア: 文庫
 
ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫)

 

 

6. 粘膜兄弟 / 飴村行(2010年)

 

ある地方の町外れに住む双子の兄弟。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は一人の女をめぐり凄惨な運命に身を委ねていく……『ドグラ・マグラ』『家畜人ヤプー』と比される現代の奇書、シリーズ第3弾!

 

 そこそこ本を読んでいたとはいえ、女の子にモテモテになるために脳科学や心理学系の本やらビジネス書を読んでいたいただけだったので、「趣味は読書です!!」とは口が裂けても言えなかった私を読書家にさせたのが飴村行氏による『粘膜シリーズ』である。

エログロホラー映画を見飽きるほど見てしまった当時の私が、新たなる可能性を求めて、【ホラー小説 エロ グロ】でググりまくって出会ったのが『粘膜人間』であり、

その映像化不可能な内容に、遂に求めていたものを見つけたと感動したものだ。

シリーズ3作目の『粘膜兄弟』は私の好きな要素や、夢や願望がすべて詰まった作品なので名刺代わりの1冊に選んだ。

 

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)

粘膜兄弟 (角川ホラー文庫)

  • 作者:飴村 行
  • 発売日: 2010/05/22
  • メディア: 文庫
 

 

7. 新世界より / 貴志祐介(2008年)

 

ここは病的に美しい日本(ユートピア)。
子どもたちは思考の自由を奪われ、家畜のように管理されていた。
手を触れず、意のままにものを動かせる夢のような力。その力があまりにも強力だったため、人間はある枷を嵌められた。社会を統べる装置として。
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖(かみす)66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄(しめなわ)で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力(念動力)」を得るに至った人類が手にした平和。念動力(サイコキネシス)の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた……隠された先史文明の一端を知るまでは。

 

 『新世界より』を名刺代わりの1冊に選んだ理由は教えることができない。

最初の定義に書いた通り、面白いからだとか思い出深いから選んだわけでは無いのである。ただありとあらゆる面で人生最高の一作であることは断言できるし、最も名刺代わりになることも間違いない。

 なお貴志祐介大先生は最も崇拝する作家の一人なので、他にも名刺代わりにしたい作品はあるのだが(『天使の囀り』とか『クリムゾンの迷宮』)、やはりどう考えても1作選ぶなら『新世界より』だろう。

 

新世界より 上中下巻セット

新世界より 上中下巻セット

  • メディア: セット買い
 

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

8. 魍魎の匣 / 京極夏彦(1995年)

 

箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物(つきもの)は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。

 

 京極夏彦氏の『百鬼夜行シリーズ』はすべて好きなのでどれを名刺代わりにしてもいいくらいなのだが、迷いに迷った挙句選んだのは、結局みんな大好き『魍魎の匣』である。【SF、ホラー、エロ、グロ、オカルト】というキーワードは私の名刺から外すことはできないので、他の候補として『姑獲鳥の夏』『狂骨の夢』が挙がるのだが、小学生の時にめちゃくちゃハマった某トラウマRPGの最凶鬱シーンが本作の核となるトリックと概ね同内容で、完璧に好みなので魍魎を選んだ。

 

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

  • 作者:京極 夏彦
  • 発売日: 1999/09/08
  • メディア: 文庫
 

 

9. 屍鬼 / 小野不由美(1998年)

 

死が村を蹂躙し幾重にも悲劇をもたらすだろう―人口千三百余、三方を山に囲まれ樅を育てて生きてきた外場村。猛暑に見舞われたある夏、村人たちが謎の死をとげていく。増え続ける死者は、未知の疫病によるものなのか、それとも、ある一家が越してきたからなのか。

 

 私は小野不由美女史を心の底から崇拝している。

最恐ホラーの探究者である私は、小説をもりもり読むようになる前からホラー小説だけはちょこちょこ読んでいたのだが、そんな中で出会ったのが『残絵』である。

 小学生の時に映画の『リング』を見て、原作を読んで以降「なんだかんだ言っても今後『リング』を超えるようなホラーは現れないだろうなぁ」としみじみ思っていたのだが、『残穢』は確実に超えてしまっていたのだ。

そんな『残穢』を読んで随分経ってから『魔性の子』を読み、そして辿り着いたのが『屍鬼』である。【夏、田舎、ゾンビ、ファンタジー】という分野において頂点に立つ本作は、名刺代わりの1冊から外すわけにはいかない。

 

屍鬼〈上〉

屍鬼〈上〉

 
屍鬼〈下〉

屍鬼〈下〉

 

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

10. 暗闇坂の人喰いの木 / 島田荘司(1990年)

 

さらし首の名所・暗闇坂にそそり立つ樹齢2000年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ? 近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とは何か? 信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨を極めた。本格ミステリーの騎手が全力投球する傑作。

 

 本格推理小説に何の興味も無かった私を、推理小説好きにさせたのがゴッドオブミステリーこと島田荘司御大の『占星術殺人事件』と『斜め屋敷の犯罪』である。

しかし私は『暗闇坂の人喰いの木』を読んで、上記の作品を読んだ時の1万倍くらい感動してしまったものである。「本格ミステリーにはこんな可能性があったのか!」と驚かされたし、何より私の大好きなグロホラーや怪奇幻想要素が大爆裂しており、おまけに長期の旅行に行くほど大好きなイギリス(作中ではスコットランド)が舞台となるなど、私の趣味趣向が凝縮されているのだ。本作は名刺代わり中の名刺代わりである。

 

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

暗闇坂の人喰いの木 (講談社文庫)

  • 作者:島田 荘司
  • 発売日: 1994/06/06
  • メディア: 文庫
 

 

〇個別紹介記事

kodokusyo.hatenablog.com

 

履歴書ができちゃった...

もう転職することはないのかもしれないが、万が一再就活することになった時は履歴書にこの記事のURLを載せておいて、「ここに私のすべてがある!!」と叫んでみようかと思う次第である。